国際情勢決議案

危機が収束する中、搾取され抑圧された人々をいかに前進させるかという課題

第四インターナショナル国際ビューロー

この国際情勢決議案(更新版)は、第18回世界大会に向けて2024年2月の国際委員会で採択され、すでに本紙に掲載された国際情勢決議案をアップデートしたものである。10月に開かれた国際ビューロー会議で討論され、その後の国際書記局会議で案として決定された。この決議案をめぐっては、すでに国際的な討論が展開されており、国際少数派の対案も出されている。また、今後の情勢の変化に対応した修正もなされるだろう。日本からも東アジア情勢などについて、補足意見書を提出する予定で、現在準備中である。(大森)

はじめに

 2年前には、この複合的危機がどのようなスピードで進行しているのか、ほとんど誰にも予想できなかっただろう。2024年末までに、われわれは「化石文明」がもたらした気候システムの質的劣化の結果、すなわち温暖化、干ばつ、氷冠の融解、激しい洪水、種の絶滅を経験しつつある。地球規模の危機は、生態系、食糧システム、健康(パンデミック)、支配的な国際秩序、列強の地政学など、あらゆる分野に影響を及ぼしている。
 同時に、われわれはテレビやソーシャルメディアで、ガザとヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ人の大量虐殺を目の当たりにしている。この蛮行は今や、中東全体の国境を塗り替えることを目的とした、シオニスト国家による多方面からの攻撃へと移行している。アメリカに後押しされたイスラエルによる近隣諸国や、何百人もの市民の虐殺およびハマスやヒズボラの指導者の暗殺に反対する人々に対する攻撃は、すでにイランの反発を招いており、国家間の地域的な公然戦争へと近づくという憂慮すべき事態になっている。
 覇権的な帝国主義も新興帝国主義も、地球温暖化に対する真剣な対策を講じようとはしていないし、ネタニヤフ首相やプーチン大統領の血なまぐさい膨張主義に終止符を打とうともしていない。ロシア帝国主義のウクライナ侵攻によって引き起こされた戦争は、2022年2月以来続いており、攻撃を受けているウクライナの人々や、プーチンの権威主義によって沈黙させられているロシアの反対勢力にとって好ましい解決の見通しは立っていない。
 シオニストであるイスラエル国家がパレスチナで実行している侵略・略奪・アパルトヘイトのような紛争に直面した国連の非力さを考えると、第二次世界大戦後に生まれた国際政治構造は深い危機に瀕している。
 アメリカと中国の経済的・地政学的競争が激化するなか、世界は軍事化し、核の脅威が再浮上し、紛争と緊張が高まっている。パンデミック後の経済危機は、新自由主義的なリストラと不安定さによってすでに弱体化している社会の構造をさらに綻びさせようとしている。(新)自由主義的民主主義の信用失墜と相まって、これは21世紀の極右勢力を強化する一助となっている。極右勢力は世界中で、かつての新自由主義政権や社会自由主義政権への失望、変化する世界における深い不安、規制緩和されたソーシャル・ネットワークの技術を利用して、ブルジョアジー、小ブルジョアジー、民衆の一部をファシスト、反労働者、反左翼、外国人嫌悪、女性嫌悪、同性愛嫌悪、トランス嫌悪、障害者差別という考え方へと向かわせている。
 加速する気候変動、戦争、社会的・政治的危機によって、人間性の豊かな部分が一掃される恐れがある。第四インターナショナルの活動家と同調者が革命的理解と行動で応えているのは、左翼の社会的・政治的オルタナティブが今のところ欠如しているこの荒涼とした困難なシナリオに対してなのである。新自由主義的資本主義の多面的な危機が、地球を崩壊に、人類を絶滅に近づけているとすれば、私たちの計り知れない任務は、必要な緊急ブレーキの建設に協力することである。

I 多元的な地球的危機


 人類の大問題は、かつてないほど国際化している。資本主義の危機は多元的かつ人間社会と地球に対するものとなっている。(a)環境危機―ここ数年、ますます極端な気候現象を引き起こし、地球上の人類の生存を確実にするための対策の期限を短縮させている、(b)永続的な経済停滞とそれによる社会的分断、(c)危機に陥った民主主義国家と新自由主義政府が切り開いた道に沿った極右勢力の進出、(d)アメリカと中国との国家間システムにおける富をめぐる争いの激化、(e)戦争の危険な増大と激化……これらの間には、階層構造のない、さまざまな領域の弁証法的な結びつきがある。
 新自由主義的グローバリゼーションの危機は、資本主義の歴史に新たな局面をもたらした。それは、1970年代末に新自由主義的グローバリゼーションが確立して以来われわれが生きてきた時代とは質的に異なる時代であり、特に階級闘争と国家間の闘争の観点からは、33年前のソ連と東欧の官僚制の崩壊によって開かれた時代よりも対立的である。

1・1 現在の 「政治危機 」を特徴づけているものは何か?

