医療現場の大混乱から1年、患者も医療労働者も大きな苦痛
リュ・ミン
尹錫悦政権の医学部定員拡大計画に反発した専攻医たちが病院を離れてから1年が経った。生と死に直面する患者や保護者も、病院の現場の労働者も大きな苦痛を感じてきた。医療労働者たちは、すべての市民の健康権と医療現場労働者の労働権はつながっているとし、これを共に実現するためには「市場中心の医療システムを公共中心の医療システムに根本から変えなければならない」と呼びかけている。
民主労総公共運輸労組医療連帯本部が2月18日午前、専攻医の集団辞職1年、病院現場の現実を振り返る場を設けた。
医療連帯本部と市民健康研究所は、病院現場の実態調査結果を発表した。調査結果によると、過去1年間、「医療大乱」の影響で患者が大きな被害を受け、病院現場の労働者の労働環境も悪化したことが分かった。
専攻医の集団離脱、患者が時間内に診療を受けられず安全事故も増加
病院現場の労働者たちは、専攻医の集団離脱後、外来診療・入院・手術が縮小・遅延され、患者が適切な時期に診療を受けられないことを認識していた。
また、回答者の32・4%は、専攻医の集団辞職後、患者の安全事故が増加したと報告した。主な原因としては、十分な教育なしに行われる専攻医の業務の他職種への移管(59・8%)が最も多く挙げられた。
質問に対する回答では、患者の状態や治療計画に対する説明が不足し、財政を埋めるために非給与項目が増加し、処遇の遅れで入院日数が増加するなど、患者に与えた様々な負の影響も報告された。
チョ・ジュンレ医療連帯本部慶北大学校病院分会長は「上級の総合病院では急性期及び重症患者の割合が高い。適切な治療時期を逃すことは生命の危機にかかわることであり、患者や家族の苦悩は日々深まっている」と深い懸念を表明した。
医療連帯本部済州大学病院分会長のシン・ドンフン氏も「今年の1月、済州に住む妊娠29週の妊婦が早産のリスクで済州大学病院の救急室を訪れたが、新生児集中治療室の病床が不足していた。緊急分娩に備えるため、妊婦を順川にある病院にヘリコプターを利用して緊急搬送した。医療スタッフ不足のため、救急室に来た患者のうち、指やつま先などが切断されたときに縫合する手足の接合手術や眼科の緊急手術など、重症救急患者の診療が難しい状況だ。済州大学病院の医療サービスが制限され、道民は必要な医療サービスを時間内に受けられない状況に陥っている」と証言した。
病院現場の労働者、労働環境はさらに劣悪化
医療現場を守る労働者の労働環境も悪化していることが分かった。調査によると、病院は患者の減少を理由にシフトごとの看護師数を減らし、無給休暇を推奨していることが分かった。
回答者の79・2%が勤務班での人数減少による業務過重を訴え、給与減少による経済的困難を経験した回答者も45・5%に達した。
回答者は、外来・入院・手術の縮小に起因する患者対応が増加し、専攻医の業務まで任されるようになり、現場の労働強度はさらに高まっていると報告した。
一般看護師に対する医師の業務の移管も深刻化
「看護師の種類別遂行可能業務基準」のガイドラインによると、一般の看護師への委任不可業務に分類された業務を一般の看護師に移管するケースも増加した。
専攻医の集団離脱事態で、医師IDを利用した代理処方が増加したと回答した看護師が44・9%であり、看護師の業務範囲を超えた追加業務の遂行が増加したとの回答も69・7%に達した。
十分な教育が行われない診療支援業務配置
診療支援業務を担当する看護師の場合、一方的な部署配置及び命令によって非自発的に業務を担当するようになり、配置前に何の教育も受けなかったと回答した看護師の割合は、(理論教育)35・9%、(技術教育)47・7%に達した。
専門看護師の回答者の58・7%は、業務に関する困難を経験していると報告した。その原因として、職務記述書なしに行われた業務移管(55・6%)、体系的な教育・訓練プログラムの不在(37・8%)などを挙げた。専門看護師の61・1%はそれぞれの役割に関連した困難を経験しており、最も大きな困難として業務における責任の所在の不明確さによる不安感(79・1%)を挙げた。
医療連帯本部ソウル大学校病院分会の宣伝部長であるクォン・ジウン看護師は、「病院の赤字を理由に『非常経営』を宣言した後、患者の重症度が高くなった。手間のかかる患者を適切にケアするどころか、病棟の看護師を無給休暇にし、病棟の人員を縮小し、看護師はさらに多忙になった」と証言した。クォン看護師は「病院は医師業務を『実証事業チーム、診療支援看護師』という名目で看護師に押し付けた」とし「最初はインターンがやっていた男性尿管挿入の仕事を看護師が行った。その後患者に同意書をもらい、中心静脈カテーテル除去業務などを看護師に任せた」と指摘した。
