12・13スパイ防止法とは何か大阪集会
とめよう改憲!おおさかネットワーク主催
【大阪】とめよう改憲!おおさかネットワーク主催、共謀罪に反対する市民連絡会共催の講演会が12月13日、おおさかPLP会館で開かれ、80人を超える市民が参加した。永嶋靖久さん(弁護士)が「スパイ防止法とは何か」のテーまで講演をした。
永嶋靖久さんの講演から
スパイ防止法制定を主張する高市首相は、特定秘密保護法や重要経済安保保護法などで情報保全措置は整備されたが、包括的にスパイ行為を禁止する法律はないと述べ、外国勢力によるスパイ活動を規制・監視し、必要があれば逮捕が可能になる法律の必要性を主張した。25年7月の参議院選でスパイ防止法制定を公約にした政党は、自民・維新・国民民主・参政・日本保守の5党にのぼる。自民・維新の連立合意書にもインテリジェンス・スパイ防止関連法制や情報要員養成機関の創設について検討を始め、速やかに法案を策定・成立を目指すことが明記されている。25年11月25日、参政党は議員立法「スパイ防止関連2法案」を提出し、翌日国民民主党が議員立法「インテリジェンス態勢整備促進法案」を提出した。永嶋さんは、特に国民民主党案を批判するのはなかなか難しいだろうという。
国家情報局新設
自民党は11月14日に戦略本部初会合を開き、スパイ防止法の制定を念頭に、国家情報戦略の司令塔と位置づける「国家情報局」を来年度に発足させるべく、26年通常国会に情報局創設関連法案を提出するとしている。
現在、国家安全保障会議とそのもとに国家安全保障局があるが、国家情報局はこの安全保障局と同格の機関として位置づけられ、外務・公安調査庁・防衛省・警察庁など情報コミュニティと情報を共有・集約し、首相官邸に伝達し、官邸の意向を下部に伝える司令塔の役割を担い、内閣情報調査室が昇格するといわれている。26年1月からは、情報局新設やこれからの関連法制の整備に関する論議が本格化するだろう。その場合、米国・英国・フランスの先行事例が参考にされるという。
インテリジェンスとは
インテリジェンスとは何か。元防衛省分析官によれば、情報にはインテリジェンスとインフォメーションがあり、インフォメーションはインテリジェンスを作成する素材だ。「戦略的インテリジェンスの対象は、脅威の存在を意識することで明確になる。脅威の存在しないところに戦略情報は無用であり、安全保障政策は必要ない」(元自衛隊情報将校大辻隆三)。経団連は、FUTURE DESIGN 2040成長と分配の好循環の6つの柱としてインテリジェンスの強化を上げている。
日本政府の情報機関が取り組んできた情報活動は、主に通信や信号傍受のシグナルインテリジェンス(シギント)、敵の組織に入り込むなど人の接触を介したヒューミント、公開情報を分析するオシントに分けられる。日本はシギントの能力は高く、防衛省情報本部はアジア最大級の電波傍受網を持っていて、中国監視で米軍からも頼りにされている。一方、弱いのがヒューミント。米国CIA・英国M16・イスラエルのモサドなどは、機密情報を収集するために敵国に外交官や起業家など表向きの肩書きで工作員を送り込む。
日本は、戦後80年、スパイ防止法という法律を制定する必要性がなかった。日本の情報関連の諸法令は、1868年~1945年赤・非国民対策、1945年~2025年過激派・暴力団・テロリスト・反社対策、スパイ関連法制が成立すれば2025年~外国人・外国勢力対策と概観できるのではないか。先行事例を参考にいわゆるスパイ防止法について考えてみると、これから出てくる法律には、スパイという言葉がないかもしれない、もしかしたらスパイ防止法という名称ではないかもしれない、永嶋さんはシステムの問題だと。
諸外国の法令がどうなっているのか、見てみよう。
包括的スパイを禁止する法律
米国は、合衆国法典第18編(犯罪及び刑事手続き)第37章「スパイ活動と検閲」。英国は、「国家安全保障法2023」。フランスは、刑法「反逆罪とスパイ行為について」、ドイツは、刑法。中国は、2023改正「反スパイ法」。である、国によって内容は少し異なるが、防衛情報を持ち出したり、外国に提供したり、自国に損害を与えたりしたとき、懲役刑や罰金刑(両方も)が課される。