 この状況と、20世紀初頭の「大惨事の時代」(1914―1946年)をもたらした一連の危機との間には、2つの大きな違いがある。100年前には存在しなかった最も直接的な脅威は、2世紀にわたる略奪的資本主義的蓄積によって引き起こされたエコロジー危機である。
 化石燃料を燃やし、食肉と超加工食品の消費を増大させることにもとづくグローバル化した企業経済は、気候危機を急速に悪化させている。気候は、地球上の人類の未来を縮小させるだろう。極地と氷河の融解は、海面の上昇と水の危機を加速させている。アグリビジネス、鉱業、炭化水素の採掘は、地球の気候システムと生物多様性の維持に不可欠な熱帯林を(抵抗に直面しながらも)破壊している。気候危機の影響は、インフラ、農業システム、生活を破壊し、大規模な人間の移住を引き起こしながら、激しく顕在化し続けるだろう。こうしたことは、必然的に社会的矛盾を激化させるだろう。
 (100年前とは大きく異なる)注目すべき第二の要素は、大衆的・革命的オルタナティブの不在である。実際、これまでになく急速な変化の中で、大衆の目から見て信頼できる資本主義に代わるオルタナティブの不在、反資本主義勢力や経済・社会革命を主導する勢力の欠如という問題はより深刻になっている。資本主義とその国家間システムにとって極めて不安定な瞬間は、社会運動と左翼の政治的・思想的分断が大きくなっている瞬間でもある。この分断現象は、賃金労働者階級が経験した構造的変化、地理的変化(産業労働者階級の大半がアジアに移転)、技術的・組織的変化(生産の再編成)、イデオロギー的変化(新自由主義的超個人主義、新たな政治空間としてのソーシャル・ネットワークによって悪化)とあいまって、多くの人々が「現存社会主義」とみなしていたものの崩壊と関連している。これに加えて、ギリシャのシリザ政権(2015年)のような「左派」政権や、スペインのPSOE―ポデモス政権(2020~2024年)、ブラジルのルラ大統領とディルマ大統領(2003~2016年)、フランスのオランド政権(2012~2017年)などのいわゆる「進歩的」政権や中道左派政権の否定的な結果もあって、闘争がより困難な状況となり、闘争が政治意識と組織に与える影響が弱まっている。

1・2 危機は互いに強化し合っている:戦争、社会再生産、アルゴリズム

 多元的な危機とは、危機の単純な総和ではなく、弁証法的に連結された組み合わせであり、それぞれの領域が他の領域に影響を与え、また影響を受けている。(パレスチナ戦争が勃発する前の)ウクライナ戦争と経済停滞の関連は、世界の最貧困層の危機的な食糧事情を深刻化させ、10年前(2014―2023年)よりも2億5000万人以上も飢餓人口が増加している。戦争、気候変動、食糧危機、抑圧的な体制の蔓延によって移住を余儀なくされる人々の流れは、特に最貧国の間で増加している。
 地域的・国際的な軍事的緊張の高まり、政府の言説や予算の急速な軍事化、兵器産業の最近の成長も、グローバル市場における競争の激化、新植民地主義的な対外活動の激化、(電気自動車や最新世代兵器の生産、デジタル経済や人工知能の怪物にとって必要不可欠な)戦略的鉱山をめぐる争いを考慮に入れずに説明することはできない。中東、シナ海、アフリカがその好例である。また、五大陸と全海洋における一連の生態系破壊は、この資本主義間および帝国主義間の競争の高まりと関連づけなければ説明できない。このことは、武器経済(特に第二次世界大戦後)が、あらゆる形態・地理・時代における帝国主義の構成要素であり、永続的な要素であることを改めて示している。
 気候変動、土地の貧困化、寡頭勢力による最も肥沃な領土の収奪、国民所得に占める賃金労働者の割合の低下、新自由主義国家による基本的サービス(保健、教育、水など)の放棄と悪化は、個人間の格差を増大させ、とりわけ国、社会階級、地域社会、民族間、男女間、人種間の所得、商品、富へのアクセスに大きな距離を生じさせている。
 悲惨な環境と経済の見通しにより、各国のブルジョア階級の一部は、利益を増やす最善の方法として形式的な民主主義のプロジェクトを放棄するに至っている。ますます重要なビジネス部門が、自由民主主義国家の中で権威主義的なオルタナティブを支持するようになり、その結果、すべての大陸で右翼原理主義的な動きが強まり、極右政権が台頭している。各国のブルジョア階級の間には亀裂――この亀裂が永続的であることに留意しなければならない――があり、支配階級の一部は極右に転向し、他の一部はブルジョア民主主義プロジェクトに留まっている。この資本家階級各分派間の分裂の最も顕著な例は、アメリカにおけるトランプ主義(共和党を席巻)と民主党の二極化である。
 超個人主義的な新自由主義的社交性の拡大は、右派によるソーシャルネットワークの利用、そしておそらくはAIの利用ともあいまって、労働者階級の脱政治化、分断化、保守主義をさらに助長している。デジタル技術は、雇用や賃金労働者の生産的組織への影響に加え、世界の主要な食糧生産者であると考えられている中小農民の、直接的な削減とまではいかなくとも、従属化・顧客関係の深化にも寄与している。今日の新自由主義的資本主義は、デジタル機器とアルゴリズムを新たな生産力として導入し、デジタル・プラットフォーム上の労働の出現――ユーバー化と呼ぶ人もいるが、これはすでに2億人以上の労働者を占めている――と、市場によって排他的に媒介されるさまざまな社会関係を生み出している。
 他方で、このシステムは、福祉国家の残骸を暴力的に攻撃し続け、産業労働者やサービス労働者を、特に介護や社会的再生産労働の超搾取を押し付けることによって、女性、とりわけ女性労働者を、そしてさらに暴力的に人種差別されている女性(「北」においては、アフリカ人の子孫、ロマ、先住民族の子孫、アフリカ人、インド人)を、(ひどい状態のまま)生き延びるか、それとも反撃するかのジレンマに陥れている。新自由主義は、女性を正規の労働力(主に北半球)にとどめるか、あるいは(世界中、特に南半球において)より強固でない、よりインフォーマルな形態にとどめ、賃金労働者(産業、サービス、商業のいずれにおいても)の賃金と所得をさらに引き下げるかしている。伝統的家族への回帰というイデオロギーは、新自由主義的基盤の構成要素であり、極端な極右原理主義に持ち込まれ、すべての働く女性に子ども・高齢者・病人・障害者の介護という仕事を負わせる。こうした仕事は、かつてはとりわけ先進資本主義国においては、福祉国家によってカバーされていた仕事だが、現在では容赦なく削減されている。新植民地主義諸国では帝国主義本国以上に社会的再生産のネットワークが危機に瀕している中、新自由主義社会は介護の仕事を家庭化(家族への回帰)させ、人種化(非白人、黒人、黒人女性、移民に引き継ぐ)しているが、社会的再生産全体には責任を負っていない。

