9.1ミャンマー民衆連帯 官邸前アクション

軍政を支援する日本政府を許さない インチキ選挙認めない

 【東京】9月1日、官邸前アクション「♯ミャンマー軍の資金源を断て 日本政府はミャンマー軍のもくろむインチキ選挙にNO!を」が行われた。呼びかけたのは、メコン・ウォッチ、国際環境NGО FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)、アジア太平洋資料センター(PARC)。(呼びかけ文:別掲)

 主催者あいさつが行われ、「3月の大地震によって死者3700人以上、負傷者5000人以上、行方不明者も多数におよんでいる。しかしミャンマー軍は、各地を空爆を繰り返している。とりわけ軍の支配がおよばない地域をねらって空爆している。さらに12月に「選挙」を強行し、対外的な正統性を確保しようとしている。日本政府は政府開発援助(ОDA)、官民ファンドによる経済支援を行い、『民主的な回復を期待します』などと言っている。ミャンマー軍が国民に対して民主主義に戻すことなどありえない。日本政府に対してミャンマー軍の選挙を認めないでほしいと訴えている」と発言した。
 日本の大学院生は、「ミャンマーの友人たちは、日々不安と命の危険にさらされている。それでもかならずミャンマーを平和に国にすると奮闘している。ОDAなどによって軍におカネが流れてしまう状況が続いている。こうしたことに一つ一つ抗議の声を上げていきたい。ミャンマー軍政を許してはならない」と発言。
 Aさん(在日ミャンマー人)は、「クーデターによって実権を握ったミャンマー軍が選挙を行おうとしている。日本政府は、ミャンマー軍に対して民主回復に向けてもっと圧力をかけるべきだ。選挙をやると言っているが、役所などは崩壊しており、支配地域も限定的だ。まともな選挙はできない。私たちは何度も日本政府に言ってきた。10万人以上の在日ミャンマー人がいる。あらためてミャンマーの民主化のために関与してほしい」と発言。
 Bさん(在日ミャンマー人)は、「官邸前アクションを行ってから4年半たっている。しかしミャンマーに対する外交政策はよくなっていない。選挙をやれる地域は少数でしかない。国際社会をだまし、正当性をアピールするためでしかない。裏側で中国、ロシア、インドも支援している。空爆を繰り返し、被害者が拡大している。日本政府や民衆の方々にミャンマー軍を認めるなと強く訴えていきたい」と発言。
 さらに発言は続き、最後に首相官邸に向けて「日本政府はミャンマー軍を支援するな! ОDAストップ! ミャンマー民衆のための支援を行え!」のコールを響かせた。(Y)

呼びかけ文
「♯ミャンマー軍の資金源を断て 日本政府はミャンマー軍のもくろむインチキ選挙にNO!を」

 クーデターを起こしたミャンマー軍により、ミャンマーでは4年6ヶ月にもわたり混乱と殺戮が続いています。3月28日に中部で発生した大地震の被害を受けて、ミャンマー軍は支援を受け入れるために停戦すると公言しつつ、被災地を含む各地で空爆を続けてきました。ミャンマーの独立系報道機関の集計によれば、同軍が地震発生以降、6月末までにおこなった空爆を含む攻撃は、1113回にも及んでいます。ミャンマー軍が地震被害に対する援助を恣意的に利用することも、懸念されています。
 この間、確認されているだけでもミャンマー軍によって6980人が殺害され(2025年7月22日時点 政治囚支援協会)、軍の体制に不当に拘束されている人たちは、ここ数年2万人以上で推移し、減ることはありません。国連によると350万人を超える人びとが国内避難民となっています。
 このような状況下でもミャンマー軍の体制は、「選挙」と称するものを強行し、正統性を確保しようとしています。軍が予定する「選挙」は12月、もしくは1月に実施するとされ、軍が管理する連邦選挙管理委員会が選挙人名簿の最終化を進めています。
 しかしミャンマー軍の体制は、2015年と2020年に選挙に参加した40の政党の登録を抹消しました。これには、クーデター時に政権を担っていた国民民主連盟(NLD)も含まれます。
 国民統一政府(NUG)によると、330の郡(タウンシップ)のうち、144郡がミャンマー軍の抵抗勢力の支配下にあり、79の郡が紛争地帯です。しかし、軍の選挙管理委員会は、300あった郡区を違法に改変し、267郡区で選挙を行おうとしています。そもそも、クーデターを起こしたミャンマー軍の体制は、選挙を行う正統性を有していません。

