気候危機の時代、半導体特別法が世界を破滅させる前に

ヘ・ミ(気候正義同盟執行委員)

 政府は半導体産業を韓国経済の代表的な成功物語に仕立てたい。しかし、その物語が何によって構築されたのか、何を犠牲にした結果なのかという核心的な問いから目を背けている。「先端技術」というイメージとは裏腹に、半導体産業は膨大な水・電気・土地などの公共財を投入しなければ維持できず、その費用と被害は産業の外で静かに蓄積されてきた。また政府は「成長」を国家的課題のように提示し続け、半導体生産量拡大を最優先目標とし、電力・用水・送電網などの基盤施設を公共予算で拡充してきた。しかし、気候危機時代の産業における資源の膨大な消費は、持続可能性の核心問題となっている。もはや「輸出の稼ぎ頭産業」という理由だけで無限の拡大を正当化できない。
 こうした状況で国会が推進する「半導体産業競争力強化及び革新成長のための特別法案」(半導体特別法)は、これまでの産業中心政策をむしろさらに強固にする法である。半導体企業の拡張を国家目標に設定し、そのために行政手続きの緩和・認可短縮を制度化する方式だ。これは公共財を必須的権利ではなく産業の利益に優先配分する企図にもつながる。半導体特別法は、すでに気候危機と衝突している産業構造を事実上「正解」として固定化するものだ。この法律が成立すれば、生態系と地域社会に及ぼす負担は現在よりもはるかに大きくなるほかない。それこそが、半導体特別法が台無しにする未来に注目すべき理由である。

「超純水34万トン」に込められた収奪

 半導体プロセスにおいて水は代替可能な資源ではなく、生産の絶対要素である。超微細プロセスでは、ウェーハ洗浄と汚染除去のために一日数十万トンの超純水(UPW)が必要だ。サムスン電子一社だけで一日34・4万トンもの水を使用しており、これは百万人の一日の生活用水に匹敵する量である。この規模の水の使用は単なる「大量消費」ではなく、地域水資源構造を変える決定的変数となり得る。
 すでに複数の地域で河川水位低下、渇水期取水紛争、地下水枯渇憂慮が現実化している。特に気候危機の深化により降水量の不規則性が増す状況では、一層脆弱である。しかし、半導体特別法はこうした状況下にあっても、産業用水供給を最優先する制度を確立しようとするものだ。地域の水不足問題や長期的な生態安定性よりも、産業の要求を満たすための許可手続きの短縮を優先するのだ。政府は水の「希少性」という気候危機時代の条件を考慮せず、単に水消費を「成長のためのコスト」程度に扱う。そのコストは地域の生態と住民生活に転嫁されるだろう。
 台湾における2021年の干ばつ事例は、この問題が遠い話ではないことを示している。「最悪の干ばつ」 を経験する状況下で、半導体工場に水を優先供給するため、住民の生活用水は制限され、農地の5分の1で農業が中断された。その結果、作物生産量の急減、価格の暴騰、そして食糧自給率の低下が続いた。韓国でも水資源公社は、2030年の半導体産業の水使用量が1日325万トンに達すると展望している。限られた水をどこに、誰のために配分するのかという問いに対し、半導体特別法は産業側の立場から回答する選択肢である。しかし、われわれは、生活に不可欠な水よりも半導体工場の用水を優先することが、真に最善の選択なのかを問うべきだ。

「電力」を飲み込む半導体産業

 半導体産業は国内で最も電力を消費する産業であり、その需要が最も急速に増加している分野と言える。プロセスの微細化と生産量拡大は電力消費の急増につながり、これは韓国の電力需給計画を揺るがす核心要因となっている。政府は産業団地の電力不足を解決するとして、送電網、変電所、電力基盤施設を拡充しているが、この費用は多くの場合で公共の負担に回されているという問題も指摘されている。産業用電気料金が低く維持されているため、国民全体が電力需要の拡大を事実上補助する構造となっているからだ。
 電力の膨大な消費問題は、気候危機対応とも衝突する。半導体産業はRE100を要求し、再生可能エネルギー供給の拡大を迫るが、膨大な電力需要を持つ産業がRE100を達成することは、国家全体の再生可能エネルギー総量を先取りすることを意味する。一部ではこれを解決するため、半導体クラスターを首都ではなく再生可能エネルギーが豊富な地域へ移転すべきだと主張するが、工場をどこに置こうと大規模生産設備を追加稼働させる瞬間、電力需要そのものが膨らむ問題は変わらない。
 半導体特別法は「産業優先の電力配分」を制度化する方式で、再生可能エネルギーの公共性をむしろ弱体化させる。韓国の再生エネルギー比重がまだ低い状況で半導体工場に優先供給すれば、他の部門で再生エネルギーを使用する余地はさらに狭まるだろう。何より韓国の限られた国土と生態系受容力を考慮すれば、再生エネルギー発電を無限に増やすこともできない。結局、再生可能エネルギーは、気候危機に対応するための社会的転換ではなく、産業成長の燃料のように扱われるに留まるだろう。

半導体工場に奪われる「土地」

 半導体産業が拡大する際に必要なのは単純な工場だけではない。政府は産業団地拡張のために大規模な用地を確保し、そのために農地や山を毀損する問題などが繰り返される。しかし、こうした変化が地域の生態と生活環境に及ぼす影響を評価する過程は十分ではない。ここに半導体特別法は、環境影響評価の緩和、住民同意手続きの縮小、認可期間の短縮など「規制回避」を可能にする条項を含んでいる。地域社会の危険と負担をめぐる民主的議論と社会的合意を経るべき手順そのものを消し去る効果を生む。
 送電網を巡る葛藤は、こうした問題がどのような形で現実化するかをよく示している。国家レベルでは「産業競争力の確保」という名目だが、送電網建設によって生じる被害は、生業環境の悪化・剥奪、景観毀損、地域共同体の疲労蓄積などとして地域住民に集中するだろう。半導体特別法が施行されれば、大企業の投資速度と利潤確保のための地域の剥奪は、より速く、より広く拡散するだろう。

「正義の転換」を選択すべき時

 半導体はすでに日常の奥深くまで入り込んでいる。今すぐ半導体産業を止めようという主張は現実的ではないだろう。しかし、現在の問題を抱えた半導体産業を無限に拡張させる半導体特別法に疑問を投げかけざるを得ない。気候危機が深化している現実の前で、産業の拡張だけを推進することは、もはや現実的ではないからだ。今必要なのは、資源利用構造を再編し、その過程で産業・地域・市民の権利を拡充する公正な転換である。これを可能にする公共再生エネルギーという新たなエネルギーシステムへの声が高まっている。国会はその半導体特別法がこうした時代の流れに逆行する選択であることを直視し、今すぐ撤回すべきだ。そして、誰もが尊厳を持って生きていけるようなエネルギーシステムへと進む議論を始めよう。
11月21日
(「チャムセサン」より)

朝鮮半島通信

▲朝鮮人民軍空軍創設80周年を記念する行事が11月28日に葛麻飛行場で開催され、金正恩総書記が出席した。
▲金正恩総書記は12月3日、平安南道にある竣工を控えた地方工業工場を視察した。
▲韓国行政安全部は12月4日、大雪注意報の発令を受け、大雪の危機警報のレベルを注意に引き上げた。

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