1・3 経済・社会情勢

 われわれは、2008年の暴落(リーマン・ブラザーズの倒産)による経済危機――その前年に始まり、世界的大不況を招いた――の影響下にある。われわれは、新自由主義的グローバリゼーションの危機を経験しているところである。第一に、このような資本主義機能様式は、1980年代後半から1990年代にかけての成長率、利潤、蓄積を保証する能力がもはやかつてのようには存在しないからである。第二に、戦争やナショナリズムの台頭によって地政学的な二極化が進み、超国際化されたバリューチェーンが揺らいでいるからである(例えば、ヨーロッパとロシアのエネルギーチェーンや、電気通信や人工知能における中国の主導権を阻止しようとアメリカが激怒しているグローバルチップ生産など)。しかし、こうした困難によっても、新自由主義的帝国主義政府とその下部組織が賃金・社会予算・農業の商品化に対して冷酷な調整と攻撃を続けることは阻まれない。
 暴落以来、新自由主義経済は利潤と蓄積を回復させる方法を模索し、資本の集中、民営化、金融化、公的・私的債務の増大など、同じことを繰り返してきた。成長率の停滞や鈍化、(ロシアのウクライナ侵攻によって深刻化した)インフレ、旧態依然とした新自由主義政策の適用は、国家間や国家内の社会的、地域的、人種的、ジェンダー的格差を悪化させるだけだ。
 生産と消費プロセスのデジタル化は30~40年前から進行しており、いわゆる新自由主義的な生産の再構築の基盤であったが、AIの加速度的な導入により、現在その勢いを増している。これもまた、労働の生産性を高め、利潤を増大させるためであり、雇用を削減し、労働者をより不安定にし、ビッグ・テックにますます大きな力を与えることになる。
 労働者大衆の生活水準を揺るがす不況という性格に加えて、インフレに対抗するための金利上昇は国債や民間債務を増加させ、スリランカ、ガーナ、ザンビアですでに発生したような、あるいはアルゼンチン、ナイジェリア、パキスタン、エジプト、ケニア、バングラデシュ、チュニジアなどの数十カ国にはIMFや中国が緊急融資をおこなうことでぎりぎりで回避されたような、新たな債務不履行危機の状況を作り出す。企業による「危機回避」(=利益維持)の野放図な追求は金融投機を助長する。これは、2008年のような倒産の波によって、永久にシステムを脅かす。

Ⅱ 極右が「新自由主義的民主主義」、労働者、被抑圧者に挑戦している


 2008年以降の不況のあと、しかしより明確には2016年(ブレグジットとトランプ勝利)のあと、新たな極右勢力が国家と社会に進出している。今日、彼らの世界的な前衛は、大量虐殺を行うベンヤミン・ネタニヤフであり、中東における人種差別的な植民地入植者の役割である。ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカで勢力を拡大していることに加え、極右勢力はアメリカと世界を脅かしている。
 21世紀の極右は、選挙での勝利、移民排斥策、自由や社会的権利の制限によって強化され、拡大してきた。彼らは自らを「反体制的」(生活環境の悪化、腐敗、不安と偽善的に同一視する政治体制に対抗する)と称しているが、まったくそうではない。彼らは、現段階の資本主義を擁護する究極の表現なのだ。超自由主義的な政策や、場合によっては外国人排斥的なナショナリズムの実行を確実にするために、彼らは反動的な伝統主義的言説や、最も暴力的な人種差別主義を、通常は宗教原理主義者――アメリカやブラジルのペンテコステ派キリスト教、インドのヒンドゥー教、パキスタン、アフガニスタン、イランのイスラム教など――の仮面をかぶって利用する。
 彼らは、巨大化し、規制のないソーシャル・ネットワークを利用した広範かつ初期の経験を生かし、労働者全般の権利、とりわけ移民、女性、LGBTQIA+の人々、障害者、国内の少数民族や宗教的マイノリティ(あるいはマジョリティ)、人種差別された人々全般、環境保護活動家の権利に宣戦布告している。彼らは、あらゆる科学的否定論と陰謀論を駆使して、環境保護運動や気候変動を信じる人々に対して公然と戦争を仕掛けている。
 古典的なナチスの祖先のように、彼らは本質的にさまざまな民族集団(ヨーロッパでは移民の2世、3世、4世、アメリカでは黒人、アジア系、アラブ系、ラテン系など)に対する人種差別主義者であり、最近の移民の波に対しては、雇用と不安の問題の責任をなすりつけ、特に暴力的であることが多い。東南アジアでは、モディが国内の約3億人のイスラム教徒に対してそうであるように、「選ばれた敵」は公式の宗教以外の少数派である。
 極端な新自由主義と原理主義的な伝統主義や人種差別主義とのこの組み合わせは、資本主義体制にとって深く機能的である。それは、体制の構造的危機から抜け出す「後進的」な経済的・政治的・イデオロギー的方法を求める、南北の広範なブルジョア分派の模索の表れである。こうした資本家は、権威主義的な支配の導入、権利の破壊(もちろん社会福祉国家の名残はすべて)、女性の家事領域への復帰(すなわち労働力の単純な再生産)、人種差別を受ける人々や性的異議申し立て者に対する最も残忍な抑圧と不可視化、移民とその子孫の追放、大衆運動の鉄拳制圧、残忍な構造調整と収奪、特に農民と共同体社会に残されたものの収奪を約束する人々を支持し続けている。これらすべては、失われた蓄積率を回復することのできる超搾取的な多数派による社会、理想としては矛盾のない社会を実現するためのものである。
 急進右派の台頭と躍進は、数十年にわたる(新自由主義的な)民主主義とその制度(新自由主義下で国家を運営してきた「左派」を含む伝統的な政党を含む)の危機の結果である。新自由主義に傾倒するこれらの政府や体制は、不平等、腐敗、危機、悲惨、戦争、気候災害を増大させ、南から北への移住を促してきた。その結果、南から北への移住が促進され、民衆や労働者の願望に満足のいく答えを与えていない。こうして、財産を所有する中産階級や特権的な給与所得者層(ホワイトカラー労働者)、さらには最も弱い立場の人々が、権威主義的な選択肢に目を向けるのを助けてきた。
 新たな極右勢力は、40年にわたる新自由主義がもたらした社会構造の崩壊、2008年以降の危機の深刻化に直面した貧困化した社会部門の絶望の複合的な結果であり、(1)「進歩的新自由主義」右派と、貧困化、雇用不安、犯罪に直面した不安を抑制するための社会民主主義(「南」と「東」では社会自由主義と「進歩主義」)に代表される「オルタナティブ」の失敗、(2)急進的な反対の道を提示する民衆的な革命的オルタナティブの一般的な欠如と結びついている。
 このような状況は、第四インターナショナルに、極右、権威主義、伝統主義的ネオファシズムの勢力と闘うだけでなく、それらの勢力を生み出し、今も生み出し続けている新自由主義的・反動的な政策と闘うという任務をあらゆる方面で突きつけている。極右勢力の前進の深い根を理解することは、一方では、選挙や闘争において極右勢力を打ち負かすための団結した政策を要求し、他方では、資本主義の戦略的敗北を導くことができる唯一のものである過渡的・エコ社会主義的要求を支持することを要求する。

