戦争のヨーロッパにノー ヨーロッパの再軍備にノー

2026年2月25日 第四インターナショナル国際委員会

 資本主義の歴史的危機は、あらゆるレベルではっきりした影響を及ぼし始めている。地域大国によって引き起こされる帝国主義との対立や帝国主義間の対立は、公然たる戦争へと発展している。ロシアによるウクライナ攻撃は、ヨーロッパ・ブルジョワジーの再軍備を加速させている。イスラエルによって始められたジェノサイド戦争は、パレスチナにおける新植民地主義的な「和平協定」をもたらした一方で、アメリカ帝国主義は再びラテンアメリカで軍事的威圧を用いるとともに、キューバに対して非人道的な封鎖を実行している。イエメン、ミャンマー、スーダン、コンゴ、シリア、アフリカのサヘル地域においても、民衆や少数民族に対する戦争がおこなわれている。
 2026年1月のアメリカの行動は、ベネズエラでマドゥロ大統領夫妻を拉致し、グリーンランド侵攻の脅しをかけることで、不安定化と再軍備が必要であるという考え方を強めている。
 第四インターナショナルとその支部は、大量破壊兵器のさらなる配備を必要とする「安全保障」なる資本主義的概念を拒否する。ヨーロッパは既に高度に軍事化されており、長年の緊縮財政と公共サービスの削減によって混乱に陥っている。しかし、兵器産業のための資金に関しては十分過ぎるほど存在している。
 自由主義的な「民主主義」国家はますます権威主義的になっている。財界指導者たちは、構造的な収益危機から脱却して、社会発展に結びつかないままでより大きな利益を保証する方法を探し求めている。エリート層が約束したグリーン移行は、大衆的な議論抜きに、国際的レベルでの軍事費の爆発的な増加へと変質してしまった。
 戦争へと向かう推進力は、大陸全体に広がるレイシズムとファシズムの台頭、欧州国境沿岸警備機関(フロンテックス)の拡大や移民・亡命協定と不可分のものである。気候危機が深刻化し、社会がさらに不安定になる中で、支配階級は大規模な監視、国境の軍事化、難民への攻撃をわれわれ全員に対して計画している。ヨーロッパではレイシズムとファシズムが台頭し、資本主義国家の力が強まっている。ヨーロッパでは、このことによって、国境においてだけでなく、ヨーロッパ諸国内部や移民がヨーロッパへ向かうルート上でも、移民に対する政策がより強硬なものに変わっている。
 実際に、欧州連合(EU)は前例のない軍事費増額の真最中であり、その額は4年間で8000億ユーロにまで達する。EUはこの目的のために、現にある財政規律のルールを緩和し、27の加盟国が債務を抱えることを容認すること、欧州投資銀行(EIB)の改革を通じて加盟国への新たな融資を促進することに加え、結束基金[注]のために確保されていた資金を軍事費に転用することさえ提案している。かつて「社会的なヨーロッパは財政的に不可能だ」と主張していた同じ人々が、いまや戦争と軍国主義と有刺鉄線のヨーロッパを推進しているのだ。
[注]結束基金とは、EU加盟国間の経済的・社会的・地域的格差を是正し、持続可能な成長を促進するために、一人当たりの国民総所得がEU平均の90%未満の加盟国に支援を提供するEUの基金。
 これはまさに枠組みの変更であり、軍事費の増大だけでなく、公共サービスと社会保障を破壊し続けながら、軍事的な方法でヨーロッパの再工業化を推進することを目的としている。「安全保障と防衛のための戦略的コンパス」[注]に示された欧州防衛のビジョンは、もはや平和維持活動にもとづくものではなく、重要インフラの保護、エネルギー安全保障、国境管理、「主要貿易ルート」の保護にもとづくものとなっている。言い換えれば、EU​​の「戦略的自律性」を確保することで欧州の植民地主義的利益を守ろうとするものであり、最終的には依然としてアメリカ帝国とその軍事部門であるNATOの思惑に従属している。EUは、パレスチナ人虐殺を実行するためにイスラエルへの武器供給をさまざまな形で支援し続けている。
[注]「安全保障と防衛のための戦略的コンパス」(2022年にEU理事会で採択)は、2030年までにEUの安全保障・防衛政策を強化するための行動計画。
