若年男性の保守・極右化のすう勢と民主党の限界(下)

イ・ヨンドク

 集団的な対応方法や構造的な解決策が見えないため、多くの人は公正な競争と能力主義の実現が、あたかも苦痛を解決する代案であるかのように叫ぶ。社会変革を巡る議論は排され、いまや不平等や不条理の根本原因が隠蔽されたまま、「公正な競争」を通じて各自が生き残る道を探るよう強いられている。以下、キム・ジョンヒウォンの文を引用する。
 「個別化された不安定な労働だけが繰り返される人生は、協働の経験、仲間意識、チームワークの感覚、共同体性を養う機会などが欠如したり、遅れたりすることを意味することもある。各自生存の原理は、私たち全員に深く刻み込まれている。各自生存のドクトリンは、今私たちが身を置く新自由主義社会を支える長年の基盤である。そしてこの強力なドクトリンは、不確実性が増し、抜け道が横行する社会において、「公正性を確保してほしい」という叫びと結託したおかげで、今や新たな形で正当性まで獲得してしまった。私には既得権も、資源も、頼れる後ろ盾もないのだから、皆で「階級章を外して戦わなければならない」。各自が自分で解決するのが最も公正であるため、他人を助けたり支持したりする必要もない。他者の苦痛と連帯することは贅沢だ。今、私自身も食べていくのが大変だからだ。」(公正の先にある世界]、キム・ジョンヒウォン、チャンビ、30ページ)
 現在、「公正」という論理は極右の重要な思想的基盤となっている。「公正」を超える新たな代替価値を提示しなければ、「平等」と「連帯」という価値で戦わなければ、イデオロギー闘争において極右を打ち倒すことはできない。
 
 希望を煽動する極右
 
 激しさを増す競争は、若者たちが極右化する出発点を早めている。数多くの青少年が中学生の頃から、いや小学生の頃から、競争の過熱、ジェンダー間の対立、帰属意識やアイデンティティの混乱に苦しんでいる。特に男子青少年たちは、権利が抑圧され、被害を受けていると感じている。不安や無念さをぶつける場が必要だ。数多くの青少年が、極右のオンライン掲示板やYouTubeを通じて、右傾化の道へと踏み込んでいる。選挙権年齢を16歳に引き下げようという国民の力の主張は、青少年に対する政治的主導権を誰が掌握しつつあるかを如実に示している。
 被害意識を持って成長した男性たちは、就職競争に追い込まれるにつれ、ますます「自分たちが不当に女性や移民らから奪われている」と考えるようになる。逆に、「他者から何かを奪い取らなければ生き残る道は開けない」と見なす。「国家は男性を軍隊に送り込み、男性に不当な負担を強いる一方で、女性は国家が保護する」と考えている。したがって、「男性は弱者」という機運に思考が傾く。そのため、既存のシステムの中でも特に女性に親和的に見える自由主義派に対して、極めて敵対的な傾向を示す。一部の青年男性は、軍隊、女性割当制、フェミニズムに強く反発している。
 雇用の不安、極度の不平等、人口減少、労働力不足などは、差し迫った問題であると同時に、この社会が長期的に向き合わなければならない課題でもある。ところが、いかなる政治勢力も、この課題を突破できる力量を示せていない。
 若者たちは、民主党のような偽善的な政治に裏切られたと感じ、より極右の運動に深くのめり込んでいる。若者たちが目にしてきたのは、単に「586世代」と呼ばれる既得権益化した政治家たちの偽善だけではない。この世代は、盧武鉉および文在寅というリベラル政権の執政期を経験している。そこにおいて、社会正義や変革を標榜しながらも、実際には自己の階層的利益の確保に汲々とする自称進歩陣営や指導層のダブルスタンダードを、幾度となく目撃してきた。若い世代が現在の進歩陣営に対して抱く不信と怒りの背景には、このように一朝一夕には語れない根深い歴史がある。
 もちろん、既存の政治に対する裏切り感は、自由主義政党だけでなく、保守主義政党にも向けられている。裏切り感を抱いた若者たちは、既存の政界の外にある極右化した宗教団体や極右運動団体に帰属意識を感じ、結集している。既存の秩序に対する破壊的な欲求を代弁し、保守主義とは異なり、ブルジョア民主主義が保障する民主的な基本権や形式までも否定する極右団体に魅力を感じている。
 こうした機会を利用して、カルト宗教集団や極右集団は、希望を失った若者たちに、たとえ偽りの希望であっても、強力な希望を煽動している。「神の一手」、「イ・ボンギュTV」、「カロセロ研究所」など、登録者数が数十万から100万人以上に及ぶ極右・保守系チャンネルは、登録者を増やし続けている。 今や韓国政治において、極右の存在は当然のものとなっている。極右に立ち向かう闘争は、決して短期的かつ近視眼的な展望では成功しない。極右の論理は、女性嫌悪、エリート嫌悪、中国嫌悪、不正選挙から犯罪、税金、腐敗、移民などあらゆる問題へと広がっており、極右の勢力はもはや国民の力を左右するほどに成長したからだ。何よりも、資本主義の経済危機に起因する没落と破局への恐怖という土台が、依然として作用し続けているからだ。