医療現場労働者の健康悪化
このような状況で、回答者の46・2%がストレスを経験し、38・1%が新たな健康に関する問題を経験していることが分かった。
医療連帯本部のアン・ジホン蔚山大学病院分会総務部長は「上級の総合病院では、各種器具を装着し、数多くの検査を行う重症患者が多い。しかし、適切な治療を受ければ生活することができる患者が多くいる。その傍らには常に医療労働者が寄り添いながら治療を続けていく。8時間の勤務時間の中で何度も発生する緊急事態に対しては随時、業務の優先順位を変えながら勤務する。神経をすり減らしながら働く私たち労働者は、いつかは燃え尽きるだろうし、その被害はすべて患者が被ることになる。重症度に合わせた実質的な人材の確保は、選択ではなく、必須だ」と強調した。
非常経営体制、権威的・非民主的な運営を強行する病院
医療大乱によって、患者と医療労働者の被害を拡大する病院の非民主的な運営実態も明らかになった。
回答者の45・1%は、専攻医が行っていた業務に対する調整の過程が非民主的だと評価した。38・7%は労働者が排除された業務調整委員会の構成が不適切だと回答し、42・0%は業務調整の結果も共有されていないと報告した。
また、回答者の50・7%は、病院の財政状況と運営計画の透明性が確保されていないと指摘した。経営の意思決定の過程において、医療労働者の意見が適切に反映されていると回答した人の割合は4・2%に過ぎず、60・4%はこれに否定的な意見を持っていることが分かった。
イ・サンユン・研究共同体の健康と代案責任研究委員は「(医療大乱の解決と真の医療改革のためには)病院のリーダーシップの改革も不可欠だ。現在の権威的で非民主的な病院組織文化を改善し、医療人の協力を強化する構造を作らなければならない。特に、医師中心の権力構造を分散し、看護師やその他の医療人の役割を強化する方向に改革が行われるべきである。医療システムは多様な専門人材が協力しなければ正常に機能することができず、そのためには職種間の相互尊重と協力システムが不可欠だ」と指摘した。
市場中心の医療システムから公共中心の医療システムに
パク・ギョンドク医療連帯本部長は、「共に民主党・金潤議員室の報道資料(25年2・4)によると、医療空白期間(24年2月~7月)に3136人の超過死亡数が確認された。これは月平均520人の患者が超過死亡したことになる。政府は定期的に、緊急診療システムが適切に機能しており、病院を訪れる患者が増えたのは良いことだと広報している。しかし、実際には多くの国民が深刻な被害を受けている」と指摘した。
パク・ギョンドク本部長はまた、「医療大乱の解決策は、専攻医が抜けた部分を何かで置き換えることではない。医療大乱の原因が専攻医にあるのではない」とし「専攻医の辞任前から、地域と公共医療の崩壊、地域医療など必須の分野での医師不足、病院・介護労働者の過労と劣悪な処遇、病院の非民主的な運営などは慢性的な問題であった。医療が商品化してしまった韓国医療の問題を根本から変えなければ、問題の解決は不可能だ。それが、広場の闘争において人々が主張する社会大改革だ」と強調した。
医療連帯本部は「医療大乱による問題の解決と崩壊寸前の地域医療を救うためには、市場中心の医療システムを公共中心の医療システムに根本から変えなければならない。医療の公共性を強化し、公共病院を拡充しなければならない。市民の健康権を守るためには、公共医師と地域医師の養成、看護人材を含む保健医療人材の確保、そして適正な保健医療人材の基準が設けられなければならない。手遅れになる前に、政府はすぐにでもこれらの問題について責任を持って取り組まなければならない」とし「すべての市民の健康的な生活を守る要求を掲げ、市民と共に闘争を行なっていく」と決意を新たにした。2月18日
(「チャムセサン」より)
朝鮮半島通信
▲尹錫悦大統領は2月25日、憲法裁判所で行われた弾劾審判の最終弁論を行なった。
▲金正恩総書記は2月26日、戦略巡航ミサイルの訓練を視察し、27日、完工した平壌総合病院を視察した。
▲韓国空軍は3月6日、京畿道抱川市で、訓練中の韓国軍の戦闘機が誤って民間地域に爆弾を投下したと発表した。
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