世界的なカオスの中での理論・運動・組織の構築を議論 ①
第四インターナショナル国際委員会
第四インターナショナルは、2月下旬、国際委員会(IC)をアムステルダムで開催した。昨年の第18回世界大会以降初めてのICには、世界大会で選出されたICメンバーやシンパ組織・パーマネントオブザーバー組織の代表、招待されたゲストなど90名以上が参加した。5日間にわたって討論がおこなわれ、いくつかの声明や動議を採択し、新たなビューロー・メンバーを選出した。本紙ではICで採択されたいくつかの声明を掲載してきたが、ここではICに出席した大森同志からの報告、およびICに香港の同志と連名で提出した意見書およびICで大森同志が提起した内容について掲載する。(編集部)
世界大会以降最初のIC会議と「帝国主義論の再検討」
第四インターナショナルは、昨年2月、第18回世界大会を開催した。今回のICは、世界大会での議論を踏まえて、大会から1年を経て開かれた最初の会議だった。このICでは、「帝国主義論の再検討」「地政学的な国際情勢」「抵抗運動と国際情勢」およびさまざまな組織的課題などが議題とされた。また、各地域会議や女性会議もおこなわれた。
第一議題の「帝国主義論の再検討」では、2022年以降さまざまな同志や左派理論家が提起した論文などがあらかじめ参加者に示され、さらに2名の同志がICの場で提起をおこなった。そのうちドラッカー同志の報告は第四インターナショナルのサイトで公開されている(英文)。彼は「軍事的・地政学的な帝国主義は、資本主義の発展の不均衡、資本の輸出、原材料をめぐる競争、不平等な交換など経済的帝国主義に根ざしている」「トランプと極右・ネオファシスト的ナショナリズムの時代において、帝国主義間の対立は再び高まりつつある」「そのことが、中国とロシアにおける資本主義の復活と新たな帝国主義の背景となっている」「帝国主義国家と多国籍資本企業との間に見られる典型的な緊密な連携は、中国においては、党委員会が企業の主要な管理機関として機能することで、共産党によって独自に確保されている」「ロシアは経済的に中国よりはるかに弱く、地域における経済的支配を維持するために軍事力への依存度がはるかに高い」と指摘した上で、中東地域における帝国主義とイスラエルの役割について分析し、最後に「帝国主義の力の真の限界は、対立する帝国主義に依存することではなく、パレスチナ人民やその他の抑圧された人民の闘いによって定められる」「極右帝国主義と戦うには、あらゆる形態の反動や権威主義政権とも戦わなければならない」と結んだ。
ICで「帝国主義論の再検討」が改めて議題となったのは次の2点が大きな要因だったと思われる。つまり、第一に、マルクス主義における帝国主義概念は、もともとは「資本主義の最高段階としての帝国主義」(レーニン)という経済的側面からの分析に由来するが、2つの世界大戦を経る中で次第に軍事的側面が強調されるようになったものの、それでは中国帝国主義やヨーロッパ帝国主義(少なくとも最近までの「ソフト・パワー」としての)を理解するのに不十分であり、さらにトランプの登場、極右や新ファシズムの台頭によって帝国主義が新たな局面に入ったこと、そして第二には、アメリカ帝国主義に反対する中国、ロシアはわれわれの「味方」ないしは「友人」であるという「陣営主義」的視点が、各国で若い世代を中心に広がりを見せている中で、中国帝国主義、ロシア帝国主義を帝国主義概念の見直しの中で明確に位置付ける必要が生じたこと、の2点である。
討論では多くの同志が発言したが、私も中国に関して以下のように発言した。
ここで改めて指摘すべきは、中国の体制がスターリニスト政党である中国共産党が支配する国家資本主義である点だ。このスターリニスト政党の目標は、依然として自らの支配的地位を無期限に維持することにある。ゆえに彼らは市場原理や利益最大化の原則に背くことも厭わず、自らの目標に固執する。したがって中国帝国主義を分析するには、スターリニスト政党としての中国共産党の行動原理を分析すべきである。
もう一方では、中国共産党と中国人民との関係の変化を観察すべきである。1989年以降、両者は一種の社会契約関係、すなわち共産党は経済成長と少なくとも一部の人民への富の分配を保証し、人民は政治的舞台に登場しないという暗黙の関係にあった。しかし、中国経済の低迷によりこの関係は損なわれつつある。この状況は中国帝国主義の将来の発展に影響を与える可能性がある。
