国際情勢に関する決議④
危機が渦巻いているアフリカ
12億人の人口を擁するこの地域は、資本主義世界の中に存在する。そして、資本主義世界が至る所でアフリカ民衆の生活を形作り、束縛している。アフリカがあたかも新植民地主義の低開発のくびきからようやく解き放たれたといった「アフリカの台頭」という言辞にもかかわらず、アフリカ、とりわけサハラ以南のアフリカは、不均等かつ複合的な開発の「不均等」な部分の犠牲者となっている。アフリカは依然として世界で最も貧しい大陸である。世界銀行は、2030年までに世界の極貧層の87%がアフリカに集中すると予測している。
資本主義の多元的危機は、アフリカ大陸全体に壊滅的な影響を及ぼしている。アフリカの炭素排出量は世界全体のわずか4%であるにもかかわらず、気候変動に対して脆弱な10カ国のうち7カ国がアフリカにある。「アフリカの角」[エチオピア,エリトリア,ジブチ,ソマリア,ケニアを含む地域]では4年間続いた干ばつによって250万人が移住を余儀なくされた。アフリカの政治状況を象徴するいくつかの紛争、特にスーダンでの戦争は、加速する気候危機がもたらした極度の混乱がその根源である。
かなり長期にわたって、われわれはアフリカをめぐる新たな争奪戦を目にしてきた。それによって、スーダンからモザンビークに至るまで、アフリカ全土で相次ぐ紛争が引き起こされている。こうした紛争の多くは、新たな石油やガスの発見に関連しているが、先進国の「グリーン経済」に必要な低炭素技術のために、レアアース(希土類)やその他の重要な鉱物(コバルト、銅、リチウム、プラチナ)の支配と採掘をめぐる競争が、ますます注目を集めている。
アメリカ、中国、ロシアは、かつての植民地支配国とともに、そしてもちろんのこと帝国主義覇権国とともに、超搾取形態で富を強奪し、アフリカでの紛争を煽る上で重要な役割を果たしている。
その結果、新たな紛争、地域的戦争、クーデター、内戦がアフリカ大陸の政治経済を規定し続けている。アフリカ諸国のいくつかでの紛争を利用し、欧米列強が支援する政権が新たな反乱に直面したり、倒されたりすると、おなじみのパターンが展開される。ロシアは、主に傭兵ワグネル・グループを通じて、西側の影響力を弱体化させ、この地域での影響力を得るために展開している。これは、フランスの新植民地主義の力に挑戦している西アフリカの一連のクーデターにも当てはまり、新政権は軍事的・財政的な生命線を求めてワシントンの競争相手に目を向けている。
しかし、中国はアフリカの富を奪っている非欧米大国である。中国はその経済力を利用して、資源担保融資、その他の融資、貿易取引、アフリカの採掘産業やインフラへの投資といった形で、不平等な交換を要求している。アフリカの二国間債務の62%は中国の債権者からの債務であると推定されている。
サハラ以南のアフリカでは、いわゆる市民運動(ブルキナファソではLe Balai citoyen、 セネガルではY en a marre!、コンゴ民主共和国ではLuchaなど)は、新たな推進力を求めているように思える。政権はまた、野党の人々を含む大衆的デモに直面すると激しい弾圧で対抗する(セネガル、スワティニ(旧スワジランド)、ジンバブエなど)。一般的に言って、左翼や「進歩派」(反新自由主義)による精神的支えはなく、ましてや(ヒラック[2019年2月に始まったアルジェリアの大規模な反体制運動]の際にアルジェリアの同志が提起したような)反資本主義の視点はない。目覚しく自己組織化をおこない、急進的な社会的・民主的要求を掲げたスーダンの蜂起は、現在抑圧されている。そして、人々は最も反動的な国家によってそれぞれ支援されている将軍間の無慈悲な武力衝突の中で殺されている。チュニジアのカイス・サイード政権は、「アラブの春」から生まれた民主主義の願望を封じ込めた。