Ⅲ 労働者、被抑圧層、世界人民は動員で応えた、そして今は?


 われわれは今世紀、民主的で反新自由主義的な闘争の少なくとも三つの波(今世紀初頭、2011年、2019――2020年)、新たな女性運動、米国で生まれた反レイシスト運動、そして世界中で気候正義を求めるさまざまな闘争を経験した。しかし、こうした主要な闘いは、客観的には新自由主義的資本主義とその政府だけでなく、労働世界の構造的再編成のジレンマにも直面している。
 広義の労働者階級(賃金労働者)は、(米国の脚本家や俳優のストライキにおける抵抗が示すように)現在、人工知能の影響に直面する準備をしているが、依然として活気に満ちた多数の勢力である。数万人から数十万人の労働者を抱える大規模な工業団地が、中国と東南アジアに広がっている。しかし、西側諸国の多くで産業労働者階級の社会的重みが失われている中で、抑圧された部門、若者、不安定労働者の新しい層は、まだ恒常的に組織化されておらず、一般的に、弱体化した労働組合運動と団結することは困難である。同時に、組合を組織化する伝統的な方法は、今日のプレカリアートのニーズを十分に満たせないことが多い。一方、アフリカ、南アジア(インドとパキスタン)、ラテンアメリカの農民は、勇気を持って帝国主義農業の侵略に抵抗している。世界人口の10%を占める先住民族は、領土をめぐる資本の進出に抵抗し、全人類にとって不可欠なコモンズを守っている。アラブの春の敗北、シリアの悲劇、そして今、シオニズムの拡張主義的な前進は、中東の人々の回復力をさらに遅らせるだろう。にもかかわらず、私たちはイランの女性と少女たちの英雄的な蜂起を目撃している。
 2008年の危機のあと、世界中で大衆動員運動が再燃した。アラブの春、ウォール街占拠、マドリード・ソル広場[15―M運動]、イスタンブール・タクシム広場、ブラジルの2013年6月、フランスの「夜、立ち上がれ」運動や「黄色いベスト」運動、ブエノスアイレス・香港・サンティアゴ・バンコクでの動員。この第一の波の後、2018年から2019年にかけて、パンデミックによって中断された蜂起と爆発の第二の波が続いた:ジョージ・フロイドの死にともなうアメリカとイギリスにおける人種差別主義者に対する反乱、世界各地での女性の動員、ベラルーシのような独裁政権に対する反乱(2020年)、2021年に勝利したインドの農民の大規模な動員。2019年は100カ国以上でデモやストライキ、政権転覆の試みが行われ、そのうち6カ国で政権が完全に転覆されるか、改革反対へと改められた。
 パンデミックの余波の中で、フランスではマクロン大統領の年金改革に反対する3カ月間の抵抗、中国では中国共産党の抑圧的なゼロコロナ政策を打ち破るのに貢献した労働者・学生・民衆の反乱が際立っている。アメリカでは、新しい生産部門(スターバックス、アマゾン、UPS)において、組合化と闘争のプロセスが続いており、下部組合員による官僚指導部に反対する新たなプロセスが出現し、教育や保健分野の労働者によるストライキが行われている。2022/2023年には、ハリウッドの脚本家と俳優の大ストライキが目立ち、それに加えて、国内の三大自動車メーカーの労働者による歴史的かつこれまでのところ勝利的なストライキがある。
 もちろん、現在の諸勢力の相関関係は、パンデミックの最中にでもそうではなかったように、まったく攻撃的なものではない。しかし、パンデミックは、2020年のトランプの敗北にとって重要な「ブラック・ライブス・マター」や、数カ月前のフランス左派の顕著な選挙対応力を説明するのに非常に重要な「フランスの年金改革反対ストライキ」に道を与えた。以前の闘争の波が衰退し、台頭する極右が危険で根本的な敵であると指摘すること(正しい発言)は、世界の搾取・抑圧された人々が長期的には敗北し、粉砕されると結論づけることにはつながらない。他方、われわれが歴史的に敗北していないと言うことは、われわれが攻撃的・革命的状況にあるということを意味しない。搾取・抑圧された人々が新しい組織形態の下で、「攻撃主義」や敗北主義的印象主義を超えて、以前よりも困難な状況下ではあるが、戦争・気候変動・構造調整計画の中で自分たちの生存とより良い生活条件のために闘い、資本とその悪行に対して困難さをともないながらも抵抗し続ける能力に対する現実的な判断がある。

