パレスチナでのジェノサイドに反対する世界的な運動を

第四インターナショナル執行ビューロー

 パレスチナ人民に対する新たなジェノサイドという残虐行為に反応して、世界的な連帯運動が登場してきた。激しい弾圧にもかかわらず、この運動は世界中の数百万人を結集している。
 77年間にわたって、帝国主義者はパレスチナ人民を破壊し、追い出そうとしてきた。その際に、帝国主義者は追放や民族浄化、ジェノサイドを正当化するために、第二次世界大戦におけるおそるべきユダヤ人虐殺を利用した。2023年10月以降、イスラエルはガザにおけるパレスチナ人の生活を破壊し、1948年のナクバ[訳注:イスラエルによって70万人以上のパレスチナ人が故郷を追われ、国外で難民化したことを指す]を再現しようとしてきた。その一方で、入植者たちはヨルダン川西岸での攻撃を強化し、グリーンライン[訳注:1949年の休戦協定によるイスラエルとアラブ諸国家との休戦ラインを指す]内のパレスチナ人は以前にも増して大きな差別に直面し、イスラエルはレバノン、シリア、イランに対して軍事攻撃をおこなってきた。
 欧米帝国主義大国のほとんどが直接参加しているか、深く加担していることは今や明らかであり、ジェノサイド国家との関係を「正常化」しつつあるアラブ諸国も同様である。一方、他の多くの国々では、支配階級は上品ぶった批判をするが、実際の抵抗行動からは距離を置いている。これらすべては、吐き気を催すような「イスラエルの自衛権」という名目で、侵略者を犠牲者に、犠牲者を侵略者に描き出そうとするものである。

弾圧に直面している抵抗

 幸いなことに、世界の多くの地域で、何百万人もの人々が虐殺やガザ封鎖の停止、対イスラエル制裁を求めて動員された。彼らは[デモの]禁止、投獄、警察や司法による攻撃、反ユダヤ主義という誤った非難など、冷酷な弾圧に直面してきた。
 「ガザのための行進」と「スームド・コンボイ」は、ガザ封鎖を打ち破り、パレスチナ人に援助を届けようとした。エジプトとリビアで彼らが受けた弾圧は、これらの政権の恐るべき共犯性を示すものだった。何千人もの人々が殴打され、脅迫され、逮捕され、出身国に送り返されたが、彼らの出身国政府はほとんど対応しなかった。
 世界的に有名な人たちが乗り込んでいた「自由船団」もまた、より象徴的に封鎖を打ち破ろうとした。「自由船団」は、シオニスト国家が国際法を完全に無視し、真実を無視し、その管轄権にいかなる限界も設けていないこと、そしてそれがイスラエルの無制限な植民地主義を象徴するものであることをさらに浮き彫りにするのに成功した。
 多くの国において、連帯を表明し、要求を掲げることが禁止されている。たとえばアルジェリアでは、政府はパレスチナを支持すると主張しながらも、連帯を表明することを妨げている。
 アメリカをはじめあらゆるところで、抗議行動や占拠は国家によって禁止されたり、暴力的に攻撃されたりしている。大学教員がこの運動を支持したために解雇された。学生や有色人種、とりわけ中東出身者は、特に弾圧の対象となっている。
 連帯組織の非合法化がもう一つの重要な戦術になっている。イギリス政府は、直接行動運動「パレスチナ・アクション」をテロ組織であると宣言し、それを支援することは犯罪行為であるとされ、多くの弁護士、牧師、著名人が直接的抗議行動で全員逮捕された。 フランスは4月以降、「アージェンス・パレスチナ」を解散させるという脅しをかけてきたが、国際的な反対運動が大規模に展開されたためか、まだ解散措置はとられていない。
 ドイツでは、動員された数万人もの人々が容赦ない弾圧に直面している。反ユダヤ主義という誤った非難が、デモを禁止し、メディアを沈黙させ、運動全体の信用を失墜させるために利用されている。反ユダヤ主義を武器とするのはドイツにおける固有の問題ではあるが、それはいたるところでパレスチナ連帯運動に対して使われている。その中には「Not in our name」[訳注:「われわれの名のもとでパレスチナ人を攻撃するな」の意味]を掲げるユダヤ人組織も含まれている。
 イスラエルでは、たとえユダヤ系住民の大多数が軍隊の行動を支持していたとしても、パレスチナ人に対する戦争犯罪、ヨルダン川西岸地区における入植者の行動、ネタニヤフ極右政権が主導する政策、とりわけガザの住民を追放するという犯罪的な意志に対しては、反発がある。
 各国政府は、それがどんな限られた形態であっても(音楽フェスティバルでのシュプレヒコールであっても)、パレスチナの抵抗勢力に対するすべての支援・連帯デモを攻撃し、犯罪とする一方で、イスラエルを非難し、制裁を加えることを拒否しており、まさに偽善に満ちている。
 しかし、弾圧が最も激しいのは、もちろんパレスチナにおいてである。ヨルダン川西岸地区では、ここ数カ月で攻撃が激化し、入植者によるパレスチナ人への攻撃や家屋の破壊が毎日のように起こっている。また、イスラエルがガザの抵抗勢力を内部から弱体化させるために、パレスチナのギャングやジハード主義グループを武装させ、資金援助していることも明らかになっている。
 ガザでは虐殺が続いている。1カ月間に、600人以上のパレスチナ人が食糧援助を待っている間に殺された。食糧配給地点は死の罠である。いくつかの研究が示唆するところでは、この2年間で何十万人ものガザ市民が死亡した

