9.11狭山第4次再審闘争
運動の力で石川さんの無罪を‼
荒川区民共闘が地域集会
【東京】9月11日、東京都荒川区の区立さつき会館で「9・11狭山荒川集会」が開かれ、約30人が参加した。主催は「部落解放荒川区民共闘会議」。えん罪・狭山事件の再審開始のために地域の仲間が集い、故・石川一雄さんの完全無罪を勝ち取るべく決意を新たにした。
冤罪シリーズの
第5作目
司会者の開会あいさつの後、映画「うそがほんとに ほんとがうそに」(金聖雄監督・2026年・104分)の予告編が上映された。同監督による「冤罪シリーズ」の5作目となり今秋、「新宿K’sシネマ」を皮切りに上映が始まる。
主催者による開会のあいさつで議長の坂本繁夫さんは、「荒川区以外にも地域共闘を作るために、この運動を広げていきたい」と語った。
メインのプログラムである狭山弁護団・河村健夫弁護士の講演が始まった。演題は「狭山第4次再審~前田裁判長の下での狭山事件」。
河村さんは東京の多摩地区で生まれ、2000年に弁護士登録をした。労働事件や消費者被害、靖国訴訟、JR採用差別、部落調査事件など、幅広く社会的弱者救済の裁判に係わっている。パワーポイントを使った分かりやすいスライドを上映しながら、法廷闘争の経過を報告した。別掲の講演の要旨では、特に印象に残った発言を取りあげた。
袴田巌さん無罪
確定から
講演の後、地域で活動する仲間から発言があった。
区民共闘のAさんは区内の施設で介護職として奮闘している。「狭山23デー」での情宣では短時間で多くの署名を集めた。「これからも私は署名活動に専念したい」と意気込んだ。
同じく区民共闘のYさんは、「私と狭山事件」というテーマで語った。新卒で入社した会社の先輩から「狭山事件」について聞かされ初めて「冤罪」を知った。
以後、国家犯罪である冤罪に強い関心を持ち、今は絶版になった当時の文献を読みあさった。「部落出身者である石川さんは、貧しいがゆえに教育が受けられず、警察の取り調べや誘導を信じてだまされた。司法の何であるかを知らない者の、二重三重の悲劇だ」。「袴田事件以後、ビラまきをしていても反応が明らかに違う。市井の人々が冤罪に関心を持ち始めている」と話した。
部落解放同盟荒川支部の小野崎佳代さんは、「私は自分の出身をひたすら隠していた。でも部落解放運動と出会ってカミングアウトした。私のような人は他にもたくさんいる」。
今後の取り組みと、当面の行動予定が提起された。そしてこの日も、東京高裁第4刑事部・前田巌裁判長への要請ハガキを集会参加者がその場で書き、石川早智子さんへの激励カードにひと言を添えて、主催者が集約した。 閉会後、参加者の有志は交流会へと移動した。 (佐藤隆)
河村健夫弁護士の講演から
新裁判官にエールを送ろう
今日は私の事務所で研修している法科大学院の学生も来ている。司法試験合格を目指している。
狭山事件が起きた1963年の1カ月前、東京・台東区で「吉展ちゃん誘拐事件」が起きた。警察は身代金を取りに来た犯人をみすみす取り逃した。
同じ大失態がこの狭山事件でも繰り返され、捜査陣に対する国民の見方は「何となく無能」から「明らかに無能」へと変わった。一雄さんが逮捕されたとき、今ではリベラルと言われる東京新聞ですら、当時は部落差別丸出しの報道を平然と繰り返した。
逮捕以後は違法取調べのオンパレードだった。手錠をかけたままの自白強要、検察による許可制の弁護士面会などだ。
後に違法とされる「指定書方式」は、検察官が許可した面会だけしか弁護士に許さないというやり方で、面会時間も検察が一方的に決めていた。
狭山事件では、このでたらめなルールが、ちょうど石川さんの自白が「複数犯」から「単独犯」へと切り替わる、重要な時期に適用されていた。それはまさに警察のでっち上げストーリーの「総仕上げ」段階だったのだ。
さらに証拠の捏造も相次いだ。たとえば犯行に使用された手拭いの各家庭への配布枚数などは、はっきりと数字が書き換えられた跡が残っている。
紙切れ1枚で幕引き
昨年3月の石川さんの無念の急逝により、東京高裁は第3次再審請求(事件)を終了する決定を打ち出した。家令和典ほか3人の裁判官の署名押印がある通知文には、ただの一言も法令条文が書かれず、業務運用に基づく自己都合の処理であることが分かる。
前田巌新裁判長の着任後、5月の3者協議で「7月に弁護団、9月に検察官」とプレゼンテーションの日程が確定した。検察側は今回初めてプレゼンを求めてきた。30分の持ち時間の中で43枚もの資料を展開した。
それは、たとえば脅迫状の筆跡については巧妙に論点をずらそうとしている代物だ。いっぽうで前田裁判長はどうやら「科学的」なことが好きで、それにこだわるように感じる。裁判官らは「聞く姿勢」を持っているように見える。
日本の司法の権力構造においては、法務事務次官より検事総長のほうが格上だ。昨今スキャンダルが止まらない検察は、いったい何を恐れているのか。
まず、検察の組織自体を守りたいということ。証拠開示に応じない検察の核心的な恐怖は、現在と将来の事件に対する影響ではなく、過去の確定判決や執行中の刑についての「蒸し返し」によって、法的な安定性が損なわれるのではないかという点にある。
裁判所は、「世間の写し鏡」である。その時々の世論を意識している。「ロス疑惑事件」では、容疑者への週刊誌の加熱した「犯人視報道」があった。つまり「あいつが絶対犯人に決まっている」という世論がメディアによって作られた。当時の判事はそれを受けて「裁判所だけが無罪を言い渡すわけにはいかない」などと告白している。
つまり裁判官は世の中の「空気」に配慮しつつ、判決を出すということだ。だから、運動側から(高裁前で情宣をやっているように)裁判所の外から当該裁判官にエールを送ることが重要だ。
(要旨/文責・編集部)
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