講演 菅野芳秀さん(令和の百姓一揆実行委員会代表)

「開発と発展と進歩」の時代から「生存と循環」の時代へ

 落ちそうな柿の実に聞いたら、もうすぐ落ちて人生は終わりだと答える。しかし、柿の実の種に聞いたら、もうすぐ俺の人生は始まると答えるだろう。私は76歳で柿の実だが、みんなでなるべえ柿の種。これは年齢ではなく、志の問題。
 私は山形県長井市で水田5~6ヘクタール、放牧養鶏1000羽をやっている。

三里塚との出会い

 農業を押しつけられるのが嫌で、新聞奨学生で大学進学した。卒業する前に三里塚に出会った。あんなに百姓になるのが嫌で農業から逃げ出そうと思っていたのに、青年行動隊はその立場を守ろうとする。何なのかそのエネルギーはと、大学2年の時に三里塚に行った。逮捕されて、10年間の裁判闘争。
 沖縄の日雇いの青年たちと酒を飲んだ時に、沖縄には逃げたい現実があるが、俺が逃げたら弟妹も逃げる。何世代もすれば逃げなくてもいい沖縄が実現できるかもしれない。だから、逃げないと決めたと言われた。それで逃げなくても地域を作っていくと決意して、25歳で田舎で百姓になった。半分は土方労働だった。

生きるための農業

 レインボープランで生ごみを堆肥にする循環型地域づくりに取り組んだ。
 22年23年の水田農家の時給は10円。暮らしていけない。時給10円が政治に放置されてきた。直近5年で24%の農家が離農した。農家のピークの層は76~78歳。米を誰が作るのか。日本から百姓は消える、集落は消える、消えかかっている。農業をどう守るかが国民的課題にならないといけない。起きる事態は令和の米騒動の比ではない。それで令和の百姓の一揆をやった。
 工業系社会のものさしの開発・発展・進歩からいのち・循環の生命系社会へ舵を切る。足元からそういう地域・社会をどうつくっていくか。地域的に提示していく。
 柿の種になるためには生命系の原理に立つ。多様性の共生社会としての地域社会の実現。地域の自立と自給。参加民主主義。地球的視点に立つ。生きるための農業をつくっていく。
 寺山修司の詩に『コカ・コーラの瓶の中のトカゲ』とある。皆さんも戦後の植民地日本で生まれ、死のうとしている。安保粉砕・日帝打倒を闘った私たちがこれでいいのか。今もコーラの瓶の中。植民地日本に楔を打ち込まないといけないではないか。連携しながら、生きていきたい。

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