8.29しないさせない戦争協力関西ネットワーク年次総会
「武器取引の現状暴く」
杉原浩司さん(NAJAT代表)が講演
【大阪】市民運動と労働組合のネットワークである「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」の年次総会が8月29日エル大阪で開かれ、128人が参加した。活動報告、今年度の組織体制提案、会計報告と予算案提案があり、了承された。
短時間の休憩の後、陣内恒治さん(全港湾大阪支部)の司会で記念講演に移り、増田京子さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表、箕面市議)の主催者あいさつに続いて、杉原浩司さん(武器取引反対ネットワークNAJAT代表)が「武器取引の現状暴く」と題して講演をした。
講演は2025年5月に千葉県幕張メッセで開かれたDSEI Japan2025武器見本市の報告から始まった。
DSEI Japan2027に幕張メッセを貸すな!
DSEIはロンドンを拠点に隔年で開かれる世界最大級の防衛・安全保障関連の総合展示会である。25年の見本市出展は450社(イスラエル企業22社)、来場者1万4000人以上、しかも自治体議員すら入場できず。武器の売り手は世界中の軍需会社で、買い手は世界各国の政府・軍関係者。武器売買の商談が行われた。
2023年3月の見本市ではイスラエルの大手軍需会社が日本の商社と協力覚え書きを交わしたが、世論の抗議で破棄に追い込まれた。県有施設の幕張メッセを武器見本市に貸し出すことを、熊谷千葉県知事は「中立公正」を理由に容認している。DSEI Japan2027に幕張メッセを貸し出さないようオンライン署名が始まっている。
赤根智子国際刑事裁判所所長を制裁対象に指定するというトランプ政権の横暴を批判しない高市首相だが、国家安全保障企画官もまた「イスラエルは日本の同志国として除外されない」(5月28日自治体議員の申し入れで)と発言している。
5類型撤廃に世論は
高市政権は2026年4月、防衛装備品の海外移転(輸出)が認められていた非戦闘目的の5類型(救難・輸送・警戒・監視・掃海)」の制限を撤廃した。これにより、殺傷能力を持つ装備品や完成品の輸出も原則として可能になった。日本が防衛装備品・技術移転協定を結んでいる国は、現在18カ国。スペイン・フィンランドとは交渉中。
特段の事情があれば、現に戦争が行われていると判断される国へも輸出が可能となった。
特段の事情とは、戦闘中の米国などを指す。この日本の態度は「国連憲章に適合した使用を義務つける国際約束の締約国に限る」とした政府の前提に反しており、メイドインジャパンの武器が国際法違反の形で使用される可能性が高い。「米国へ輸出はできない」と明言させるべきだ。
どの世論調査でも殺傷武器の輸出「反対」が「賛成」を20ポイントも上まっている。
武器輸出は国内紛争、人権弾圧を助長
政府はフィリピンへ中古護衛艦あぶくま(あさぎりはインドネシアに)を無償か安価で輸出、また、88式地対艦誘導彈、三菱電機製指揮統制システムや03式中距離地対空誘導弾の輸出を検討しているが、今年4月19日フィリピン国軍はネグロス島で民間人9人を含む19人を殺害し、17年には韓国製戦闘機を市街戦に投入した。
22年~25年のマルコス政権下では軍の無差別攻撃で死傷者・家を追われた犠牲者が5万7156人に及び、“赤”のレッテル貼りも横行していた。このような政権への武器輸出は人権弾圧を助長する。
巨費投入で一変した軍需産業
軍需部門は儲からないからと一旦は撤退していた企業が、巨額の投資によって、成長産業へと活況を呈している。
三菱重工の防衛省契約額は前年度比4・6倍、株価は10倍に伸びた。日本の軍需産業の24年度販売額は約2兆円、伸び率は主要国中最大だ。軍需という風評が広がることで企業価値が低下するリスク効果(レピュテーションリスク)が効かなくなりつつある。欧米軍需企業の日本進出と日本企業との提携が強化されている。
川重とエアバス、丸紅とテックエバー(ポルトガル)の軍事ドローン製造での提携。米アンドゥリル社の日産追浜工場取得による軍事ドローン製造検討。ドイツラインメタルが日本に生産拠点を検討。
NECがBAEシステムズとサイバー分野で協業。攻撃用ドローン実証試験への欧米企業の参入拡大(楽天が軍事ドローン製造企業である独ヘルシング社の代理店契約)など。軍需が産業の中心になれば、日本は戦争から抜けられなくなる。
