8.30しないさせない戦争協力関西ネットワーク総会 (上)

「進む日米軍事一体化と戦争体制を問う」

労組と市民と野党の共闘で軍拡阻止

 【大阪】しないさせない戦争協力関西ネットワーク総会が8月30日エルおおさかで開かれ、前年度の活動・会計報告、今年度の活動方針・予算案提案が承認され、引きつづいて清水雅彦さん(日本体育大学憲法学教授、9条の会世話人)が、「進む日米軍事一体化と戦闘体制を問う」と題して講演をした。100名の労働者市民が参加した。(T・T)

1.憲法の平和主義と日米安保体制

①憲法9条 憲法9条1項の解釈には、A説(侵略戦争の放棄)とB説(自衛・侵略の区別はできないので一切の戦争の放棄)がある。9条2項には、甲説(自衛のための戦力保持は許される)と乙説(自衛のための戦力保持も許されない)がある。9条全体での多数説はA説+乙説つまり「武力なき自衛権」論だ。
 現憲法では、地方自治は、国家とは独立の地域団体が自らの意思と責任の下でおこなうとなっている。明治憲法には地方自治はなかった、参政党憲法草案にも地方自治はない。

 ②安保条約 旧日米安保条約は一方的な基地貸与条約であり、米国が日本を防衛する義務はなく、日本の全土基地化方式であり、米軍が内乱に対処する条項もあった。従って、植民地主義的な内容だった。新安保条約では5条で日米共同作戦行動が規定され、6条で極東及び日本の安全に寄与するため基地提供義務が盛り込まれた。基地の貸与については、事前協議制が入れられた。しかし、極東ではないイラク・アフガンへの米軍の戦闘作戦行動の場合、基地使用は、「基地からの単なる移動」と見なされ、事前協議の対象とはしなかった。自民党はその解釈で問題なしとした。
 その後も安保条約は変更されることなく、実質的な変更はガイドラインによりなされた。例えば、1997年ガイドライン(周辺事態では、自衛隊が米国に後方地域支援)、2015年ガイドライン(平時から緊急時までシームレスに後方支援、調整メカニズムの常設化)。
 駐留米軍についての政府見解では、〈駐留米軍は我が国を守るための軍隊だから、憲法9条の関するところでない〉(1952年法制局)、〈裁判所の司法審査権の範囲外のもの〉(1959)年最高裁砂川判決)とした。
 1951年当時は日本の防衛力が不足していたため駐留米軍を置いたとしても、その後の自衛隊の装備・能力からすれば、米軍駐留の必要はないはずである。

2.特に地位協定について


 ③地位協定 米国が世界で締結している地位協定は30~37に及ぶ。伊勢崎健治さんの資料では80~100ほどもある。いずれも現地国の主権の部分的放棄が行われていが、ドイツ、イギリス、イタリアでは当地国の国内法が適用されている。
 日米地位協定(1960年)では、1952年日米行政協定3条にあった治外法権的な「権利・権力・権能」を削除したが、密約で行政協定と同じ運用が行われている。例えば横田空域。協定を超えた空域での米軍による訓練も容認されている。事故時の日本警察権の行使は制限されている。米軍・軍属・家族に対する刑事裁判権も制限され、米軍の公務外での犯罪でも、できる限り日本の裁判権は行使しないという裁判権放棄の密約がある(1953年)。私用でも「公務証明書」を発行すれば、公務中となった。1995年の日米合同委員会で「運用改善」として、殺人・性的暴行等凶悪犯罪は、起訴前の犯人の身柄引き渡しを要請すれば、米国側は好意的な配慮をするとなった。

 ④思いやり予案 当予算は、1978年基地従業員労務費の一部(62億円)を支出することで始まったが、2024年度予算では、狭義の思いやり予算2124億円、その他在日米軍駐留費4230億円、SACО関係経費116億円、在日米軍再編経費2130億円で、その合計である在日米軍関係経費は8601億円である。駐留米軍関係費の当地国と米国の負担割合は、日本74・5%、ドイツ33%、イタリア41%、韓国40%である。思いやり予算は、地位協定違反であり、やめるべきだ。在日米軍再編に関わる負担もやめるべきだ。
 先ずは地位協定の遵守、次に改定が必要だ。日米安保条約の存在も問うべきであり、自公政権でそれが出来なければ政権交代が必要である。

 ⑤国連軍地位協定 1951年吉田・アチソン交換公文で、日本独立後も朝鮮国連軍の日本滞在は許可され、1954年国連軍地位協定が締結。その後、国連軍指令部はソウルに移転し、日本に朝鮮国連軍後方指令部が設立された。朝鮮戦争が再開すれば日本も攻撃対象になる。一方、国連軍に日本防衛の義務はない。

 ⑥日本ジブチ地位協定 2009年ジブチ共和国における日本自衛隊等の地位協定が麻生政権時に締結された。当初はソマリア沖の海賊対策のための自衛隊派遣で、2011年民主党菅政権の時に基地が開設され、日本の法律が適用され、公務外でもジプチに裁判権がない。海賊対策の必要性がなくなれば基地撤去し地位協定は終了すべきである。