Ⅳ 戦争と地政学的カオスの時代:世界秩序の再構築に向けて

 国際的な地政学的状況は、覇権帝国主義であるアメリカと、新興帝国主義である中国との対立によって支配されている。この対立の特別な特徴は、新自由主義的グローバリゼーションの遺産である両者の高度な経済的相互依存である。2008年までのようなグローバリゼーションはもはや存在しないが、脱グローバリゼーションも存在しない。地政学的な対立は、この構造的危機の徴候であり、ここでも私たちは前例のない領域に足を踏み入れている。
 構築中の無秩序は、世界をより対立的で危険なものにしている。数年前の「地政学的カオス」は、トランプ政権が誕生し、中国との経済戦争に集中するようになってから悪化したが、2022年2月のプーチン率いるロシアによるウクライナ侵攻で質的な飛躍を遂げ、アメリカによって公然と支援され、ヨーロッパ帝国主義によってそれほど公然とは支援されていないイスラエルのシオニズムによって引き起こされた戦争で第二の飛躍を遂げた。プーチンに対抗するためにNATOが強化され、中東全域で国境線を引き直すというネタニヤフ首相の目標に対するアメリカの財政的・軍事的支援によって、状況はエスカレートしている。こうして戦争産業は、何十万人もの人々の血を犠牲にして、何十億ドルもの利益を得ている。
 NATOにおけるアメリカの役割、その指導力、イスラエルの帝国主義戦争への支援にもかかわらず、歴史的観点から見れば、アメリカの覇権的パワーは相対的に弱まっている。新たな帝国主義がロシアのように自らを主張したり、中国のように戦争に巻き込まれない形で台頭してきたりしている。このように、世界的に不安定な状況が続く中で、絶えず再編成が行われているのである。いずれにせよ、(ソ連崩壊後の)アメリカ主導のブロックによる一極性はもはや存在しない。インドは、アメリカとの政治同盟と中国との対抗関係を維持しながら、ロシアとの経済(石油)・技術(戦争産業)協力関係を緊密にし、BRICSに参加するという二重の駆け引きをすることで、地域(少なくとも準帝国主義)大国としての自己主張を試みている。

4・1 戦争と地政学的緊張の拡大

 われわれは、あらゆる種類の戦争の増加と激化を目撃している。それは内戦(スーダンやミャンマーなど)、帝国主義間の戦争と緊張、植民地化のための帝国主義戦争(イスラエルの近隣諸国での戦争など)などである。ヨーロッパと中東の全域で、戦争の太鼓が鳴り響いている。東アジアでは地政学的緊張が高まっており、南シナ海における中国の主張は他国の海洋権益を侵害している。中国は、アメリカに間接的に反抗する政策として、特にフィリピンの艦船を挑発している。アメリカの目的は、戦略的に重要な地域に対する軍事的優位を維持し、中国を封じ込めることである。ドゥテルテ大統領の方針とは少し逆に、フィリピンのマルコス政権はアメリカに接近している。南シナ海の非軍事化は急務である。
 2024年に入ってから、南北朝鮮間の緊張は対話の時期を経て再びエスカレートしている。北朝鮮は緊張緩和のための2018年の南北合意を破棄し、2024年10月には憲法を改正して韓国を敵対国家に指定した。北朝鮮と韓国の両政府は、それぞれ中国とアメリカの支援を受け、対立的な強硬路線をとっている。
 ミャンマーでは軍事政権に対する抵抗勢力が拡大しており、軍事的にも外交的にも大きな成果を上げている。軍事政権が敗北する可能性もある。中国は2021年以降、軍事政権に決定的な支援を与えたが、現実的なアプローチをとっている。もし軍事政権が中国の投資保護を保証できないのであれば、北京は保証できる政権と協力することを望んでいる。
 核の脅威はより具体的になりつつある。局地的な核のホットスポットはすでに四つある。その一つは中東、つまりイスラエルである。他は、ウクライナとロシア、インドとパキスタン、そして朝鮮半島である。このうち活発なのは朝鮮半島だけだ。北朝鮮の政権は、アメリカ海軍航空隊が駐留し、海外最大の米軍基地がある地域(日本、特に沖縄)で、定期的にミサイル発射実験を行っている。