 長期的な地形
 
 今回の地方選挙は、まさにパンドラの箱を開ける結果となった。内包されていた李在明政権への不満と怒りが、これを機にさらなる激しさで噴出していく契機となり得る。支持率という幻想から抜け出す根拠が明確になった。李在明政権と民主党に対する労働者・民衆の支持は、決して無条件かつ全面的な支持ではなかった。国民の力があまりにも強硬な暴挙に出たため、その反動として、民主党が相対的にマシな選択肢であるかのように映ったのだ。二つの資本家政党を超える代替政党が存在しないという根本問題を忘れてはならない。
 労働者たちは、今この瞬間だけでなく、長期的な政治情勢を見据え、対応策を講じなければならない。労働者たちが、当面国民の力の台頭を阻止するために李在明政権と民主党を支持し、擁護すれば、どのような事態が起きるだろうか?「文在寅政権を後押しした」ことの政治的結果を改めて思い起こすべきだ。文在寅政権に対する国民の不満と怒りの受け皿となったのが国民の力であり、その逆風を追い風に変えて誕生したのが尹錫悦政権だった。
 労働者たちには別の道がある。国民の力だけでなく民主党とも決別し、李在明政権に一切の信頼を寄せず、独立した闘争に乗り出す道だ。
 半導体の好況に隠れてはいるが、その他の産業は停滞と構造調整の圧力にさらされている。石油化学・鉄鋼・バッテリーなど、これまで韓国資本主義を支えてきた産業が不振に陥っており、これに対し資本家たちも「錯覚」や「超二極化」を口にするほど、韓国経済の不均衡は深まっている。この危機は、結局のところ、そのコストをどちらが引き受けるかをめぐる、資本家階級と労働者階級の正面対決を不可避にするだろう。労働者たちは、資本家や政府に立ち向かう大胆な闘争なしには、生存権を守ることができない。人工知能の導入や自動化が進むなかで、労働者を解雇せず、賃金カットのない「労働時間短縮」によって雇用を保障するためにも、そして若者たちに安定した雇用と労働条件を提供するためにも、この政策は不可欠なのだ。
 ますます深刻化する恐怖から脱却するための20代・30代の若年層の政治的な歩みも加速するだろう。真の出口を見つけるために共に闘争することなく、道徳的な批判、脅迫、処罰、統制だけでは問題を解決することはできない。
 2008年の米国産牛肉輸入反対キャンドルデモ、2016年の朴槿恵退陣闘争、2024年の尹錫悦による内乱に立ち向かった闘争において、若い世代は変化を求めて立ち上がり、大きな潜在力を示した。もちろん、その闘争は労働者・民衆の現実を根本的に変える政治闘争へと発展することはできなかったが、巨大な大衆闘争の過程で、数多くの若者の意識は変わった。
 労働者が民主党から政治的に自立し、独自の階級闘争を組織できる社会であれば、青年たちの怒りが国民の力や極右勢力に吸収されることはなく、これら右派勢力の権力奪取の踏み台にされることもないはずだ。
 その第一歩は、根こそぎ引き抜かれた労働者階級の独自の政治勢力化という旗を再び掲げることだ。深刻な経済危機を引き起こす資本主義システムに対抗し、労働者階級の生存権を担保するためには根本的な体制変革が不可欠である。しかし、改良主義・議会主義・官僚主義を内面化した労働運動の指導層は、変革への意志や具体的政策を欠いており、結果として自由主義政党である民主党の補完勢力へと回収されるに至った。
 したがって、民主党に代表される自由主義政党との野合を排し、その従属的な補完物、あるいは追随者として機能してきた既存の政治路線とは、今こそ明確に一線を画すべきである。資本主義を変革する巨大な労働者階級の力を組織せず、その力を議会の枠内に閉じ込め、労働者を単に票を投じる手段程度にしか見なさない選挙主義の政治から脱却しなければならない。
 今こそ、冷静かつ徹底的な実践を開始すべきである。青年層が既成の資本家二大政党、あるいは右傾化の潮流のなかに選択肢を求めざるを得ないという構造的悲劇に、明確な終止符を打たねばならない。
6月8日
(「社会主義に向けた前進」より)
【終わり】

朝鮮半島通信

▲朝鮮労働党と政府、軍による合同会議が7月10日、金正恩総書記の出席のもとで開かれた。会議では、軍総政治局のパク・ヒチョル前組織副局長らによる「特大型不正・汚職事件」が議題となった。
▲ソウル中央地裁は7月13日、ミョン・テギュン氏から無料で世論調査結果を受け取ったとして政治資金法違反罪に問われた尹錫悦前大統領に対し、懲役2年の実刑判決を言い渡した。

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