2025原発のない福島を!県民大集会
原発やめろ 再稼働推進NO
福島第一原発事故は終わっていない
【福島】今年の県民集会は、政府が原発最大限活用に大きく踏み込み、再稼働と老朽原発の運転再延長がすすめられる中で開かれた。
開会に先立って、アトラクションとして浪江町の南津島郷土芸術保存会による「南津島の田植踊」が披露された。集会の司会は高校生平和大使と県教組組合員の二人が担った。
虚構の復興計画を許さない
主催者あいさつに立った角田実行委員長は、「原発事故は何より地域コミュニュティを破壊した。デブリ保管施設建設が進められつつあるが虚構の上に立つ計画だ。処理汚染水放出に続き中間貯蔵施設にある汚染土の再利用が狙われている。東電刑事裁判の最高裁判断がまかり通れば、事故が起きても誰も責任を取らなくていいことになる。これらを許してはならない」と闘い続けることを表明した。
連帯挨拶には、さようなら原発1000万人アクションを代表して佐高信さんが立った。
講演には福島大学食農学類教授小山良太さんが立ち、 「原発事故の教訓をどう生かすか ― 震災14年目の福島県の現段階―」と題して、相馬双葉地区の農地の66パーセントは再開できておらずその損害と損失は長期間に及ぶのに、イノベーションコースト事業と国際教育研究機構などに多額の国費が投入されていることによる分断が深まっていると話した。
次に 生業を返せ、地域を返せ!福島原発事故原状回復訴訟原告団長の中島孝さんの訴え(別掲)。
二本松市で営農ソーラーを進めている近藤恵さんは、「2030年に原発20パーセントとする政府の計画は、34ギガワットもの原発を稼働、つまり40年を超えるほとんどすべての原発を再稼働する必要があり、あまりに非現実的だ」として政府の計画を批判したうえで、自らが進める「営農型太陽光発電が、環境を悪化させず、作物の品質と収量を向上させ、土地利用を最適化し、農家にコストの節約と追加収入をもたらす」ことを写真と図を使って説明した。昨今、山を削って巨大なソーラーパネルを作る事業が各地で進められ、自然、景観破壊であると非難の声が高まっている中で、太陽光利用と農業の一体化を進めていく話は胸に落ちるものだった。
トリは第27代高校生平和大使
今年も、高校生平和大使の二人が登壇し発言した。国連ジュネーブ事務局を訪ね、処理汚染水の処分問題や学校での核問題に関する知識を広める活動について交流してきたことなどを報告した。また、大熊町に生まれ、原発事故後避難生活を余儀なくされる経験の中で、「助け合える社会」の重要性、必要性を訴えていきたいと語った。反・脱原発運動層が高齢化する中にあって、はつらつと活動する高校生の姿には希望の光明が射していた。
集会は2025アピールを採択し、参加者一同で「フクシマの悲劇を繰り返すな!」を掲げて終了した。参加者は主催者発表で1000人であった。
(世田 達)
避難指示解除された地域
居住者数(3月7日)
▼双葉町 184人(事故前の3%)
▼大熊町 900人(事故前の8%)
▼浪江町 2,256人(事故前の10%)
▼富岡町▼飯館村▼川俣町山木屋事故前の3割みたず
中島孝さん(生業を返せ、地域を返せ!福島原発事故原状回復訴訟原告団長)
国と東電側に立つ裁判所
政府発表でも約2万4千人が避難したままで、相馬双葉地区の小中学生は事故前の11%に激減、避難者の4割の人々がPTSDを疑われている。処理汚染水放出、汚染土の再利用についても住民の間にずれ、対立がある。原発再稼働を妨げない情報が政府等から大量に流され、反する情報は『復興を妨げる』かのような扱いにされ、不安を持つこと自体、復興を妨げる非科学的態度だと決めつけて復興のスキームが組まれてしまっていることが、不信と対立の原因だ。
生業訴訟の仙台高裁審理で国側代理人の若い弁護士は「原告は放射線被害におびえているというが、現在放射線量は十分に低いのであり、それにもかかわらず不安だというのは科学を理解しようとしない非科学の立場だ」と主張したが、それは通らず仙台高裁では国に事故の責任があるという判決だった。
ところが最高裁は2022年6月17日に「事故を起こした責任は国にない」と判決、菅野博之裁判長は「想定外の津波であり、仮に国が対策を取らせたとしても事故を防ぐことはできなかった可能性があることから、国が東京電力に安全対策を指示しなかったことをもって、国に責任があるとは言えない」と国を守った。原発を推進して国に、なぜ責任がないということになるのか。
何があっても原発はやめたくないという国の動機があるのだなと、最高裁判事はそれにへつらっているのだなと、強烈に感じた。その中で「想定外という言葉に頼ってはならない。国および東京電力が法令に従って真摯な検討を行っていれば、適切な対応をとることができ、事故を回避できた可能性が高い。地震や津波の規模等にとらわれて、問題を見失ってはならない」と述べて原告の主張に道理ありとする反対意見を書いた三浦守裁判官だった。
この反対意見書は、「最高裁第2判決」と呼ばれて、生業訴訟はじめ全国の原告団を励まし、生業訴訟の道標ともなっている。しかし、その後の全国の判決は最高裁と同じ理屈で国を免責しており、正義を投げ捨てているとしか言いようがない。
生業訴訟は第2陣1800人が福島地裁でたたかっていて、ことし8月26日には結審となる。政府が総力を挙げて原発推進をしている中で、それに反対する世論を大きくしていくのはそう簡単ではないが、力を合わせて共に頑張りましょう。

1000人が集まった福島県民集会(3.15)
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