12・18自衛隊ハラスメントと心的外傷
~原告自衛官と精神科医蟻塚亮二先生と考える~
性的暴力を許さない闘いのために
【東京】12月18日、衆議院第二議員会館の会議室で、「自衛隊ハラスメントと心的外傷~原告自衛官と精神科医蟻塚亮二先生と考える~」が現役自衛官セクハラ国賠訴訟の支援 クローバーの会主催で行われ、この催しは、現役自衛官セクハラ国賠訴訟第13回期日の後に行われた。
司会進行の武井由起子弁護士。
今日取り上げるのは三つの裁判。一つ目は防衛大学いじめ裁判、二つ目は現役自衛官セクハラ国賠、三つ目は幹部自衛官パワハラ裁判。(紙面の都合で、現役自衛官セクハラ国賠のみを紹介する)
開催趣旨。全国の自衛官たちの相談に乗ってきたり、様々な裁判をやってきた。特に2022年陸自の自衛隊員が性暴力を告発して以降、その直後に特別防衛監察というのが設定されて、翌年結果と有識者会議の提言が発表された。それでも自衛隊のハラスメントはまったく減っていない。その後やった当会のアンケートでも自衛官たちが何も変わっていないと言っている。3回のWebアンケートで世間に訴えてきた。現役自衛官のハラスメント訴訟の支援の会が裁判のたびに毎回イベントをやっている。
現役自衛官セクハラ国賠被害者の症状
武井弁護士が現役自衛官セクハラ国賠の概要(別資料)を説明した。
事件が起きて10年以上経っているが、それでも不眠とかフラッシュバックとかがある。苦しんでいる。裁判所はなかなか分かってくれない。蟻塚先生は投げる蹴るでなくても心的な大きな不調になることを明らかにしてくれた。
診断名は①急性ストレス障害とPTSDになっていった②解離性障害:心に深い傷を受けたことが原因で自我が分裂する。③交感神経興奮状態による過覚醒:いつも戦場にいるように興奮してしまい、なかなか寝られない。スイッチが切れるとぐったりしてしまう。④複雑性PTSD:拷問や強制収容所などの組織的暴力や家庭内暴力や性的虐待などを原因として、感情のコントロールができなくなり、人との関係が築けなくなる。⑤これら精神症状による慢性的な心身不調ということ。
蟻塚意見書の要点は①2013年の加害隊員からのセクハラの直後から急性ストレス障害のみならず解離性障害や過覚醒の症状が出ていること。②組織の不作為や二次加害ともいえる作為などを通じて、セクハラ直後の症状から更に重くなっている。③現在もなお様々な症状に苦しみ、PTSDや解離性障害についても重症のレベルである。
蟻塚先生からの発言
「一番の救いは原告自身が前を向いて闘う姿勢であることだ。ありがたいと思う。解離性障害はPTSDではしばしばあるが、PTSDが悪化して、二重人格に近いような現実感覚が非常に乏しくなる。それがなかなか直らない。PTSDが軽くなってくると解離性障害が消える。被害者は「2年ぐらい前、訴訟もうまくいかないし、友達も亡くなり、自分も死んだら楽だなあ」と思ったりしたこともあった」。
「今の原告も10何年経っているが依然として、フラッシュバックしてくるということがある。これは勝たないと勝てば消えますね」。
現役自衛官の発言から
「被害を受けた当事者として、痛めつけられることに対して、洗脳されようとすることに対して、耐えようとすることのストレスがすごく大きい。例えば、私の場合であれば国賠訴訟しますと言った瞬間に群司令室に呼ばれて、1時間ずっと、あなたの行為は間違っている、あなたの契約した弁護士は買弁行為をしようとしているだけだ。公益通報による調査の時も、1対3で男三人が私に対して、裁判所ですらセクハラと言っていないでしょ、おかしいのはあなたなんですよ。塀の中に居ると、一対多勢の中で洗脳しようとしてくる。佐藤弁護士の所に、千歳の女性自衛官が夜来て、私って間違ってますかと言ったのはそういうことなんです」。
「この悔しさという言葉一つで、現せないくらい、精神がグーと強く固まっていくような感覚を覚えている。それが一般の社会の中で受けるハラスメントなどと違うところだ。塀の中に暮らしているので、あなた一人とそれ以外でまとめられて、そこで圧が掛けられるので、私の時は洗脳されないように思えば思うほど、すごくストレスを感じた」。