2023年にアフリカの旧フランス植民地(マリ、ブルキナファソ、ニジェール、ガボン)で起きた軍事クーデターは、この大陸の政治危機の指標である。この危機は、湾岸君主国から資金提供を受けているイスラム主義テロ集団による軍事行動の台頭によって強調されている。湾岸君主国はリビアのカダフィの敗北と欧米列強の介入の結果強化された。これら4カ国では、体制危機の中で抵抗に遭うことなく権力を掌握した軍部が、政治機関の信用が完全に失墜したこと、国民、特にサヘル地域の若者の間でフランス帝国の存在が広く拒絶されていることを利用した。この拒絶反応は、2021年のセネガルで起きた社会運動の際にもはっきりと示された。中央アフリカの旧フランス植民地であるガボンの軍事クーデターの場合、新しい統治者たちや国民がフランスを拒絶するようなことはなかったので、決定的なのは政権内部の危機である。いずれにせよ、政権を握った軍部は、「アラブの春」後のチュニジアやエジプトで選挙を通じて政権を握ったイスラム主義者と同様、帝国主義的政策や新自由主義モデルに対する真のオルタナティブを提示していない。
被搾取人民、被抑圧人民、世界各国人民は動員で反応している
2008年の危機の後、世界中で大衆動員が復活した。アラブの春、ウォール街占拠、マドリードのソル広場、イスタンブールのタクシム、ブラジルの2013年6月、フランスの「立ち上がれ、夜よ」と「黄色いベスト」、ブエノスアイレス、香港、サンティアゴ、バンコクでの動員。この第一の波の後、2018年から2019年にかけて反乱と暴動の第二の波が続いたが、パンデミックによって中断された。ジョージ・フロイドの死にともなうアメリカとイギリスにおける反レイシスト反乱、イランにおける女性の英雄的闘争を含む世界各地での女性の動員、ベラルーシのような独裁政権に対する反乱(2020年)、2021年に勝利したインドの農民の大規模な動員。2019年には、100カ国以上でデモ、ストライキ、政府転覆の試みが目撃された。そのうち6カ国で、政府打倒または改革に反対する修正が成功した。4カ国で政府が打ち倒され、2カ国で政府が完全に改革された(2019年11月24日付『メディアパート』の調査による)。
パンデミックの余波の中で、フランスでのマクロン大統領の年金改革に対する3ヶ月間の抵抗、中国における中国共産党のゼロコロナ政策を打ち負かすのに貢献した労働者・学生・民衆の蜂起が際立っている。米国では、新しい生産部門(スターバックス、アマゾン、UPS)で組合化と闘争のプロセスが続き、新しい草の根の反官僚的プロセス(ランク・アンド・ファイル)が出現し、教育・保健分野の労働者のストライキが起きている。2022年から2023年にかけては、ハリウッドの脚本家と俳優の大ストライキが目立ち、それに加えて、国内三大自動車メーカーの労働者による歴史的かつこれまでのところ勝利しているストライキがある。
広義の労働者階級は、(アメリカの脚本家や俳優のストライキにおける抵抗が証明しているように)現在、人工知能(AI)の影響に直面する準備をしているが、依然として活気に満ちた多数からなる勢力であり続けている。しかし、リストラや抑圧のプロセスを経ており、前世紀と比べると意識や組織のレベルは低下していることが見てとれる。中国では大規模な産業複合体が存続し、東南アジア全域に広がっている。アフリカ、南アジア(インドとパキスタン)、ラテンアメリカの農民もまた、帝国主義アグリビジネスの侵略に勇敢に抵抗している。世界人口の10%を占める先住諸民族は、自らの居住地域に対する資本進出に抵抗し、全人類にとって不可欠な共有財を守っている。「アラブの春」の敗北とシリアの悲劇は、中東諸国人民の回復力を妨げている。これにもかかわらず、われわれはイランの女性・少女の英雄的な蜂起を目の当たりにしている。
労働者は、たとえ新たな労働組織形態や新しい闘争組織化方法のもとであっても、それゆえに以前よりも困難な状況であっても、資本に抵抗し、生活条件のために闘い続けている。重要なことは、あらゆる国で、あらゆる都市周辺部で、あらゆる職場で、あらゆる占拠やストライキにおいて、あらゆる新しい草の根組合において、秩序に抵抗するあらゆる新たなカテゴリーや新しい大衆運動において、共通の要求をめぐる団結において、自己組織の創設と強化において、そして要求の反資本主義的政治化において、搾取され抑圧された人々の意識と資本主義に対する階級的自立の再構築に向けて、これまで以上に活動することである。 (つづく)
THE YOUTH FRONT(青年戦線)
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