パレスチナの抵抗は世界情勢の鍵である

 パレスチナ人民は、自由に使える手段を用いて、第二のナクバとガザ地区からの追放に抵抗している。これまでのところ、飢餓、ひどい生活環境、殺人的な攻撃にもかかわらず、彼らは立ち向かい、姿を消すことを拒否し、自らを守っている。
 国際的な連帯運動は、ジェノサイドの実態と規模を明らかにするのに役立ってきた。この運動は何百万人もの人々を動員しており、ボイコット・投資引き揚げ・制裁のキャンペーンは大衆動員ともあいまって、たとえばアパルトヘイトの南アフリカ共和国に対して起こったのと同じように、この犯罪的な政権を孤立させることができる。

この運動は止まらない

 パレスチナ人民の運命は、すべての被抑圧人民の運命や世界帝国主義の野望に対する闘いと密接に結びついている。われわれは、帝国主義間の矛盾が拡大しているものの、それにも限度があるという時代に生きている。たとえば、イスラエルがイランに対して軍事攻撃を開始したとき、ロシアはイランを支持しなかった。イスラエルとアメリカがレバノン、シリア、イランを攻撃し、アラブ諸国がそれに加担したことは、アメリカを筆頭とする帝国主義大国が、激しい経済危機とエコロジー危機の時代において、地球上のあらゆる場所に対する支配を強化しようとしていることを物語っている。そして中東は、戦略的な戦場の(中心でないとしても)ひとつであり続けている。
 パレスチナにおける植民地化の継続を阻止し、イスラエルとアメリカを押し返し、帝国主義からパレスチナを解放することは、世界を変革するためにわれわれが構築しなければならないパワーバランスの世界的転換の重要なポイントである。したがって、第四インターナショナルは、とりわけ大衆行動と労働者による行動を通じて、ジェノサイドに反対し、パレスチナ解放を支持する世界的な運動を構築するための努力を倍加することを呼びかける。われわれは、2025年10月7日に際して、広範な動員によって勢力バランスが変わるのを確実にするために闘うだろう。

 パレスチナの解放を! パレスチナはわれわれ全員を解放するだろう!
 ウクライナからパレスチナまで、占領は犯罪である!

イスラエルのジェノサイドを支援するな(6.20在日米大使館)

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