ドローン・AIによる戦争の変質
AIによる新しい戦い方の名で軍拡が進行している。安価な兵器による大量殺戮という非対称な戦争。日本も米軍戦略に連動し、攻撃型を含むドローンの大量取得へ進んでいる。どの国のドローンであれ攻撃型ドローンの性格は変わらないが、とりあえずイスラエル製の購入だけは止めよう。
イスラエル・米国による虐殺に加担している米AI企業パランティア(創業者ピーターテイル)が日本を浸食し始めている。この企業のAIは26年の日米指揮所演習「キーン・エッジ」で使われた。
自衛隊の指揮統制システムに同社のメイブン・スマートシステムの導入が検討されている。サン電子が筆頭株主のイスラエル・セレブライト社製のスマホ情報抜き取り機器を防衛用に導入した。イスラエル半導体企業タワーセミコンダクターの富山・新潟工場増強(パナソニックの撤退跡地を購入)に、通産省が1600億円を助成している。高市政権のAI・軍需を柱とした経済成長路線は、この傾向を加速させるだろう。
総力戦体制に向けた制度改革
日本政策投資銀行が軍需企業への投資制限を撤廃した(慎重姿勢から検討可能へ)。科学技術振興機構が10兆円規模の大学ファンドの軍需企業への投資制限の緩和を決めた。
政府は、フィリピンやインドネシアへ中古武器を輸出するために次期通常国会で自衛隊法改正と軍需産業強化法の改正をもくろんでいる。また、骨太の方針に国有の武器工場(国有工兵工廠)の建設が盛り込まれ、武器輸出促進、生産基盤強化を通じ防衛公社(仮称)の創設がもくろまれている。
この内容は年内改定が予定されている『安保3文書』に盛り込まれ、早ければ、来年の通常国会に関連法が上程されるだろう。
維新は、有事に軍需産業労働者に業務従事命令を出せる自衛隊法の改正を提言している。また、科学技術・イノベーション基本計画には、「国家安保との連携」が初めて明記され、日本学術会議を無力化し、大学に軍事研究拠点を整備し、最終的には産軍学共同体が構想されているだろう。
死の商人国家への堕落を止めるには
殺傷兵器の輸出を監視・阻止するネットワークづくりの最後の命綱は市民運動である。通常国会での法制度改悪を阻止し、輸出対象国の市民運動とも連携していく。先ずは、イスラエル製武器の導入を止めよう。DSEI Japan2027の開催に反対しよう。
テーマを超えて繋がり、「武器ではなく暮らしを」・「軍拡より生活」・「ミサイルよりごはん」。政府は米国製武器の爆買いを増やしている(25年度防衛省との契約額は9930億円だった。オーストラリアに軍艦輸出する三菱重工等に装備移転円滑化基金から1000億円超が支出されている。
軍事費の拡大(GDP3・5%)を見据えた軍事費の拡大を止めよう。国立大学病院の24年度赤字は285億円だった。軍事費を削減し医療支援に充てよう。
BDS(商品ボイコット・投資引きあげ・制裁)運動に学び国際法を使いこなし、レピュテーションリスク最大化を。「死の商人」批判はいまなお有効だ。三菱重工・三菱電機・川崎重工・IHI・ソフトバンク・スタートアップ企業(新興企業)に圧力を、とりわけ、三菱グループに集中しよう。
戦争準備を止め政治を変えるために、安保3文書改定に対抗する『平和構想提言会議』の取り組みを進め、最悪の事態を食い止め、若い世代とともに中長期的展望を切り開こう。
10・21ペンライトデモへ
講演についての質疑応答に続いて、西川雄二さん(沖縄を再び戦場にさせない実行委員会)から、沖縄知事選での玉城デニー候補の勝利のための支援の要請があった。
松岡幹雄さん(伊丹空港の軍事利用を絶対止める会)からは、特定利用空港港湾指定に反対のアピールがあった。
最後に古橋さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)から、特定利用空港港湾の指定反対、パレスチナ・イラン・ウクライナ戦争の即時停戦・さよなら原発・脱原発運動、安保3文書反対・3度目の都構想反対、10・21ペンライトデモなど8項目の行動提起があった。 (T・T)

杉原浩司さんの講演(8.29)

虐殺国家の大使館を撤去しろ!新任大使は出ていけ!
9.8イスラエル大使館前抗議(杉原こうじのブログ2から)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社


