6.25富士宮市社会福祉協議会のパワハラ冤罪
懲戒処分・配置転換等に関する損害賠償請求訴訟で勝利判決
ハラスメント冤罪を許さない
【静岡】6月25日、静岡地裁(平山馨裁判長)は、2020年末に富士宮市社会福祉協議会において、同僚職員に対するパワハラ行為を理由とした不当な懲戒処分や配置転換で精神的苦痛を受けたとして職員ら3人(A氏、B氏、C氏)が同協議会に計約1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決を言い渡した。
勝利判決のポイント
平山裁判長は、富士宮市社会福祉協議会の懲戒処分手続きに対し、パワハラ行為の具体的な日時特定や弁明記録がなく「基礎資料が不十分」とし、「人事・労務上の手続きとして極めて杜撰」と指摘、「懲戒権の濫用」と批判した。「事務局長付」への配置転換処分も心理的、物理的に孤立させる隔離措置も「見せしめ的な意味合いを有する」とし「人格権、名誉権その他の権利を侵害したもの」として不法行為に当たると判断。原告A氏が復職後に経験の無い部署に配置転換された命令も無効とした。また裁判長は、社会福祉協議会が提出した証拠書類やころころ変わる主張をとりあげ、裁判に臨む姿勢についても問題があるとまで述べた。
裁判では①出勤停止が違法であるか ②懲戒処分が違法であるか ③配置転換処分が違法であるか ④席を隔離したことが違法であるか ⑤A氏に対する第二次配転が違法であるか で争われた。裁判所はこれらすべてについて「違法」とし慰謝料や休業補償など計700万円の支払いを命じた。法廷には20人以上の支援者(富士宮市民や組合員)が詰めかけた。提訴から4年3ケ月で勝ちとった勝利判決だ。
富士宮市社会福祉協議会の不当性
本件は、2020年当時の会長、事務局長、係長らが結託して、原告らの反論も聞かずにハラスメントを認定し、懲戒処分、配置転換処分、席の隔離などを次々と行った。2020年ころから上記3氏が同僚に対してパワハラを行っていたとして、同協議会から2020年12月1日に出勤停止(自宅待機)を命じられ、12月9日に、譴責(始末書)の懲戒処分、前例や規定のない「事務局長付」への配置転換処分を命じられ、他の職員と席を隔離された。
原告ら3人はパワハラを行っておらず、これらの処分が違法であるとして慰謝料を請求。また、原告Aさんは2021年3月から本件が理由で体調を崩し休職し、同年11月に復職したが、復職時に本人が望んでおらず経験もない別の係に配置転換された(第二次配転)。この配置転換も違法であるとして処分の撤回と慰謝料を請求し争ってきた事件である。 職員3人は静岡ふれあいユニオンに加入し、15回以上の団体交渉を行ってきた。ところが被告の社会福祉協議会は団体交渉においてものらりくらりの対応に終始、静岡労働局の斡旋をも拒否したことから原告らが提訴せざるを得なくなった経緯がある。職員の正当な権利行使について、ある理事は「反逆を起こした」「定年退職まで飼い殺しにして再就職させない」「早く辞めさせるべき」などと発言していた。
原告3人の決意
裁判後の報告会で原告の3人から発言を受けた。事件発生から長期にわたった(5年6ヶ月24日・裁判提訴から4年3ヶ月)闘いへの支援に感謝を述べ「みなさんの力で職場を立て直していただきたい」との声が寄せられたり、細かいことでも交渉が必要であること、控訴が予想されることから完全勝訴まで頑張ること、社会福祉協議会の使命を果たせるよう地元の人々と二人三脚で進める社会福祉協議会にしたいと述べた。
ハラスメント冤罪を防ぐために
本件を担当した植松真樹弁護士は、本裁判の意義について以下のように述べた。
企業等の使用者におけるハラスメント防止策は、労働者の健全な労働環境を守るために必要不可欠であるものの、使用者側による、具体的な事実についてハラスメントか否かを決める手続き及び認定、並びに行為者に対する不利益処分を決める手段及び認定は、中立かつ公正なものでなければならない。
本件被告は①そもそも、誰の、いつ、どの行為がハラスメントに該当するのか、具体的行為や経緯を把握・特定できていない ②行為者側(原告ら)からの聞き取りを全く行っていない ③被告の主張は調べれば容易に判るような客観的な証拠(出勤状況、業務日報)に反しているなど、明らかに中立性を欠き、杜撰な調査・認定をしている。
勝訴は大きな社会的警鐘だ
本件は、使用者における、ハラスメントの調査、認定やハラスメントの認定を前提とする懲戒処分等の不利益処分の在り方を問う裁判です。被告の各処分の違法性が認められ、原告らの名誉が少しでも回復されるとともに、本件の勝訴を勝ち取ることにより、社会において同様のハラスメント冤罪が横行しないよう、全国の企業へ強い警鐘を鳴らす契機としたいと考えております。と結んだ。 (S)

静岡ふれあいユニオンの皆さんで勝訴を確認(6.25)
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