広場と現場のつながり、その無限の可能性を信じよう
イ・ヨンドク
最近、公共運輸労組の馬事会支部が小さな勝利を成し遂げた。この小さな勝利が労働者の進むべき道を示している。韓国馬事会施設管理は韓国馬事会の子会社で、文在寅政権の欺瞞的な公共部門正規化政策によって作られた。しかし、労働者の現実は請負業者に所属していた時と変わらなかった。闘争なくして労働者の生活は変わらないという現実を、私たちは改めて思い起こさなければならない。
「女性らしさ」を強要する外見統制
馬事会施設管理は「顧客対応標準マニュアル」で労働者の外見を統制してきた。ネックレスは1cm以下のものを1つ、イヤリングも耳たぶから1cm以下のものを1つだけ着用するとした。染色可能な色、口紅の色、髪の毛の長さ、爪の形など、労働者の全身を統制した。韓国馬事会水原支社の管理者は昨年の12月、ある女性労働者にイヤリングを外すことを強要する人権侵害を行った。
侮辱を感じた当該女性労働者は、馬事会支部首都圏支部の支部長にこの事実を知らせ、支部が対応に乗り出した。会社は労働者が「このマニュアルにサインをした」と嘘をつき、状況をごまかそうとした。
馬事会支部は連帯を組織した。3・8女性ストライキ組織委員会が馬事会に抗議メール、抗議文書を送るなどのオンライン行動を行なった。そしてX(旧Twitter)で怒りの世論が形成された。MBCをはじめとする様々なメディアでも報道され、公共運輸労組と多くの労働市民団体が非難声明を出した。会社はマニュアルから外見統制の部分を取り除いて修復しようとしたが、支部はマニュアルの全面破棄と責任者の懲戒、被害者保護措置を要求し、会社にさらに圧力をかけた。結局、会社はマニュアル廃棄、被害者保護措置、関係者の問責を受け入れた。また、支部と引き続き協議するとして譲歩した。
容姿や身だしなみに対する統制が行われたのは、馬事会だけではない。多くのサービス労働者がこのような統制を強いられている。資本家は利益を上げるために、顧客の要求を無条件に受け入れ、サービスの概念を労働者の容姿にまで拡張する。このような統制のために労働者たちは、定められた枠組みにさらに自らを縛り付け、資本に従順になる。さらにこのような統制は、女性たちに「女性らしさ」を強要し、性差別意識を助長する。
労組弾圧に対する労働者たちの闘い
馬事会支部は、勤務評価制度を改善するためにも闘った。会社は、馬事会支部首都圏支部のキム・ヒョンジュ支部長に対する勤務評価点数をD等級(最下位の等級)にした。これは労働組合活動時間を積極的に活用する支部長に対する弾圧であり、労働組合に対する弾圧だった。
勤務評価点数は賃金と昇進に影響する。労働者はD評価を3回以上受けると、定年延長の際に不利益をこうむる。会社は、勤務評価制度を労働組合との誠実な協議なしに一方的に作成し、労働者を分断し、線引きするための手段として活用してきた。
キム・ヒョンジュ支部長は1月23日、組合員とともに1人デモと正門前宣伝戦を開始した。勤務評価制度に関するアンケートを実施し、組合員の意見を聞いた。これは組合員と共に闘争を組織するためだった。アンケートの結果、ほとんどの組合員は勤務評価の手続きや基準、内容を知らなかったことが分かった。支部はアンケート結果を会社に通知し、会社は窮地に立たされた。
馬事会支部は集会の届出を行い、座り込みや集会開催などによって闘争を拡大する計画を立てた。それは、身だしなみの統制を強要する接客マニュアル廃止闘争や勤務評価制度を改善するための闘争を一つにまとめるためだった。
会社は再び譲歩した。会社は、絶対評価の実施、評価結果の個別通知、評価者教育の実施、評価者の拡大、異議申し立て手続きの改善、労働時間の免除、ユーザーに対する評価基準の策定など、様々な意見を聞き、評価制度の改善案を用意すると表明した。労働組合は、勤務評価を賃金や昇進に連動させない方針を立てたうえで再び会社と交渉をしなければならないが、これまで微動だにしなかった会社の立場を変えさせたのは大きな成果だ。
広場と現場の結びつき
今回の馬事会支部の闘争は、広場の退陣闘争に参加した多くの市民や20代、30代の女性たちが直接現場に来て連帯した闘争ではなかった。オンラインでのみ連帯が組織された。これだけでも会社は大きな負担を感じた。もし会社が譲歩しなかったら、馬事会支部はより大きな連帯を作るためにさらに多くの人々に訴えを行い、広場で闘争している多くの労働者民衆が直接連帯しただろう。
