6.6福島原発事故・刑事裁判報告の集いin仙台

人間の尊厳が保障された「人間の復興」をめざして

終わらない福島第一原発事故

 【宮城】6月6日「福島原発事故・刑事裁判報告の集いin仙台」が、宮城県内の告訴人など約60人が参加し開催された。福島原発刑事裁判15年を振り返る集会はこれまで全国各地で開催され、仙台が最後の集会となった。

福島第一原発事故以降の15年の活動を振り返る

 福島原発刑事訴訟支援団団長の佐藤和良さん(いわき市議)は、日本最大の公害事件である福島第一原発事故の刑事責任を問う「東電刑事裁判」が2025年3月上告棄却で被告の無罪が確定したが「被害者とその遺族をはじめ、万余の人々の生活と人生を壊した福島第一原発事故のすべての被害者と被災者を踏みにじり、国民の生命と財産を窮地に陥れ、甚大な被害をもたらしたこと、原子力事業者を不問にしたが、それは新たな原発事故を準備するもので許されない」と語り、福島県民へ被ばくを強要し、地域コミュニティを崩壊、避難を通して「原発難民から原発棄民」にされたこと、現在も政府発表の避難者は2万人とされているが、実際は7万人いると報告した。
 「原子力緊急事態宣言」は未だ解除されておらず、放射性物質が大気中と海洋に放出されていること、被害に向き合い、事故の真相解明と被害者の真の救済、司法の現状を変えるためにこれからも活動を続けると力強く語った。
 原発事故から2週間後の2011年3月25日の「ハイロアクション緊急声明」、4月4日には「原発震災に関する緊急要請」を行い、こどもの避難、避難区域の拡大、正しい情報と物資の提供、原発の廃炉を求め、国の棄民政策に抗して被ばくの強要、福島県の国への追従(避難なき除染や治療なき健康調査)を許さない「市民らを被ばくからいのちを守る行動」として市民測定室、食材や土壌調査、甲状腺検査を行ってきたことが報告された。

市民の力で実現した東電刑事裁判


 2012年3月16日、福島原発事故の責任をただす「福島原発告訴団」を結成、6月、11月の第二次告訴人を合せて1万4716人が、東電役員らを公害罪、業務上過失致死罪で福島地検に告訴・告発した。
 2013年9月東京地検へ移送後、不起訴処分にされたが10月東京検察審査会へ申立て、2014年7月東電の勝又、武藤、武黒3名を「起訴相当」として、2016年2月強制起訴した。
 福島原発告訴団の発足から4年がかりで強制起訴を闘い取ったのは第2次告訴人に代表される市民の力であったと佐藤さんは語った。
 起訴状は「津波による被害が予想されていたが、予防措置義務を怠ったこと」その被害者は「水素爆発でけがをした東電関係者ら13名、双葉病院等の避難の際亡くなった患者44名」とした。
 訴訟は、2019年9月19日に出された一審判決は「津波予見は困難」と事実誤認の不当判決、2023年1月27日の控訴審判決も原判決(全員無罪)を維持、2023年3月5日、被害者を踏みにじる上告棄却決定で東電ら原発事業者が何らの責任を問われず免責される前例をつくり、新たな原発事故を準備するものとなったと批判した。

東電刑事裁判を振り返る


 まとめとして佐藤さんは、終わらない福島第一原発事故として、廃炉作業での被ばく労働が強いられていること、ALPS処理汚染水の投棄、低線量被ばくを強いる「新たな住民の移住・定住」、農林水産業の先の見通せない厳しさなど、今の福島の実態を報告し、7年間で約1千億円の巨額復興予算がついている「福島イノベーション・コースト構想とF─REI(福島国際研究教育機構)」などが進められているが、人間としての尊厳が保障された「人間の復興」をめざして今後も市民活動を進めていくこと、訴訟記録の永久保存、裁判記録の公開の場の設定を求めていくと語り報告を終えた。

終わらない原発事故、命と暮らしを守るために

 福島原発事故刑事訴訟支援団の甫守弁護士は、これまであまり注目されてこなかった重要な点を指摘するとして、論点1では「検察庁はなぜ起訴しなかったのか」について報告した。 
 検察官が作成していた関係者何人かの供述調書では、2013年3月までの分までは、責任を求める方向で起訴に結びつきそうなものだったが、それ以降急激に責任がない方向に変わってしまった。それではこの転換時期に何があったかといえば、政権交代(野田内閣から安倍内閣の発足)があり政権に「忖度」があった可能性を指摘した。
 論点2では「無罪判決はなぜ出されたのか」について、地裁判決は「当時の社会通念では、絶対的安全性を前提としていない」とし、高裁判決では「電力事業者は、市民にとって最重要なインフラを支えており、一定の発電量を占める発電所の運転停止で電力の安定供給に関するリスクを生じさせ、住民の生命・身体を危険に晒したり、財産、生活、経済等に悪影響を及ぼさないかどうかは慎重に考えなければならない。漠然とした理由に基づいて本件発電所の運転を停止することはできない立場にある」「長期評価の試算の結果、本件発電所の10m盤(防潮堤)をこえる津波襲来は、現実的な可能性を認識させるような情報であったとは認められない」という酷さ。最高裁においては「津波マグニチュード8・2前後の規模のプレート間大地震(津波地震)がどこでも発生するなどとした点は、一般に受け入れられるような積極的な裏付けが示されていたわけではない上、地震本部による信頼度の評価も低かった」と驚くべき判決のオンパレードであったと報告した。
 3つめの論点では「政府事故調の認定はなぜ間違ったのか」について、東電の津波評価検討についての記載が、後付けのフィクションであると指摘し、О・P・+15・7mといった想定波高の数値が高すぎることで津波対策が先送りされたことを解説した。
 二人の報告の後、宮城県内の闘いの交流ということで、女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション世話人の篠原弘典さん、津島訴訟を支援する宮城の会の中嶋廉さん、大崎住民訴訟原告の芳川良一さんからの報告を受けた。
        (H)

東電刑事裁判の問題点を明らかにした集会(6.6)

佐藤和良さんが裁判闘争の成果と課題を報告(6.6)

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