3.実質改憲としての敵基地攻撃論・防衛費2%


 ⑦防衛3文書 この文書には積極的平和主義の言及はあるが憲法への言及はない。中国・ロシア・北朝鮮の動向に言及し、いわゆる仮想敵国としている。スタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力の保持、防衛費GDP比2%、反撃能力の行使を含む日米調整メカニズムの深化、サイバー安全保障分野の対応能力向上、防衛装備品の研究開発推進、官民一体となった防衛産業の維持発展、さらなる武器輸出等が明記されている。日本学述会議法の改正もその政策の一環である。安倍首相はしたいことがあって首相に、岸田・石破首相はなりたくて首相に。党内基盤の弱い岸田首相はタカ派へアピールしたが、石破首相をどうとらえるか。

 ⑧敵基地攻撃 これは2020年6月15日イージス・アショア配備計画停止が発表された直後の6月18日、安倍首相の「敵基地攻撃能力を含む安全保障戦略の見直し」として発表され、さらに「基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することを含む」と変更され、さらに「指揮統制機能等も含む」と修正された。また、政権与党間の合意では、「武力攻撃事態または存立危機事態に行使、攻撃対象は具体的に明示せず、個別具体的に判断、相手国が攻撃に着手したかの認定は個別具体的に判断する」となっている。着手については2002年武力攻撃事態への対処に関する特別委員会では、「ミサイルに燃料を注入する時」だとされ、また2003年予算委員会での石破防衛庁長官の発言では、「ミサイルが屹立した」時だとされた。

 ⑨形骸化する政府の9条政策 防衛3文書で、反撃能力とは「必要最小限度の自衛の措置として、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」と定義されている。憲法9条2項で戦力とは、「自衛隊のための必要最小限度の実力を超えるもの」であり、実力は憲法上保持できるとした(実力とは、自衛隊を違憲としない政府の解釈であり、警察以上軍隊未満)。
 2014年の集団的自衛権行使の閣議決定でも、武力行使の新3要件では、「a我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危機がある場合、bこれを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき、c必要最小限度の実力を行使することは許される、という3要件に該当する場合は武力行使可能」としている。
 従来の政府解釈では、相手国の「着手」で自衛権行使(敵基地攻撃)が可能になるし、さらに戦争法が規定する「我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃が発生した場合も自衛権行使が可能となる。しかし日本が仮想敵国とする中国・ロシア・北朝鮮は核保有国だ。どのように考えても無謀な敵基地攻撃能力の行使は出来ないはずだ。政府は、敵基地攻撃を反撃能力と言い換えているが、実態論的にいえば先制攻撃であり、国連憲章51条違反である。安保3文書では、敵基地といわず、相手の領域と言っている。内容的には、相手国攻撃、全面攻撃となり、もっと危険だ。

 ⑩防衛費増額の問題 防衛費は2016年から2022年までは5兆円台だったが、23年6・8兆円、24年7・9兆円、25年8・7兆。
 一方で生鮮食料品を除く消費者物価総合指数は前年同月比が47ヶ月連続上昇。異常な政策だ。労働者の実質賃金は前年同月比で26ヶ月連続マイナス。主要上場企業の24年度経常利益は4年連続過去最高である。
 所得税の最高税率はかつて75%だったが、現在は45%。法人税の最高税率は43・3%が今は23・2%。消費税は1989年3%、1997年5%、2014年8%、2019年10%だ。
 上場企業の役員報酬は、ソフトバンクのレネ・ハース取締役49億円、以下人物名略でダイキン工業44億円、ソニー25億円、野村HD22・8億円、武田薬品21・6億円、トヨタ19・6億円、と言った状況だ。今後、法人税、たばこ税、所得税の値上げが予定されている。実質賃金が上がらない中での所得税の増税?喫煙者はもっと怒っていい。

4.日本社会の軍事化


 ⑪地方自治体 自治体は戦争体制に組み込まれている。2019年の自衛隊員募集では、適齢者の個人情報を紙・電子媒体で防衛省に提出していた自治体が約36%、防衛省による閲覧・書き写しが約53%だった。2023年度は1741自治体中、1139自治体が紙・電子媒体で提出、475自治体が防衛省による閲覧・書き写しだった。住民基本台帳法11条では、「国が首長に対して閲覧させることを請求できる」となっていて、提出ではない。日本社会の少子化や自衛隊の海外派兵、いじめ、セクハラなどで隊員募集の困難さがあるが、地方自治体の隊員募集業務の下請化は見直されるべきだ。

 ⑫重要土地利用規制法 この法律が制定され、注視区域、特別注視区域が指定され、特別注視区域では、土地売買の事前届け出義務が課せられた。また、特定利用空港・港湾として、今年4月1日現在14空港26港湾が指定されて、自衛隊・海上保安庁がこれらを平素から円滑に利用できるように必要な整備を行うとされている。
   (つづく)

これからの陣形作りに向けて問題提起する清水雅彦さん(8.30)

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