「今回の資料の防大の件に関して、現役の自衛官として思うことは、当時防大にいた人は今も現役の幹部として働いていると思うとやはり怖いです。この裁判については国は犯罪行為ということを認めていない状態で彼を自由にしている。そうなると、彼らはこの判決を楯にして、国ですらハラスメント、いじめ犯罪として認めてないのだから、許される行為なのだとまた同じことを繰り替えす」。
「絶対許されるべきではない。塀の中にいる人達は感覚がおかしいので、現役の自衛官が助けを求めた時は皆さんのお力がすごく大事になってくる。こうした会合に参加してくれたり、裁判を傍聴してくることが当事者としても家族としても心強いのでよろしくお願いします」。
阿部知子さん(立憲、衆議院議員)発言
「ハラスメント防止の有識者会議とか、外部の相談窓口を作るとか、自殺者数をきちんと統計に上げて公表するとか、その都度質問趣意書で国会でいろいろやってきた。それで25年経って、その間に五ノ井さんの問題、二人の自衛官の話など聞くと、本当に国会は何をすべきなのかと改めて考える。あなたがおかしい、上意下達で反抗してはいけないという自衛隊の組織文化もある」。
「ともかくいろんな手立てで自殺に至らないようなサポートをどう作れるか今も課題だ。どういう相談窓口があればいいのか。特別防衛監察の問題なども新たに取り上げていかなくてはいけない」。
「18・3兆円の補正予算が可決成立した。その内でこれまでになく大きい防衛予算は8472億円。緊急に必要だということで、それは自衛隊の人的な待遇の改善に1674億円。いいじゃないと思うとそうではない。その中で死ぬほど苦しんでいる人がいる、自衛隊に応募する人が少ない、労基法も人事院もまったく手が出ない所ですから、今後の取り組みの課題にしていきたい」。
小宮山泰子さん(立憲、衆院議員)、福島みずほさん(社民、参議院議員)、本村伸子さん(共産党衆議院議員)も参加しあいさつした。
武井さんが当事者の心情ということで寄せれたメッセージを紹介し、会を終えた。(M)
「セクハラNOを無視された10年」現役自衛官セクハラ国賠訴訟について
事案概要
着任直後から日常的にやりとりをする部署の年長隊長より、日常的に「セックスしなきゃダメだぞ」「やらないと乾くぞ」等と言われる。2013年1月28日、同隊員が「〇〇行きの荷物はどうなってるんだ馬鹿野郎」と激高して電話をかけてきて「◦◦(原告の交際相手の名前)とやりまくって業務を疎かにするんじゃねえよ」「◦◦とやり過ぎなんだよ」と言った。
原告の申告にもかかわらず放置されたため、様々なルートに相談するが、隊長「加害者にも家庭がある」、セクハラ相談員「我慢するしかない」。原告が当時の弁護士経由、本件処分やセクハラ教育の徹底を求めたところ、原告実名・加害者匿名の不適切な研修が大規模実施され、むしろ厄介者払いされるように。原告は、やむなく加害隊員に対し民事訴訟を起こしたが、相手は事実無根と反訴請求し、組織はそれを全面支援し隊員15名が虚偽の陳述書を提出。結局、公務員は責任を負わないと請求棄却されるが、「原告の尻や胸等の身体部位に関する発言や性行為に関する発言等は職場における発言内容として不適切」とセクハラ認定(加害隊員が控訴するも棄却)。
組織は原告敗訴にてセクハラなしと対処せず、原告は相談窓口から河野(元)統合幕僚長に至る様々なところに相談をしたが、臨時勤務後、再度、加害隊員と接点のある仕事に戻された。
加害隊員は行為から6年後に突如「戒告」処分となるが、すぐ定年退職。隠蔽加害者らは何ら処分されず。一方、原告は昇給遅れ、裁判に組織の文書を出したと警務隊に告訴され、検察送致で起訴猶予、訓戒、それによりボーナス減額されるという不利益取り扱いを受けている。
2023年2月27日、国を提訴した。
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