 日本政府はミャンマー軍の体制を認めておらず、また、「選挙」の実施には懸念を示してはいます。一方で、政府開発援助(ОDA)による約7396億円の円借款事業を未だに続けています。また、ОDAだけでなく、公的資金を主な原資に投資を行う官民ファンドも、ミャンマーでの問題事業に出資などを行なったままです。
 軍の兵器などを調達する兵站局という部局と、現地企業を通して土地賃貸の契約を交わしているヤンゴンの軍事博物館跡地再開発事業(通称Yコンプレックス)には、国土交通省が所管する海外交通・都市開発事業支援機構(JОIN)が出資と債務保証を行なっています。JОINは未だに関与を続けており、財務省所管の国際協力銀行(JBIC)も日本の民間銀行と共に事業に協調融資を行なっています。
 またJОINを含む他の官民ファンドは、クローニー(政治的忠誠と引き換えに軍政から優遇されることで利益を得ている政商)企業と共同して事業をおこなってきました。
 JОINは、ティラワ多目的国際ターミナル事業にも参画していますが、この事業は各国から制裁を科されているミャンマー軍所有企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(МEHL)との関係が証明されているエバー・フロー・リバー(EFR)グループというクローニー企業と共同で運営されてきました。企業は既に撤退をしているとのことですが、事業の資産がどのように処理されるかや、コンセッション契約解除に伴う違約金の支払いによりミャンマー軍政が利益を得るのか、また事業からの今後の収入がミャンマー軍と関係のある事業体に流れるのをどう防ぐのかについて、JОINや企業からの説明はありません。
 加えて、官民ファンドの株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は同じく官民ファンドである株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構(JICT)と持ち株会社を設立し、その持ち株会社を通し、NHKのグループ企業である株式会社日本国際放送(JIB)と共に、ドリーム・ビジョン社に出資していました。同社には、ミャンマーの大手メディア企業シュエタンルイン・メディア(Shwe Than Lwin Media Co., Ltd.、STLM)も出資しています。STLМは、クローニーと国連の報告書に名指しされているシュエタンルイン・グループの企業です。私たちの送った質問状への回答によると、日本の3社は既にミャンマーから撤退していましたが、クローニー企業を利する形で撤退しなかったかなど、説明はされていません。

 日本が主催する日メコン会議で岩屋外務大臣は、ミャンマー情勢について深刻な懸念を示しています。それ自体は歓迎すべきことですが、会議の声明には、ミャンマーについての懸念は盛り込まれませんでした。日本政府が、表向きミャンマー軍の体制を非難していても、資金的なつながりを断っていないダブルスタンダードであることを、ASEAN各国に見透かされていないか懸念するところです。
 このような状況を踏まえ、私たちは日本政府がミャンマー軍との資金的なつながりを断ち、軍の計画する「選挙」が無効であることを明確にミャンマー軍に伝えることを求め、官邸前でアクションを行います。
呼びかけ:
 メコン・ウォッチ
 国際環境NGO FoE Japan
 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
 アーユス仏教国際協力ネットワーク
 日本国際ボランティアセンター(JVC)
 アジア太平洋資料センター(PARC)
問合せ:国際環境NGO FoE Japan
 Email: info@foejapan.org

ミャンマー軍政を支援するなとアピール(9.1首相官邸前)

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