6.5リニア中央新幹線工事差止訴訟第21回口頭弁論
結審せず次回へ続行
不誠実な対応を繰り返すJR東海
【静岡】6月5日、リニア中央新幹線工事差し止めを求める第21回口頭弁論が静岡地裁で開かれ75人が参加した。新年度の異動により裁判長並びに陪審の3人全員が入れ替わったことから裁判長より口頭にて更新の手続きが述べられた。原告・被告からの準備書面提出についての確認がなされ、原告からは「弁論期日直前になって被告が準備書面を提出したが、原告としては反論の機会を与えてほしいので本日の結審を延期して弁論を継続してほしい」との要望を述べた。裁判長はこれを認め次回期日を9月25日と決定した。
昨年12月の第20回口頭弁論後の進行協議において最終準備書面を3月末までに提出して6月5日の次回期日で「結審」とする意向が裁判長から示されていたが、被告JR東海が公判3日前の今月2日になって準備書面を提出したことから今回の異例の事態となった。前裁判長からの意向を大幅に超えておきながらJR東海は「(今回で)結審してもらってもよいが、進行は裁判所に任せる」と抜け抜けと述べた。被告JR東海は5年にわたる本訴訟の過程で、不誠実な対応を繰り返してきた。近々審理が終結となる時点でもその姿勢は一貫している。
住民の提訴の生活や自然を守る正当な要求
陳述では、原告代理人の西ヶ谷弁護士は以下6点にわたり述べた。①原告らの主張 ②被告の反論が妥当性を欠くものであること ③公益性の欠如 ④立証責任について ⑤大塚正幸(トンネル技術士)証人について ⑥最後に(総論)
西ヶ谷弁護士の6点に亘る意見陳述の要旨は次のようだ。
この間の被告の対応を通して、住民の生活や南アルプスの自然を守るという提訴の目的が正当であることは確固たるものとなった。
被告は、本訴訟が継続する中でも、データの改ざん・隠蔽、無断での高速長尺先進ボーリングの敢行など、不誠実というほかない対応を繰り返し、訴訟における原告らからの求釈明に対しても正面から答えようとしない。また、実際のリニア中央新幹線工事においても、岐阜県瑞浪市大湫町における地下水位の低下と井戸の水枯れを筆頭に多くの問題が顕在化し、これに対する効果的な対策もできていない。
被告は、水問題に関する対策や補償について、一見すると耳障りの良い言葉を並べているが、現実には無策に等しいことを露呈するまでに至っている。そして、その一方で、十分な調査も説明も尽くさないまま平然と本件工事に着手しようとしている。
環境破壊は、ひとたび行われてしまえば回復は不可能または著しく困難なのであって、本件工事の着工判断が極めて慎重に行われなければならないことは言を俟たない。「覆水盆に返らず」ということを、我々は歴史から学ばなければならない。
居住する62万人へ重大な影響を与える工事
本訴訟で問われているのは、大井川周辺流域に居住する62万人の日常生活にも重大な影響を生じさせかねない極めて重大な問題であり、また、世界的価値のある南アルプスに対する大規模かつ不可逆的な環境破壊を許容するのかという問題である。
本件工事は今にも着手されようとしているが、これまで原告らが主張したとおり、本件工事は過去に例のない難工事となることが間違いないにもかかわらず、被告の事前調査は全くもって不十分であり、しかも、被告が行うとする環境保全措置も功を奏しないことは明らかである。したがって、原告らの権利侵害が生じる蓋然性は極めて高い。
原告らは、裁判所が以上の点を踏まえて慎重な判断をすることを、心から切望するものである、と述べた。
裁判長は弁論後の進行協議において9月25日の次回期日で結審すれば来年2月頃判決を言い渡すとの見通しを示した。
鈴木県知事が工事許可へ前のめり
川勝(前)知事の辞任に伴い県知事に就任した鈴木康友氏は、就任以来、南アルプストンネル建設の問題に対応するのに「スピード感を重視する」ことを表明し、本来行われなければならない政策判断に必要な検討・評価が軽視され「工事許可」に前のめりだ。JR東海と県行政による5~6月の静岡市と大井川流域住民説明会の開催をもって「住民の理解は得た」として静岡工区の着工を6~7月にも「許可」しようとしている。
県の担当者は、住民説明会開催を報じる報道の中でも「JR東海に寄り添って」と述べる始末だ。大井川流域に居住する62万人の生活や生業に不安を与え、世界的価値のある南アルプスの自然環境に壊滅的な被害をもたらすことを憂える人々に寄り添うことこそ行政の務めなのに呆れたものだ。
公判終了後、報告会がもたれ弁護団から口頭弁論の概要と進行協議の結果について報告された。次回公判は9月25日(金)14:30から、次回結審とならない場合は、判決期日が伸びる可能性もある。 (s)

リニア中央新幹線工事差し止めを求める住民たち
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