世界的なカオスの中での理論・運動・組織の構築を議論 ②
第四次台湾海峡危機を前にした東アジアの連帯強化を
第四インターナショナル国際委員会への意見書
ピーター(香港・先駆)、大森敏三(日本・JRCL)
中国のグローバル資本主義大国化がもたらす台湾海峡危機
2022年8月の米下院議長ナンシー・ペロシの中華民国(台湾)訪問を契機に、中華人民共和国(中国)の大規模な軍事演習による脅威が増している。トランプ米政権は2025年12月、総額約111億米ドル(約1兆7千億円)という過去最大規模の武器売却を承認、台湾の頼清徳政権も2033年までの8年間で約400億米ドル(約6兆円)にのぼる追加の特別国防予算案を公表した。グローバル資本主義を通じた経済成長に裏打ちされた中国政府の防衛費はこの10年で2倍に増加した。冷戦構造(米ソ対立から平和共存へ、中ソ対立から米中接近へ)からの伝統的な民族主義国家観による「台湾の統一」という「民族の悲願」は変わることなく、そして強化されてきたが、台湾海峡危機の本質的転換は、中国のグローバル資本主義大国化がもたらした軍事拡張路線にあったと言える。
日米フィリピンなどの対抗的軍事力
他方、台湾を中心として、日本や沖縄(米軍駐留)、そしてフィリピンにおいて、米軍を中心とする対中国抑止力の拡大が続いている。とりわけ第二次トランプ政権の「ドンロー主義」によって、東アジア各国の安全保障はアメリカ製兵器の購入だけでなく、自国軍の増強を迫られている。日本も2010年ごろからの在沖米軍基地や自衛隊基地の強化が進む中で、戦後これまで曖昧にされてきた外国への武力攻撃を認める動きが続いている。それは「国防」「俯瞰外交」「民主主義の防衛」という名前で粉飾された日本資本主義の生き残りをかけた確信なき戦略と言える。このような状況の中で想定された「台湾有事」の際に出動する米軍を後方支援する必要から、日本、とりわけ沖縄諸島(台湾近海まで連なる)において、戦後初めてとなる自衛隊のミサイル基地や米軍基地の拡張が進められている。
われわれを含む日本の左翼すべてが沖縄の米軍・自衛隊基地の強化に反対している。しかし、また多くの反戦平和運動や左翼政党は「台湾問題は中国の内政問題」として、台湾海峡の問題に介入すべきではないという主張がまかり通ってきた。
台湾では、強大化する中国の軍事的脅威に対して、一部の親中国左派や知識人を除き、多くの社会運動をふくむ市民社会は、民進党政権の親米一辺倒の「抑止論」の枠内にとどまっている。
帝国間の戦争に国際主義的階級戦争を対置せよ
われわれは、古い帝国主義の時代から一貫して「軍縮」や「平和共存」に望みをかけるのではなく、相敵対する帝国主義国家における社会主義革命のための階級団結を国際的に呼びかけてきた歴史がある。今日の主体的状況は極めて厳しいが、とりわけ今日の中国の軍事大国化が、中国国内の新しいプロレタリアートと自然環境に対する巨大で深刻な搾取によって実現したこと、また中国の資本主義的台頭のスタートアップとなった1970年代末からの「改革開放」を押し上げたのが、台湾や日本やアメリカなどの国際ブルジョアジーと中国官僚体制の共謀によってであったことから考えると、今日の止めどなき軍拡化へ向かう東アジアの状況を転換するベースとなるのもまた、中国、台湾、日本、アメリカなどの国際プロレタリアートの団結しかありえないだろう。
そのうえで、長年東アジア各地でたたかわれている反戦平和運動を国際的につなぎながら、中国国内の抑圧された労働者民衆のなかから「自国政府の戦争発動反対」の声を上げるための国際的努力が必要である。日米の軍事演習だけでなく、中国による台湾包囲の軍事演習に対しても批判の声を上げるべきである。
しかし、仮に中国による台湾への軍事攻撃があった場合、これは明らかに大国による小国への攻撃であることから、われわれは台湾民衆の自決権を支持し、中国による攻撃を非難するだけでなく、台湾民衆の防衛の権利を支持する、少なくともそれに反対しない。しかしまたわれわれは、台湾民衆がこの権利を慎重かつ聡明に行使すること、それは台湾防衛に限定されること、そしてアジアにおけるアメリカの覇権主義的計画とは距離を保つことを呼びかける。
台湾へのアプローチの再開
戦争に対して抗議の声を上げるだけでなく、具体的な実践的交流を東アジア地域で始める必要がある。
今日の「第四次台湾海峡危機」ともいえる状況の中で、2025年7月の香港の同志らによる「台湾海峡危機と台湾人民の自決権に関する予備的テーゼ」が公表された。また2025年末の大森同志による「高市政権2か月のバランスシート」でも、「台湾人民の自己決定権には歴史的根拠があり、そのことを抜きに東アジアの緊張緩和や平和を語ることはできない」と述べている。
具体的な交流の実践と挑戦
中国に向けられた米軍基地のある沖縄と韓国、そして中国の軍事的脅威にさらされる台湾の非統一派の平和主義活動家らとの交流など、地域レベルでの具体的な交流も萌芽的にだが続いている。一方で、日中政府間の対立が深まる一方で、中国政府の「平和統一」を押し出した政府系NGOが沖縄の反戦平和運動との「民間交流」を強め始めていることに注意が必要である。
この地域におけるわれわれの連携の強化、台湾や中国内部の活動家らとの連携強化が今こそ重要になっている。さまざまな機会を通じて、沖縄、台湾、中国、フィリピン、韓国の仲間とも交流を続けよう。
THE YOUTH FRONT(青年戦線)
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