4・2 全般的な不安定性

 東南アジアでは、インドがパキスタンとの核による対抗関係を続けている。パレスチナ、レバノン、スーダン、イエメン、コンゴ民主共和国東部では爆弾やドローンによる殺人事件が発生している。さらに、メキシコ、ブラジル、エクアドルで見られるように、ラテンアメリカ諸国においては、犯罪組織との絶えまない戦い、犯罪組織と住民との戦いといった隠された内戦も発生している。
 この紛争状況は、アフリカの地政学と地経学を発展させており、ロシアは特に西アフリカの旧フランス語圏植民地で、フランスやアメリカと経済的・軍事的に競合している。一方、中国はアフリカ大陸全土、ラテンアメリカ、カリブ海諸国で経済的影響力を強めようとしている。
 40年間の新自由主義的グローバリゼーションのあとも、植民地および半植民地諸国では、格差、飢餓、社会保障制度の欠如、独裁政権、土地収用、血なまぐさい社会紛争の割合が依然として高いままである。しかし、金融、生産、商業、文化の国際化は、問題と政治的分極化の点で北との不合理な均衡も生み出している。極右の台頭(ドゥテルテ、ボルソナーロ、モディ、ミレイ)、犯罪組織の勢力拡大、気候災害(インド、バングラデシュ、フィリピン、ブラジル)、国家および政治体制の危機、内戦(ミャンマー、スーダン、コンゴ民主共和国、ハイチ)、国家間の戦争などである。世紀初め以来、南アメリカは一連の闘争、大衆デモ、民衆の爆発、これらの闘争から生まれた改革派政府の選出、そして多くの政治的二極化の舞台となってきた。なぜなら、新資源略奪主義、自然の略奪的搾取、社会の崩壊、格差、日常的な暴力、軍事化、政治危機が拡大しており、それが極右の選択肢をも刺激しているからだ。2018年から2022年にかけて、新たな動員サイクルがアンデス諸国を急進的に席巻した。一方では、民主主義と経済の要求を組み合わせた抵抗、高揚、社会闘争と、他方では中心的敵としての極右の永続性が組み合わさった。これらの闘争は、ときには第二波のいわゆる「進歩的」政府の選出へと集中されている。
 12億人の人口を抱えるアフリカ、特にサハラ以南のアフリカは、不平等で複合的な資本主義発展の「不均衡」部分の犠牲者となっている。世界銀行は、2030年までに世界の極貧層の87%がアフリカに住むと推定している。アフリカは世界の炭素排出量のわずか4%を占めるにすぎないが、気候災害に最も脆弱な10カ国のうち7カ国はアフリカにある。アフリカの角で4年間続いた干ばつにより、250万人が避難を余儀なくされた。アフリカ大陸は紛争の波に見舞われており、その多くは新たな石油・ガスの発見、帝国主義諸国の「グリーン経済」に必要な低炭素技術のための希土類元素やその他の重要な鉱物(コバルト、銅、リチウム、プラチナ)の支配と採掘をめぐる競争に関連している。
 旧植民地大国と並んで、アメリカ、中国、ロシアは、過剰搾取の形態を通じて富を搾取し、アフリカ大陸での紛争を煽る上で重要な役割を果たしている。地域戦争、クーデター、内戦は引き続きアフリカの政治経済を特徴づけている。ロシアは、西側諸国の影響力に挑戦し、自らの影響力を高めるために、アフリカ諸国での戦闘を利用している。西アフリカでの一連のクーデターはフランスの新植民地主義の力を弱め、新政権は軍事的および財政的援助を求めてワシントンの競争相手に頼った。
 ライバルの出現は、前例のない戦争力と、いかなる犠牲を払ってでも地球を支配するという「歴史的使命」を最も確信し、したがって覇権の継続のために戦争を遂行する、最も豊かで軍事力のある国としてのアメリカの本質を損なうものではない。実際、西側帝国主義「集団」において最終決定権を持ち続けているのは、アメリカである。重要なのは、たとえアメリカが強制力においては無敵だとしても、かつてないほど深刻な問題を抱えているということだ(少なくともベトナム戦争以来)。つまり、帝国主義覇権は、すべての覇権と同様に、同盟国と国内の民衆を説得しなければ維持できないということだ。アメリカは対外的正当性という深刻な問題を抱えているが、さらに深刻なのは、1990年代のいわゆる「一極化」と「対テロ戦争」の時代には存在しなかった内部的正当性の問題でもある。アメリカのビジネス、官僚、政治エリートは、国内支配のプロジェクトをめぐってかつてないほど分裂しており、過去40年間アメリカ経済と中国経済を深く結び付けてきたバリューチェーンを解体するという難題に直面せざるを得ない。
 アメリカは相対的な経済衰退に加えて、「ティー・パーティー」とトランプが、世界最古のブルジョア民主主義のルールを変えるという口実で、共和党を内部から支配して以降、深刻な危機の中にあるブルジョア民主主義社会・体制である。この危機の傾向はさらに深刻化し、トランプまたはハリスがホワイトハウスに就任すれば、かつて全能だった「アメリカ」の弱体化に寄与することになり、行政・議会・司法の間で猛攻撃に直面して、その世界的な目標に損害を与える可能性があるだろう。

4・4 今日の中国の性格

 過去30年間の中国の「大躍進」の本質は資本主義だった。台頭する中国帝国主義は、1980年代以降の大きな社会革命と復興への転換を受け継ぎ、世界の新自由主義的再設計 (アメリカとその同盟国とのパートナーシップで実行)に不可欠な存在となっているが、すべての帝国主義と同様に、その固有の特徴がある。それは、中国共産党と軍隊(人民解放軍)に[権力が]集中した、計画的国家資本主義に基礎を置いているということである。つまり、大企業のほとんどが国有または国営企業と民間企業の合弁企業であり、あからさまに開発主義的な政策をともなう開発資本主義なのである。
 もちろん、台頭する中国帝国主義はまだ構築中である。過去10年間で、中国は資本輸出で飛躍を遂げた。新植民地諸国(東南アジア、中央アジア、アフリカ、ラテンアメリカ)のエネルギー、鉱業、インフラ企業の株式を大量に取得し、世界最大の特許登録機関となった。2022年現在、中国は資本の純輸出国(輸入よりも輸出が多い)となっている。中国は軍備投資を増やしており、ライバル国や弱小国が越えてはならない一線(台湾と南[シナ]海)があるとますます激しく警告している。
 中国の新疆(および歴史的にインドやブータンと争ってきた小さな領土)に対する政策は本質的に植民地主義的であるが、欧州やアメリカのモデルにならって「別の国」を侵略または植民地化することはしていない。中国は現在、アフリカの富を搾取する主要な非西洋諸国である。アフリカの世界対外債務の12%は中国の債権者が保有していると推定されている。中国はすでにラテンアメリカ諸国の主要貿易相手国であり、また主要投資家(特にエネルギー部門)でもある。中国は経済力を利用して、天然資源を担保にした融資、貿易協定、採掘産業やインフラへの投資など、不平等な貿易を押し付けている。