今、「スズメバチ同志」と呼ばれる広場の労働者民衆が、職場での闘争の勝利のために全国各地で多くの連帯を深めている。全国金属労働組合亀尾支部韓国オプティカルハイテック支会での闘争、民主労総金属労組慶南支部巨済統営高城造船下請け支会の闘争、世宗ホテルで労働組合と使用者側の間で行われた闘争、A学校性暴力解決のためのチ・ヘボク教師の闘争などに連帯の波が押し寄せている。首都圏だけでなく、地方でも大小の連帯が組織されている。
極右勢力の絶え間ない暴動が続いており、20代、30代の若者の一部が尹錫悦大統領の弾劾に反対しているが、それを上回る20代、30代の若者のエネルギーがある。あまりにも多様な青年、市民が尹錫悦退陣闘争に参加しているため一括りにはできないが、20代、30代の若者の多くは特殊形態労働従事者、フリーランスの労働者、個人事業主として不安定な労働に従事している。
20代、30代の若者たちは失業と貧困の脅威に喘ぎ、闘争しなければ自分たちの生活も、みんなの生活も変えられるという確信を持っている。若者たちは、搾取され踏みにじられる労働者、差別と暴力に苦しむ貧しい民衆の現実に深く共感し、尹錫悦の退陣を越えて新しい世界が開かれることを望んでいる。
未組織の不安定就労者が一般的にそうであるように、20代、30代の若者たちも組合を作ることは難しい。若者たちがすぐに団結できる方法は多くない。労働者が連帯する空間が闘争事業場であるのはごく自然なことだ。しかし、労働者たちに蓄積されてきた怒りはあまりにも大きく、闘争の経験も蓄積されているため、尹錫悦が解任されても、しばらくは連帯が弱まることはないだろう。
現在の尹錫悦退陣闘争において、多くの労働者が何か大きな変化が始まる可能性を感じている。それは漠然とした期待ではない。韓国社会は激動しており、これまで見られなかった民主労組運動に対する支持と連帯の波が生まれている。組織化された労働組合と広場の未組織の労働者、20代、30代の若者が互いに影響を与え合い、尹錫悦退陣後も闘争が拡散する可能性は十分にある。
労働者自らが職場において闘争を組織していこう
文在寅政権時代を思い出してみよう。文在寅政権発足後、錦湖タイヤ、韓国GM、大宇造船海洋(現ハンファオーシャン)などで大規模な構造調整が行われた。そして泰安火力発電所の故キム・ヨンギュンさんがベルトコンベヤーに挟まれて亡くなるなど、重大な災害が絶えなかった。それでも労働者たちは、適切に闘争を組織することができず、迫害され続けた。
それは多くの非正規労働者が未だ組織化されていないからであり、一方で組織化された正規労働者の運動が後退を繰り返してきたからだ。さらに文在寅政権を「ろうそく」政府と誤認したことにより、労働者の階級意識が後退したためだ。そのため当時、組織拡大が闘争の拡大には繋がらなかった。
このような誤った経験を繰り返さないようにしよう。そして闘争拡大のきっかけを逃さないようにしよう。そのためには、「民主労組運動の革新」を旗印に活動する労働者がまず先頭に立たなければならない。官僚主義秩序の中に閉じ込められず、闘争を回避しようとする上層の指導部に屈服せず、現場の声を代弁しなければならない。そして現場の多くの声を聞かなければならない。いま私たちがいる職場において、闘争を作り上げていこう。
さらに、未組織労働者、非正規労働者が組合に加入できるよう、果敢に門戸を開き、未組織労働者の理解を全面的に代弁しなければならない。これは未組織労働者だけでなく、組織労働者の自己防衛力を高める道である。未組織労働者と団結できずに孤立した組織労働者は、政府と資本の立体的な攻撃の前に正しく立ち向かうことができない。
3月2日
(「社会主義に向けた前進」より)
朝鮮半島通信
▲非常戒厳を巡る内乱の疑いで逮捕・起訴された韓国の尹錫悦大統領が3月8日、釈放された。
▲朝鮮のメディアは3月8日、金正恩総書記が重要造船所の艦船建造事業を視察したと報道した。
▲朝鮮のメディアは3月8日、金正恩総書記が労働省休養管理局の温堡勤労者休養所の新設工事を視察したと報道した。
▲朝鮮は3月10日、黄海道周辺の内陸から黄海に向けて弾道ミサイルを発射した。
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