帝国主義概念の再検討、とりわけ中国についてどのように考えるのかは、われわれにとっても引き続き検討していかなければならない課題である。なお、この「帝国主義論の再検討」については、ICに資料として出されたルッセ論文とドラッカー論文を本紙に掲載していくので、読者からの積極的な討論への参加をお願いしたい。
国際情勢と抵抗運動に
ついての討論
第2議題である「地政学的な国際情勢」については、ICの開催がアメリカとイスラエルによるイラン攻撃の直前であったため、このことによる国際情勢の激変については討論できなかった。しかし、報告の中ではイラン攻撃の可能性には触れられていた。まずアメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東に関して報告がおこなわれ、討論ではヨーロッパやラテンアメリカからの発言者がいずれも極右勢力、新ファシズム勢力、権威主義的政府との闘争の重要性を強調していたのが印象的だった。極右がブルジョア内の一つの傾向を代表しており、トランプがそれを助長しているという評価だろう。
私は、香港の同志が昨年公表した「台湾海峡危機と台湾人民自己決定権に関する予備的テーゼ」(本紙2026年1月1日号および1月19日号に掲載)を支持する立場から、日本の総選挙の結果と高市政権の政策を紹介し、「高市首相のこうした政策の具体化は、東アジアにおける軍事的緊張関係を激化させ、さらなる軍拡競争への道を開くことになる。こうした状況の中で、台湾テーゼで示された反帝国主義、平和で非核の東アジアに向けて、東アジア人民(台湾、朝鮮、沖縄、中国、日本、フィリピン人民)の団結した連帯運動がますます重要となっている」と発言した。
第3議題の「抵抗運動と国際情勢」では、冒頭にアメリカ、ウクライナ、ロシアの同志から報告があった。アメリカ・ソリダリティの同志からは、暴力的な移民摘発を続けるICEに対する反対運動の広がりなどが報告された。ウクライナ社会運動の同志とロシアから国外に亡命中の同志からの発言は、会場からの大きな拍手で迎えられた。そのあと、東アジアの状況と課題について、ICに向けて香港の同志と連名で提出した「第四次台湾海峡危機を前にした東アジアの連帯強化を」という意見書を踏まえた報告をおこなった(意見書と報告内容は別掲)。討論では、各国・地域の代表から、多彩な抵抗運動の現状と課題についての発言が続いた。この議題では、各地域・各国からの報告がメインで、とくにまとめ的な発言はなかった。
これら3つの議題では、いずれも活発な討論がおこなわれ、のべ100人以上が発言した。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル軍によるガザ侵攻とジェノサイド、アメリカのベネズエラ攻撃とマドゥーロ大統領夫妻の拉致、そしてアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃と中東における戦争の長期化、さらには第4次台湾海峡危機など、世界情勢のカオス的状況はますます加速化している。その中で、資本主義が直面する多重的危機の本質を踏まえて、グローバル情勢、地域・国内情勢を理解するための理論的模索と運動・組織の構築が求められているが、そのことを討論の中で改めて確認したことに今回のICの大きな意味があったと言えよう。
ICではまた、3月末にポルトアレグレで開かれた反ファシスト会議、5月のエコ社会主義者会議(ブリュッセル)および6月のG7対抗サミット(フランス、スイス)についての討論がおこなわれ、それぞれに関する声明が採択された。さらに、ウクライナへの連帯声明、イランに対する軍事介入に反対する声明、および欧州の再軍備政策に反対する声明も採択された。最後に、世界大会決議で示された組織建設の課題をどのように実践に移すかについて議論するセッションがおこなわれ、とりわけサイトやSNSを軸とした広報活動と社会的プレゼンスの強化、すでに十数カ国語で出版された『エコ社会主義革命宣言』をめぐるキャンペーンの展開が討論の焦点だった。後者については、われわれも『宣言』のパンフレット作成に取り組んでいるところである。そして、新たに強化されたビューローの選出がおこなわれ、ICは終了した。
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