国際情勢に関する決議③

第4インターナショナル国際委員会

地政学的カオスとグローバル秩序の再構成

 構築中の「新秩序」、つまり無秩序は、すでに帝国主義間紛争の激化や核開発競争の再開の脅威を伴い、世界をより紛争が起こりやすく危険なものにしている。数年前の「地政学的カオス」は悪化し、帝国主義体制の危機、すなわち覇権国の弱体化をもたらしている。これは、ロシアのような新しい帝国主義や、中国のような新興帝国主義の主張と結びついている。これは、世界的に不安定な状況の中で、何も統合されないまま進行している再構築である。いずれにせよ、(ソ連崩壊後の)アメリカ主導のもとでのブロック一極支配はもはや存在しない。
 事実が示しているのは、経済・技術・軍事の各分野でアジアの巨人が強化されるにつれ、この10年間に、旧帝国主義体制―ヨーロッパ帝国主義諸国、カナダ、日本、韓国、オーストラリアを従えたアメリカ・ブロック―と、中国が構築しようとしている新興ブロックとの間の対立に基づく覇権争いが起きていることである。後者のブロックは拡大し、攻勢を強めており、その中にはロシア(北京との間に特殊な利害や矛盾があるにもかかわらず)、北朝鮮、中央アジアの各共和国の多く、中東のカリフ制国家(サウジアラビア、カタール、バーレーン、イラン)の新たな友好国が含まれていて、行動でBRICSを西側帝国主義に対抗する同盟に変えようとしている。しかしインドは、中国に対するものも含め依然としてアメリカの強力な同盟国である。
 シリア、イエメン、スーダン、コンゴ民主共和国東部で続いている紛争など、世界各地で戦争状態が拡大している。加えて、前者の例としてミャンマーのような公然・非公然の内戦や、メキシコ、ブラジル、エクアドルで明らかなように、ラテンアメリカの国々が犯罪組織と戦い、ひいては犯罪組織が住民と戦うという絶え間ない闘争も見られる。このような紛争状況は、アフリカにおいては地理経済学的・地政学的に進行しており、アフリカ、特に西アフリカの旧フランス語圏植民地では、ロシアがフランスやアメリカと経済的・軍事的に競合している。その点では、中国はアフリカ大陸のあらゆる地域とラテンアメリカ、カリブ海地域で経済的影響力を高めようとしている。

現在の中国やプーチン・ロシアの性格

 過去30年間の中国の「大躍進」の性格は資本主義だった。新興の中国帝国主義は、1980年代以降の社会的大革命と復古主義への転換を引き継ぎ、新自由主義による(アメリカとその同盟国との連携で遂行されている)世界の再構築に不可欠であり、他の帝国主義と同様、特有の性格を持っている。それは、中国共産党と軍隊(人民解放軍)において計画され、中央集権化された国家資本主義に基づくものである。つまり、公然と開発主義的な政策をとる開発資本主義であり、ほとんどの大企業は国有企業・国営企業と民間企業との合弁企業である。
 中国の新興帝国主義は、もちろんまだ構築中である。過去10年間、中国は資本輸出において飛躍をなし遂げた。中国は、新植民地諸国(東南アジア、中央アジア、アフリカ、ラテンアメリカ)のエネルギー・鉱業・インフラ企業への大きな参加を獲得し、世界最大の特許出願・登録国となった。2022年以降、中国は資本の純輸出国となっている(輸入よりも輸出の方が多い)。中国はますます軍備に投資し、台湾や南シナ海といったライバル国や弱小国が越えてはならない一つのライン(あるいは幾つかのライン)があると、ますます激しく警告している。中国は、チベットや新疆(そして歴史的にインドやブータンと争ってきた小領土)に対する政策は本質的に植民地主義的だが、欧米モデルを採用する「他国」の侵略・植民地化はまだしていない。
 ロシアは今日、旧ソ連の基盤の大規模な破壊、そこで起こった混沌とした非中央集権的な復興、オリガルヒに転身した官僚による新旧産業の乗っ取りの結果として生まれた国家である。今世紀初め、プーチンとそのグループは、かつてのスパイ組織や弾圧機関の出身であり、オリガルヒと古い大ロシア的民族帝国主義イデオロギーの21世紀版との間のボナパルティスト的関係を利用して、ロシア資本主義を再び中央集権化するプロジェクトを計画した。これは、他の帝国主義との競争においてロシア資本主義を再強化し、ロシア人民を含む連邦諸国人民に対する抑圧を質的に増大させる主要な手段へと変化した。プーチン政権の超抑圧的な性格は、ファシズムに向かって発展していると考えることができる。