スパイ活動監視の法律
米国は、外国情報監視法。英国は、調査権限法。ドイツは、連邦情報庁法。フランスは、情報活動法、通信傍受法などだ。
ロビー活動規制法
2010年以降、ロビー活動規制を導入する国の数が増加した。OECDの調査によると、加盟38カ国中21カ国がロビー活動を透明性のために規制している。G7で規制がない国は日本だけ。ロビイスト(団体・個人)名を登録制にしている国もある。ロビイストの支出報告書、収入報告書提出義務の国もある。
ロビー活動とは政治的意思決定に影響を与える活動で、活動主体は企業、労働組合、職能団体、NGOや個人だ。
外国代理人登録法
米国、外国代理人登録法(FARA)、1938年制定。1万ドルの罰金か5年以下の懲役。
英国、国家安全保障法。登録が必要。スパイ行為に対して14年以下の拘禁または罰金(両方)。サイバー攻撃に対しては終身刑または罰金(両方)。
フランス、2024「外国の干渉を防止するための法律」。資産凍結の罰則。3年以下の拘禁と4万5000ユーロの罰金。法人には、公契約からの除外規定がある。
露国、エージェント法「外国の影響下にある者の活動の管理に関する法律」。プーチンの弾圧立法の中核をなすものだ。会計の報告義務があり、罰則は公職に就けず、国の財政支援受けられず、教育活動から排除。
外国代理人とは、外国の委託者、外国の委任者、外国から支援を受けて活動する者などで、国による大きな違いはない。
国民民主党インテリジェンスに関わる態勢整備推進法案
この法案の要点は、民主主義・自由・人権を守るための情報活動の基盤を整えることで、インテリジェンスや民主的統制を明記。態勢整備のプログラム法であると同時に、基本法的性格を持つ。国家インテリジェンスは外務や防衛とは独立し、外務大臣等の担当としない。政治的中立性を保障することで、エビデンスの客観性を担保。その他、透明化、関係者の保護などがある。この法律が目指す未来は、罰則でくくる社会でなく、信頼と強靱さを持った社会であるとある。そのような目標のためならなぜこの法律がいるのかがかえってわかりにくく、これでは、なかなか本質がつかめにくいだろう。
情報機関、スパイ防止法制がなぜ必要か
日本には情報機関がない。米国、英国、イスラエルにはそれがある。米国侵略全史に詳しいように、米国はずーっと戦争をしてきた。英国は、太陽が沈まない国といわれたように全世界に植民地を持っていた。イスラエルは、生存が脅かされた歴史を持つことを考えたらその違いがわかる。
中国日本商会会長が、「外部勢力(中国から見て日本の公安調査庁のこと)と接触注意!」と警告し、中国で働くビジネスパーソンを、情報収集活動に巻き込まないで!と日本政府に要望した。日本にはスパイ防止法はないが、日本にスパイ防止法が出来れば、スパイとして逮捕された海外邦人をスパイ交換で救うこともできると、スパイ防止法の制定に積極的な学者もいる。しかし、まさかそれが目的ではないだろう。結局、スパイ防止法は誰が必要としているのか。このことをよく考えなければいけない。本当に日本は再び中国と戦争をするのか。永嶋さんの講演はこの問いかけで終わっている。
防衛3文書に基づき、日本は中国を仮想敵国とした戦争準備を現に着実に進めている。戦争の時代になると、間違いなく人々は分断され、互いに疑心暗鬼の中に引き込まれ、名称はどうあれ、まさにスパイ防止法が活きる時代になる。インテリジェンスとは、敵がいなければ無用なものだ。政権発足後間もなく国会で飛び出した高市発言。この発言は撤回されていない。高市発言は、存立危機事態と認定すれば、日本が攻撃されていなくても日本が中国を攻撃することがあり得るという発言だ。事実に基づく熟慮が求められている。(T・T)

永嶋靖久弁護士
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