三里塚闘争60年の集い  佐藤幸子さんのメッセージ(要旨)

新たな被害、新たな矛盾を一人でも多くの人々に伝えていくことだ

「強制収用やむなし」による悪質な再犯

 60年と言えばもう「昔」。「歴史」に昇格し、その歴史を静かに冷静に振り返り、昨日よりは賢い人間になろうと決意する時です。しかし、ここ三里塚では、機能強化なる方針のもと、住民は最終的に集落から追い出され、畑や田んぼはつぶされ、ユンボとダンプが砂埃をもうもうと挙げて暴れまわっている日々です。デズカや下山さんたちの宅地跡はとっくに付け替え道路の下に沈められました。そしてあろうことか、4者協での事実上の非公開審議と昔反対同盟だった人たちからの強い(かどうか分からないが……)協力(=イニシアティブか?)を得て土地収用法を掘り出し、シンポ・円卓会議の覚え書きも、堂本前々知事の「確約」も何もかも、「昔とは違う」という現知事の言い分で「強制収用やむなし」を決定しました。
 果たして、昔とは何が違うのか? この点をあいまいにしてはいけないと思います。「地域との対話を10年間続けてきた」「450回を超える地域説明会を開催してきた」「共生の枠の中で民主的なやり方を積み重ねてきた」などと主張し、「昔と違ってきちんと住民の合意を得ている」と県のトップが公言していますし、何よりも、空港拡張によって国際競争力をつけていかないと千葉県は生き延びていけないという彼らなりの危機感が背景にあることは明らかです。
 しかしその実態は、「一方的に自分たちの都合をしゃべるだけ」「非公開であり、意見や質問は事実上無視」「議事録の公開要求に対しては真っ黒」だとの声が上がっており、「同意」の実態が明らかにされています。
 円卓会議終了時、当時の隅谷調査団代表は、「今後の滑走路拡張工事において最も注意を払わないといけないのは騒音問題であり最大の課題だ」と指摘しました。

騒音拡大による生活破壊を許さない

 本年6月30日、「成田空港騒音被害訴訟団」と「成田空港の航空機騒音から生活を守る周辺住民の会」は、四者協議会に対して申し入れ書を提出しました。「地域で優先されるべきは騒音問題の解決のはずだ。それをなおざりにして土地収用法の適用など考えるべきではない」ときっぱりと述べています。「機能強化されれば、毎朝5時から深夜1時まで最大1時間36便の飛行機が飛び、かつ早番遅番の不規則睡眠を地域全部が強制されることになる。」とその過酷な実態を明らかにし、「私たちは、『説明会』ども機能強化による飛行時間延長には同意していません。」と厳しく指摘しています。
 そして、この訴訟は「人権をめぐる闘いです」とも。結局、国やNAAなどのやり方は昔と何ら変わっていません。権利のために巨大開発に群がる4者協等々の軽々しく狡猾な「強制収用やむなし」は許せません。
 一方、「昔」と明らかに違うのは、反対同盟や実験村構想検討委員会等が時代を先取りする形で警鐘を乱打していた「地球温暖化」問題が一気に進んでいる事実です。巨大開発、巨大利権の力は、1兆円ともいわれるお金を食いつぶして地球温暖化を推し進め、環境破壊、騒音の拡大、住民追い出しと地域破壊を推し進めようとしているのです。
 最近良く言われるのは、「横堀の裁判は、ただ農業研修センターだけの問題ではなく、残されている他の現空港関係の課題、空港に隣接してその被害を被っている多くの住民たちの行く末におおきな影響を与える」ということです。
 私たちは、控訴理由書において現判決の違法性を明らかにし、「空港会社の訴えは、控訴人らに対する著しい信義則違反であり、また本件係争地を取得する必要性・緊急性もない。現判決は、憲法13条、第29条違反であり、拙速であり取り消されるべきである」と結論づけています。私たちは、この控訴理由に基づき、これらからの控訴審闘争を取り組んでいきますが、NAAの機能強化方針は被害や矛盾を拡大していかざるを得ません。今、問われているのは、この新たな被害、新たな矛盾を一人でも多くの人々に伝えていくことだと考えます。もちろん、これは、今の私たちにとって簡単なことではありません。昔を妄想することもできません。でも、今問われているのは、やっぱり、多く知らせること、一人でも多くの人に空港によって苦しめられている人々の存在と訴えを知らせていくことだと思います。大変雑駁ですが、本集会に参加された皆さんへの連帯の挨拶とします。
 時々農業研修センターに車で出かけます。すっかり景色の変わった横堀周辺にひっそりとたたずむ農業研修センター、ちょっとセンチな気持ちになりますが、「もう少し、頑張ろうよ」と声をかけて帰ってきます。ともに‼

2026年7月25日 三里塚闘争60年の集いへ
横堀農業研修センター裁判被告:佐藤幸子

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