アメリカ:危機にある覇権国

 ライバルの出現によっても、軍事的に最も豊かで強力であり、前例のない戦争力を持ち、ブルジョアジーがどんな犠牲を払っても地球を支配するのだという「歴史的使命」を最も確信していて、それゆえにその覇権の継続のために戦争を仕掛けるというアメリカの性格が損なわれることはない。今なお覇権を握る帝国主義「集団」の中で、最終的な決定をおこなうのはまさにアメリカ政府なのである。問題は、アメリカが抑圧という面では最強であるとしても、(少なくともベトナム戦争以降は)以前にはなかった深刻な問題を抱えているという点である。つまり、帝国主義覇権国は、他の覇権国と同様、同盟国や国内大衆を納得させることで初めて維持できるからである。そして、追い詰められた覇権国ほど危険なものはない。
 アメリカは、対外的な正統性に深刻な問題を抱えているだけでなく、より深刻なことに国内での正統性―それは1990年代の「一極支配」と「対テロ戦争」と言われた時代には存在しなかった要素である―という問題も抱えている。財界・官僚・政治エリートは、国内支配のプロジェクトをめぐってかつてないほど分裂しており、過去40年にわたってアメリカ経済と中国経済を深く結びつけてきたバリューチェーンを帳消しにするという混乱に直面せざるを得なくなっている。
 アメリカは、自らの相対的な経済的衰退に加え、(世界最古のブルジョア民主主義のルールを変えるという野心満々の)「ティーパーティー」やトランプが共和党を内部から支配し二極化が深まって以来、公然たる危機にあるブルジョア民主主義社会・体制なのである。この危機の傾向はさらに深まり、トランプやバイデンがホワイトハウスにいれば、かつて無敵だった「アメリカ」を弱体化させることになる。そして、アメリカは、行政・議会・司法の中で、その世界的な目標に害を及ぼす可能性のある攻撃に直面するだろう。

 グローバルサウス

 ラテンアメリカ、アフリカ、中東、およびアジアの大部分(特にその南アジアと東南アジア)は、「グローバル・サウス」として知られる新植民地国家の領域を構成している。さまざまな国家・社会形態の間で格差があるにもかかわらず、全体として、それらは負債を抱えた世界の基本的な部分―人類の大半が生活し、あるいは生存している場―を構成しており、原材料を生産し、最も破壊されていないエコシステムや広範な食糧システム、安価な労働力を所有し、それらは「北」の帝国主義の永続的・略奪的な富にとって不可欠である。
 40年間に及ぶ新自由主義的グローバリゼーションのあと、グローバルサウスには、より深刻な格差、飢餓、社会的保護制度の欠如、権威主義的政府、収奪、血なまぐさい社会紛争が集中している。しかし、金融・生産・商業・文化の国際化によって、問題や政治的分極化という観点からは歪んだ均等化も生み出されてきた。すなわち、極右勢力の台頭(ドゥテルテ、ボルソナロ、モディ、ミレイ)、犯罪組織の勢力拡大、気候変動による悲劇(インド、バングラデシュ、フィリピン、ブラジル)、国家・政治体制の危機、内戦(ミャンマー、スーダン、コンゴ民主共和国、ハイチ)、国家間の戦争などである。

 ラテンアメリカ

 今世紀初め以降、ラテンアメリカは一連の闘争、多数のデモ、民衆の反乱(エスタリドス)、こうした闘争から生まれた改革派政権の選出、多くの政治的分極化の舞台となってきた。なぜなら、ネオ資源強奪主義、自然の略奪的搾取、社会崩壊、格差、日常的暴力、軍事化、政治的危機が拡大しているからであり、それが極右のオルタナティブを伸長させる基盤となっている。2018年以降、新たな動員のサイクルが急進的なやり方をとってアンデス諸国を席巻している。抵抗、暴動、社会的闘争―そこでは民主的要求と経済的要求が組み合わさってきた―が、一方では結びつきながら、他方では極右が中心的な敵として永続している。これらの闘争はときには、再びいわゆる「進歩的」政権の選出へと矛先が向けられている。
 そうした「進歩的」政府は、労働者・被抑圧者の政府ではない。したがって、「われわれの政府」ではない。われわれはそれには参加しないし、無条件に支持する義務もない。しかし、極右の存在と成長が顕著な時代において、こうした政府は、大衆の広範な部分からはネオファシズムに対するオルタナティブとして考えられている政府である。というのは、一般的に言って、そうした政府は選挙という面ではオルタナティブであるからだ。したがって、われわれの政策は、現在の世界情勢の中でそれぞれの国の事例を研究し、極右を打ち負かす必要性を考えながら、人民の動員、綱領的要求の注意深い結合、こうした政府の新自由主義的で略奪的な政策に反対する闘いの促進・支援、最も反動的なものへの非難、極右と闘う最善の方法の推進以外にはありえないし、こうした政府に対する運動の独立性を維持することが不可欠である。
(つづく)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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