どうするマイナ保険証

共通番号いらないネット

 【東京】3月30日、共通番号いらないネットは、「これからどうするマイナ保険証」というテーマで集会(渋谷区勤労福祉会館)を行った。
 政府は、2024年12月2日、健康保険証の交付終了を強行し、マイナナンバー保険証へと移行した。しかし、マイナ保険証の利用率は25%程度であり、4人に3人は健康保険証を使っている状況だ。健康保険証廃止に対してパブコメに5万件以上の反対が明らかとなり、政府は、「マイナ保険証がなくてもこれまでどおりの医療を受けられる」と対応せざるをえなくなった。マイナ保険証を申請していない人には、経過措置として資格確認書を交付している。マイナ保険証の利用トラブルが続き、マイナ保険証登録解除が約7万件に達している。集会は、マイナ保険証導入強行後の様々な問題を整理し、保険証の有効期限(1年)が迫るなか、どのような訴え、運動を進めていくかなどの議論が行われた。

医療DXの危険性

 原田富弘さん(共通番号いらないネット)は、「厚労省は、『2025年はマイナ保険証と資格確認書のどちらを使うのかを決めてもらう1年』と言っている。すでに健康保険証新規交付を終了しているが、失効していなければ有効期限まで最大1年間利用可能だ。私たちは『マイナ保険証はなくても大丈夫』と宣伝してきたが、マイナ保険証を選ばないための訴えが重要になっている」。
 「マイナ保険証をめぐって①健康保険証廃止による問題として、取得・管理・利用の困難、申請が必要、不便などが発生している。②マイナンバーカード利用による問題として、持ち歩きによる個人情報が心配、更新が必要だ。③オンライン資格確認等システムの問題として、不正確な表示、医療機関への強要、医療情報の利用が発生している。そのうえで今後の方向性として、暫定的に全被保険者に資格確認書を交付させることが考えられないか。また、立憲民主党は、「保険証復活法案」(マイナ保険証併用法案)を衆院で提出している(1月28日)。マイナンバーカード利用拡大に対して、情報連携の危険性を訴え、マイナンバーカード不使用の選択肢を求めていこう」。
 「オンライン資格確認等システム・医療DX(デジタルトランスフォーメーション=医療の質や効率をあげると称して人権軽視のデジタル技術の活用)に対しては、システムに起因する不正確な表示が続く間は、『試行運用』として健康保険証と併用が求められる。医療機関等への利用義務化を止めさせる。医療介護健診情報の一元集中を止めさせ、自己情報コントロール権を保障させる」などを強調した。

ネットワークの論議を紹介

 木村真さん(大阪府豊中市議、管理・監視社会化に反対する大阪ネットワーク)は、「大阪市と大阪メトロに対し、顔認証改札実用化の見直しを取り組んできた。顔認証などの生体認証システムは、ICカードやパスワード等での認証と違い、第三者が情報を取得し悪用された場合、などにも設定し直すなど変更ができない危険性がある。厳格な本人同意が必要だ。大阪メトロの顔認証改札は、2025年3月25日に実用化されてしまったが、時間をかけて丁寧に検討することを求めている」。
 「ネットワークは、『現行保険証の廃止・マイナ保険証への一本化・マイナンバーの強制反対。選別と排除、管理と監視のツールであるマイナンバー制は廃止を』と街頭宣伝している。」。
 木村さんは、そのうでネットワークの論議を次のように紹介した。
 「①「保険証廃止反対」を求めるが、次善の策として、「資格確認書を申請不要で被保険者全員に交付」はアリか?
 ②「保険証廃止反対」のその先は? 仮に「保険証との併用」となった場合、それで良しとするのか?
 ③マイナ保険証の保有率を上げさせないことが重要だが、「5年期限」をどう捉えるか? 放置を呼びかけることの是非(放置すれば資格確認書がもらえるが、タイムラグが生じる)
 ④「マイナ保険証で照会できるのはレセプト情報。適切な医療の役に立たない」と宣伝すると、「では電子カルテも照会できるようにしましょう」とやぶ蛇に?
 ⑤オンライン資格確認システム自体・医療DXそのものに対して反対すべきではないか?
 ⑥マイナンバーカード自体・マイナンバー制度自体に反対すべきではないか?」。
 続いて山崎秀和さん(共通番号制度を考える会静岡代表)、吉田章さん(東京保険協会)、池谷豊さん(スーパーシティを考える会)がこの間の取り組みと課題について報告した。
 
今後に向けた諸要求

 最後に参加者全体で集会要求を確認した。
 「医療による自己情報コントロール権が保障され、安心して保険医療が受けられる体制に向けて以下について要求する。
 ①保険医療をマイナンバーカード普及の道具にしないこと。
 ②マイナ保険証の押しつけを直ちに止め、利用は患者の選択に任せること。
 ③健康保険証の交付を継続すること。少なくとも「資格確認書」を健康保険証と同様に、被保険者全員に申請なしに保険者の義務として交付されるものに法改正すること。
 ④誤解を招く「資格情報のお知らせ」でなく、一律に「資格確認書」を交付すること。
 ⑤マイナ保険証の利用登録解除手続きを周知するとともに、受付方法を改善すること。
 ⑥医療DXを、医療・健康・介護情報の一元的集中管理を止め、市民・患者の自己情報コントロール権と医師の守秘義務が遵守されるものに見直すこと」。         (Y)

報告する木村真さん(3.30)

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