6・13リニア新幹線工事差止訴訟18回口頭弁論
酒井田努弁護士が工事計画を批判
問題点を次々と暴きだす
【静岡】6月13日、リニア中央新幹線静岡工区の工事差し止めを求める第18回口頭弁論が静岡地裁で開かれ40人が参加した。公判前には、静岡市の繁華街で街頭宣伝を行い、午後2時からは地裁前の西門橋上でミニ集会が行われた。
公益性があるのか
口頭弁論では、原告は準備書面(13)を提出し原告代理人である酒井田努弁護士がその要旨を陳述した。
準備書面は、JR東海が主張するリニア新幹線事業の高度の公益性(①大規模地震による被害発生への備えとしての二重系化の必要性、②スーパー・メガリージョン(巨大経済圏)の形成による経済・社会活動の活性化への期待に対する疑問と、新幹線事業がもたらす減水問題以外の弊害について論じた。
総論としてリニア新幹線事業の公益性が著しく低いこと①需要見込みや利便性、②コスト等の観点から二重系化が不要であること、③スーパー・メガリージョン構想が実現不能かつ不要であることを挙げ、需要見込みについて、JR東海が依拠するのは10年以上前に作成された需要予測に基づき論拠として古い。コロナ禍を経て定着したリモートワークの影響が一切考慮されていない。
また生産労働人口の減少が全く考慮されていないと指摘。利便性の問題ではリニアと在来新幹線のぞみを利用した場合のJR東京駅から名古屋駅までの所要時間の差は概ね25分程に過ぎず、時間短縮効果が大きいとは言えない。
JR品川駅の利用率が東京駅の約33%に過ぎないことや、全国新幹線鉄道整備法の趣旨を踏まえるとリニア新幹線駅は東京駅に作られるのが本来であり品川と名古屋間の所要時間を比較することは妥当ではない。
コストの問題について
②のコストの問題では工事・運航・維持には莫大なコストがかかり2009年当初の計画では品川・大阪間で9兆300億円、2014年認可時には品川・名古屋間で5兆5235億500
0万、2023年12月14日にはさらに1兆5000億円増額し7兆482億円となるとした。現在各地でリニア工事が大幅に遅延し、資材価格や労務単価の上昇に伴い、更なる工事費増加の可能性も見込まれ、加えて、維持管理費は年3080億円、設備更新費は年1210億円の見込みで在来新幹線の1・7倍から2倍、さらに、在来新幹線に比して4・5倍の膨大な電力を要することが専門家によって試算されており、気候変動問題が重大な環境問題とされる省エネ時代に逆行するものと指摘した。
二重系化を批判
JR東海が公益性の根拠に挙げる二重系化についても、リニア新幹線ルートは南海トラフ巨大地震の想定震源域にあり震度6前後の激震に見舞われ被害を免れず、東海道新幹線(東海道本線も)の代替にならないこと、またリニアには災害時に求められる物資輸送能力がない致命的欠陥があり、人員輸送に限っても他の鉄道の乗り入れがないため有効活用ができないこと、ルート選定にあたって二重系化構想を前提とした専問家の関与はなく、後付けの論拠に過ぎないと指摘した。
スーパー・メガリージョン構想とは
スーパー・メガリージョン構想についてもリニアが東京・大阪間を67分で結ぶことで三
大都市圏が一体化され巨大経済圏が形成されるというものだが、大阪・名古屋間は既に48分で結ばれているが一つの都市圏を形成していないことは公知の事実。リモートワークや
WEB会議が普及し、人の移動自体が不要となってきている現代においてスーパー・メガリージョン構想はもはや時代錯誤と言わざるを得ないと指弾した。そもそもリニア新幹線計画は自己資金での計画であり路線決定過程でネットワーク上の位置づけの検討がなされていないこと、決定にあたっては最短距離であること、権益を自社が囲い込むこと、故に難工事が予想される南アルプスルートを無謀にも選択した。
準備書面のもう一つのテーマであるリニア新幹線計画の多大な弊害については、大規模な自然破壊が生じる点について陳述した。
環境破壊に満ちた計画を許してはならない
本件工事により山域全体の砂漠化や山体崩壊、豊かな生態系の破壊、ユネスコエコパークの認定取り消しといった問題が指摘されていること、生物多様性に関する静岡県との対話は進んでおらず、有効な解決策は示されていない。
既に進行中の工事によって複数の水枯れや井戸水位の低下、水位低下に伴う地盤沈下、地下水脈の変動、発生土から基準値を超える重金属・ヒ素等の検出など各地で深刻な環境問題が生じていること、工事の進捗状況は10~20%程度であり、今後さらに環境問題は深刻化していく。
陳述はさらに、リニア新幹線の危険性についてこれまでに起きた事故を取り上げ、現在の技術では克服できない超電導状態を維持できなくなるクェンチ現象にも触れ、営業車両での事故が起きた場合には大惨事を免れないことが述べられた。(6月10日には車両基地で空中放電を伴う火災事故が発生)
また、リニア新幹線ルート上を横切る主要活断層7本の断層型地震、今後30年間の発生率80%のプレート境界型地震である南海トラフ巨大地震対策が全く考慮されていないことも明らかにした。トンネル走行中に巨大地震が発生すれば、未曽有の大災害となることは不可避と述べた。他にも電磁波の問題についても健康被害の懸念を払しょくできない点にも触れ陳述を終えた。審理後の進行協議で日程が次のように決まった。次回9月19日(金)
14:30~ 次々回12月19日(金)11:00~・13:30~15:30 原告証人尋問 (S)

週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社