4・5 帝国主義ロシア

 今日のロシアは、旧ソ連の基盤の大規模な破壊と、官僚からオリガルヒに転身した人々による新旧企業の乗っ取りを基盤とした、混沌とした非中央集権的な復興の結果生まれた国家である。世紀の変わり目に、プーチンと彼のグループは、古いスパイ活動と抑圧的なサービス部門から引き抜かれ、オリガルヒ間のボナパルティズム関係と、大ロシアの古い民族帝国主義イデオロギーの21世紀版を利用して、ロシア資本主義の再中央集権化プロジェクトを考案した。これは、他の帝国主義と競争してロシア資本主義を再び主張し、ロシア国民を含む連邦の人民に対する抑圧を質的に強化するための主な手段となった。プーチン政権の極度の抑圧的性質は、ファシズムに向かって進化していると見ることができる。
 ロシアのウクライナ侵攻は何年も前から計画されていた。それは、スターリニズムソ連の国境内でロシア帝国を復活させる壮大な計画の一部であったが、ツァーリ帝国を基準点としていた。プーチンにとって、ウクライナの存在はレーニンに責任のある不正常なものにすぎず、ロシアの枠内に戻さなければならなかった。2014年のドンバス、ルハンシク、クリミアの軍事占領は侵攻の第一段階だった。現在のいわゆる「特別作戦」は非常に迅速に行われ、キエフに達するまで続き、そこで従属政府が樹立される予定だった。油断していた西側諸国は既成事実に屈することしかできず、不意を突かれた。プーチンの軍事力を止めたのは、プーチンだけでなく西側諸国も予想していなかったウクライナの抵抗の規模だった。

4・6 脅威にさらされるヨーロッパ

 ヨーロッパは特に世界情勢の影響を受けている。ヨーロッパ大陸は地球の他の地域の2倍の速さで温暖化しており、極端な降雨現象や海洋熱波などが発生している。経済危機はこの地域に大打撃を与え、生産性の伸びは2002年以降わずか10%(アメリカは43%)で、自動車産業は深刻な危機に陥っている。労働運動は特にスペイン、イタリア、ギリシャで大きな困難に直面しており、左派はもはや再分配の余地のない制度を運営した結果、大きな後退を余儀なくされている。独立した労働者階級の政治勢力の構築は非常にゆっくりとしたプロセスであり、国によってリズムが異なる。しかし、フランスでの年金[改革反対]運動や「新人民戦線」、イギリスでの人種差別主義者の反乱に対する反撃やパレスチナ[連帯]運動のように、労働者階級には依然としてかなりの介入能力がある。
 相対的な経済衰退、階級の構造的弱体化、いわゆる左派政権との苦い経験、戦争・気候変動・帝国主義介入による移民の増加は、ポルトガル、ドイツ、スカンジナビア諸国などこれまで保護されていたように見える国々を含むほとんどの国で極右が成長している理由を説明している。ファシズムはますます現実的な脅威になっている。

V「陣営主義」の台頭


 残念ながら、ここ数年、資本主義のオルタナティブを求める表現として、陣営主義のイデオロギーが成長し、新しい層に広がっていくのを目にしてきた。冷戦時代の国際舞台で「二つの陣営」が対立しているという考えから生まれた表現である陣営主義イデオロギーは、覇権帝国主義の「陣営」に対しては、アメリカのどんな敵や敵対者とも同盟を結ぶ価値があるという考え(敵の敵は味方)にもとづいている。そのため、彼らはシリアのアサド政権、ロシアのプーチン政権、ニカラグアのオルテガ政権、ベネズエラのマドゥロ政権を擁護する。一部の陣営主義者によると、アメリカと深刻な摩擦を起こしている中国は、敵対的存在以上のものであるだけでなく、社会主義のモデルでもあるというのだ。
 この危険な傾向は、世界に対する先入観と誤った分析にもとづいている。世界はもはや二極ではないのに(さらに言えば、「多極化」それ自身は何か良いことを保証するものではない)。この「陣営主義」イデオロギーが強くなるのは、オルタナティブとして現存国家(たとえそれがオルタナティブでないとしても)を信じることの方が、下からそれを作り上げるという課題に立ち向かうよりもはるかに簡単だからである。さらに、中国は強力なソフトパワー(資金力と宣伝力)を駆使して、世界中の進歩的な活動家や知識人に自国が「オルタナティブなモデル」であると信じ込ませている。この有害な「陣営主義」イデオロギーは、旧共産党残党の後継者であるさまざまないわゆる共産主義組織によって特に高く評価されている。それと矛盾しているようだが、これらの組織は(少なくとも)ヨーロッパとラテンアメリカの若者層の間で勢力を拡大しつつある。一部の国では、反スターリニズムの伝統から左翼の一部にもこのイデオロギーが感染している。この状況は、ウクライナ、ベネズエラ、ニカラグアの人々など陣営主義的論理の犠牲者を支援するために、組織的かつ永続的な宣伝、訓練、および具体的な行動に取り組むことをわれわれに課している。