 このようにして、しばしば喧伝されてきた生産モデルの変革は、脱炭素化計画を遵守するために必要なエネルギー転換と同じく、爆弾の下に埋もれてしまった。しかし、欧州の軍拡競争は、グリーンウォッシングの失敗を浮き彫りにするだけでなく、気候変動危機という奈落の底への加速を象徴している。不可欠で希少な原料がいままさに欧州の再軍備計画に浪費されている。それは、本来であればエコ社会主義への移行を確実にするために必要な資源なのである。欧州の再軍備は、生成型人工知能の開発競争と同じく、気候変動という奈落の底へと向かう加速的な競争を象徴するものなのである。
 再軍備と国境閉鎖は、グローバルな多重危機という状況下で、新たな「欧州強国」構想の要となり、これまで支配的だった市場原理主義を補完している。プーチンによる帝国主義的侵略は、強い不安定感の構築を基盤とした欧州再軍備の軍事攻勢にとって、触媒としての役割を果たしてきた。
 欧州のエリート層は、戦争の太鼓の音を背景に、長年の目標である欧州軍事統合を実現するだけでなく、寡頭政治家とテクノクラートによる連邦主義を強化するために、ショック戦略を用いている。だからこそ、われわれの闘いは、(EU自身の帝国主義的・植民地主義的戦略を強化することにもとづいて)アメリカ、ロシア、中国から独立したEUのためではなく、むしろ他民族との連帯と相互支援の関係を築くエコ社会主義的なヨーロッパの展望を構築するためなのである。
 ヨーロッパの労働者階級と諸国人民は、独立した国際主義政策がなければ、大国のもとで傀儡となる運命にある。つまり、[ヨーロッパの]経済は軍事産業と環境破壊にますます集中するようになり、労働者階級は好戦的な政府のもとで単なる消耗品の兵士となるしかなくなるだろう。
 こうした理由から、われわれはヨーロッパ諸国人民に、EUとその加盟国政府が推進する再軍備と戦争経済に反対して立ち上がるよう呼びかける。新たな世界大戦の危機と迫りくる核の脅威に対抗するため、国際主義的な同盟者を求めなければならない。
 われわれは、あらゆる形態の帝国主義を拒否する反軍国主義的で国際主義的な政策に全力でとりくまなければならない。
 われわれはナショナリズムと民族的偏見を拒否する。われわれの政治的プロジェクトは、ロシアからアイルランド、ノルウェーからイタリアに至るまで、ヨーロッパ諸国人民を団結させ、資本主義政府と帝国主義に対する共同闘争に臨むことである。
 われわれは、自国における軍事予算の増額に反対し、軍事化プロセスの一環である新たな兵役制度の提案に対して国際主義的な闘いを展開しなければならない。
 気候をめぐる闘いと軍国主義反対の闘いを結びつけなければならない。エコ社会主義の未来は、いかなる帝国主義再軍備とも相容れないからである。
 われわれは、武器貿易を終わらせ、武器製造業を社会的な生産へと転換するために闘う。
 われわれは、NATOとCSTO[ロシア主導の集団安全保障条約機構]といった軍事同盟の解体を要求する。
 こうした状況において、「戦争との戦い」「軍事予算反対」「徴兵制反対」といったスローガンは、再軍備を推進するブルジョワジーの能力を制限することを目的とした反軍国主義運動を政治的に強化する役割を果たさなければならない。再軍備は極右の台頭を助長し、国内や国境での弾圧を強め、戦争の可能性をさらに近いものにするからである。
 エコ社会主義の世界だけが、戦争の脅威を終わらせることができる。われわれは、人類の努力をすべての人々の生活向上に集中させ、資源が民主的に公平に分配され、際限のない搾取と権威主義的な抑圧を超えた、真の幸福な生活が保障されるようにしなければならない。
 われわれは、イタリアなどの国々で労働者組織が主導する帝国主義再軍備に反対する動員とストライキを支持し、3月5日にドイツの複数の都市で、3月28日にローマでおこなわれるような動員を支持しなければならない。
 戦争に反対する戦いを。世界中の労働者階級と被抑圧階級の国際主義と連帯のために。

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