Ⅵ 新たな時代において中心的に必要とされるもの


 帝国主義的資本主義体制によって押し付けられた国家間格差の拡大、そして何百万もの命を奪う戦争や民族紛争に直面して、第四インターナショナルはすべての帝国主義と植民地主義に無条件で反対する。われわれはすべての植民地・新植民地の完全な独立を支持する。われわれはいかなる国家や民族グループも他者の権利を抑圧・制限することのない世界を支持する。われわれが提案する平和は平等で反植民地主義的な平和である。
 われわれはすべての軍事ブロック(NATO、CSTO、AUKUS)の解体のために闘う。われわれは、民衆を犠牲にして「勢力圏」を分配するという論理や、提供される援助に対する新自由主義的かつ政治的条件付けに反対する。われわれは、ヨーロッパのように軍事予算を増やすためにウクライナ戦争を冷笑的に利用することに反対する。
 われわれは核による脅迫を非難する。われわれは、世界の軍縮、特に核兵器と化学兵器の軍縮、いかなる国家も他国に強制・侵略・抑圧をしない世界平和、すなわち入植者のいない平和、植民地にされた人々の墓地のない平和のために闘い続ける。再軍備、新たな軍備競争、原子力の問題は、あらゆる場所で反戦運動の活動の不可欠な部分でなければならない。
 われわれは陣営主義のイデオロギーに真っ向から反対する。それは、中国とロシアをアメリカに対する搾取・抑圧された人々の「同盟陣営」と見なすことへと導き、ソ連があった頃の対立時代を茶番的に繰り返しているからである。現実世界に関するこの完全に歪んだ考え方の蔓延は、陣営主義に対する激しいイデオロギー的・政治的闘争を遂行するという課題をわれわれに課している。
 アフリカでは、憲法秩序の回復を口実に、自国の利益を守るために軍事介入を支持しようとする西側の帝国主義的言説を拒否する。われわれは、この地域全体からのフランス軍の完全撤退、モーリシャス・チャゴス諸島のディエゴガルシア米軍基地の閉鎖、ジブチの米軍基地と中国軍基地の閉鎖を求めて闘う。われわれはスーダン内戦の終結を求めて闘う。われわれは、交戦中の軍閥の片方に武器を提供しているアラブ首長国連邦の干渉を拒否する。われわれは、ワグネル・グループの軍隊の撤退を要求する。われわれは、アフリカ諸国と人民の統一を目指す新しい反体制運動に向けて、諸国人民の政治的・経済的主権を獲得するためのあらゆる努力を支持する。
 われわれは、改革派政府や階級和解派政府に対して、それらは「我々の政府」ではなく、搾取される人々の政府でもないと言う。われわれは、労働者に有利な措置を支持できたとしても、それらに参加せず、無条件の支持を義務付けられてもいない。彼らが権力を握っている今、われわれの政策は、これらの政府の新自由主義的かつ略奪的な政策に反対する闘争への支援、それらの最も反動的な部分を非難すること、極右に対する最良の闘争形態を促進すること、そしてわれわれが活動する運動や政党の独立性の不可欠な維持を組み合わせることとならなければならない。
 北と南の極右に直面して、統一戦線を含む搾取・抑圧される人々の統一政策は、われわれのレパートリーの重要な部分であり続けるが、われわれの政治的独立や社会運動の独立の喪失を交渉したり受け入れたりすることは決してない。
 権威主義体制(中国、ロシア、ベラルーシ、ニカラグア、シリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、その他のカリフ制国家など)や、選挙で選ばれたが権威主義的な政府(トルコ、ベネズエラ、フィリピンなど)においては、われわれの政策は、支配者に対して正面から反対し、民主的権利のために全面的に闘争し、ミャンマーやイエメンのような反乱軍を無条件に支援するというものである。
 この文脈において、2025年にブラジルで反ファシズム活動家の幅広い会議を開催するというイニシアチブは、インターナショナルにとって非常に重要である。地域または大陸の事前会議を通じて実現に向けて取り組むことで、このアイデアを支持し強化することは、すべての大陸における私たちの行動の優先事項の一部でなければならない。
 われわれは、普遍的で無料の医療、国家が保証する医療インフラ、適切な住宅、適切な仕事、賃金と年金、低価格での水とエネルギーへのアクセスなど、基本的な要求の実現のために闘う。
 われわれは、国の政策によって保証されるケア労働(子供、高齢者、病人との介護)に対する補償を受ける女性労働者と社会全体の権利を擁護する。われわれは、娘を持つかどうかを決める権利、中絶とあらゆる避妊方法の権利、あらゆるレベルの性教育、質の高い公立デイケアセンター、質の高い全日制学校、男女平等の賃金、平等な雇用機会、男女平等の収入のために闘う。
 われわれは、黒人、先住民、およびすべての人種的少数民族グループを差別する構造的人種差別に反対し、特に北の移民の場合、反差別政策、奴隷制と土地窃盗に対する賠償、および積極的差別是正措置を提案し、闘う。われわれは外国人嫌悪と追放政策に反対し、すべての移民とともに立ちあがる。すべての壁の撤廃を要求する。
 われわれは、世界中のLGBTQIコミュニティを攻撃する保守的な同性愛嫌悪とトランス嫌悪に反対し、自らの身体を適切かつ望むように処分する最大限の権利を求めて声を上げる。結婚、妊娠、養子縁組の可能性を伴う、ゲイ、レズビアン、ノンバイナリーカップルの完全な市民権と権利を要求する。われわれは性転換者の権利、暴力との闘い、および社会生活への完全な統合を擁護する。これらすべての闘争は、新しいファシズムを打ち負かし、搾取と抑圧の体制を打倒し、一言で言えば帝国主義、植民地主義、資本主義との対決へと導くために団結しなければならない。
 現段階でのわれわれの中心的な任務の一つは、エコロジー的・社会的闘争を推進・支援し、反資本主義的・エコロジー的要求がすべての労働者および抑圧されたセクターの要求となるように取り組むことである。エコロジー的・社会的レベルで搾取・抑圧される人々の運動の力だけが、進行中の気候崩壊に立ち向かい、われわれの宣言に述べられているエコ社会主義のオルタナティブへと人類を導くことができる。
 第四インターナショナルは、いかなる国も他国を抑圧・侵略しない世界、平等な者同士の平和が可能で、人々の自決権が尊重される世界を目指して闘う。われわれは、資本主義とその論理を打ち破り、すべての人が違いの中で平等になれる、脱植民地で、エコロジー的・社会主義的な、つまりエコ社会主義的な世界を目指して闘う。それは、あらゆる民族や肌の色、あらゆる性的指向やアイデンティティ、あらゆる信念、あらゆる形態の人間生活が自然と共生し、調和するフェミニスト的な世界である。
2024年10月28日

The KAKEHASHI

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