2・20部落解放荒川区民共闘が年次総会
石川一雄さんの無念を引き継ぎ
狭山差別裁判の再審を勝ち取ろう
【東京】2月20日、東京・荒川区の区立さつき会館で「部落解放荒川区民共闘会議」の第10回年次総会が開かれた。会員ら約30名が参加した。
昨年3月の石川一雄さんの死去以降も、その無念を受け止め、会員らが献身的に運動を続けてきた。とりわけ第4次再審開始を実現すべく毎月23日の情宣活動(23デー)は、町屋駅、日暮里駅前、南千住の大規模商業施設の前などで精力的に展開されてきた。集まった仲間らが交代でマイクを握り、個性豊かな口調で道行く人々に訴えてきた。
23デーで精力的情宣
会計担当の永井恵美子さんから活動報告、会計報告があった。会議議長の坂本繁夫さんは、新年度の活動方針(案)を読みあげた。
妻の早智子さんを申立人とする第4次再審請求が提起され、前請求審を担当した家令和典裁判長が引き続き指揮を執ることになった。検察は同裁判長の3月定年退官を見越したように、事実調べすなわち証人尋問の引き延ばしを画策している。これに対し後任の裁判長が鑑定人尋問を実施し、一日も早く再審に道を開くよう情宣、ハガキ活動、新100万人署名に取り組んでいくことになる。
進む改悪再審法の議論
冤罪を防止する目的で動き出した「再審法改正」は、衆院解散で廃案となった。法制審議会が取りまとめたこの「改正案」は、検察の不服申し立てを禁止せず、それどころか証拠開示を限定し、かつ目的外利用を禁止するという「改悪案」に仕上がっている。本来の議員立法にある検察の悪あがきを認めない内容で成立させること。2月下旬の「3者協議」への取り組みに始まり、春から秋に向けた運動の具体的な項目が提起された。
司会の高羽圭子さんが新事務局体制を提起。会場の拍手で承認され、留任した議長の坂本さんがあいさつをした。
朝鮮学校の支援活動を続ける森本孝子さん(平和憲法を守る荒川の会)が、同学校の応援団とも言える新しい会の立ち上げと協力を呼びかけた。
参加者の発言も共有し
石川早智子さんの年頭あいさつが、ビデオメッセージとして上映された。そしてこの日のメインのプログラムである狭山弁護団・山本志都弁護士による講演が始まった。内容は前述「部落探訪削除」裁判の報告で、この日は、インターネットの特性についての解説に重点が置かれた明快なものだった。(要旨別掲)
講演後の質疑応答では、「裁判における原告の資格」について。全国に運動を広げ、いろんな差別を問うこと。埼玉・川口におけるクルド人へのヘイトクライムについてなどが、次々と参加者から問われた。
閉会のあいさつとして部落解放同盟荒川支部書記長の小野崎篤さんが登壇した。「示現舎宮部らは荒川の部落もさらしている。一刻も早く差別禁止法の制定が必要だ。今日は清掃労組の若い人々も駆けつけてくれた。若者への運動の継承も、私たちの重要な課題だ」。
(佐藤隆)
山本志都弁護士の講演から
「部落探訪」削除裁判・さいたま地裁判決の意義~「差別されない権利」で差別扇動に立ち向かう
現在問題になっているインターネット上の差別について解説したい。まず、発信する側の「匿名性」、未検証の情報が流れる「直接性」、閲覧評価と表現が過激化・デマ化するという「扇動性」がある。受け取る側は、検索の容易さ、上位情報の玉石混交、閲覧履歴による同質化という傾向があり、同じ考えを持つ者、持ちたい者がつながりやすくなる。「生成AI」では、さらに多くの差別情報を元に回答を偏向させる。今の若者と時代は、ウエブ上の「公式HP」を見ない。流れてきた情報を信じ込む。そもそも前提になる情報が差別に偏っている。
「部落探訪差し止め裁判」は全国3か所で闘われている。示現舎・宮部龍彦らは「部落探訪」という動画で建物・風景だけでなく家の表札や看板、墓地までを撮影して垂れ流し、埼玉県内で440の地域が掲載されている。この差し止めを求め裁判を起こしたが、掲載物が次々増えてイタチごっこになっている。
埼玉で画期的勝利判決
埼玉県第一次訴訟の判決が昨年12月17日に出され、県内すべての地区に関する記事を差し止めて今後の公表を禁止し、11万円の賠償金を科した。これは画期的な判決だ。しかも、インターネットによる「芋づる式」の拡散の悪影響を指摘している。「差別意識を煽る目的をもってした行為」と被告の悪質性を認めたのだ。
しかし双方が控訴し裁判は東京高裁に移った。個人(と同盟県連)原告を起点として、すべての地域の差し止めを裁判所が認めるかどうかが高裁でのポイントだ。示現舎の差別繰り返しのたびに、被害者は裁判を起こし続けなければならないのか。それでは際限がない。
提訴と個人情報の矛盾
しかも差別を止めるためには、訴訟で原告が個人情報を公表しなければならないという矛盾が根本にある。それは新たな差別を呼び起こしかねない。補償額は少なく実効性が低い。集団的な誹謗中傷表現や差別助長表現に対する規制もない。一方でネットの情報は半永久的に残る。
2025年4月、「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(=「情プラ法」。「プロバイダ責任制限法」を改正)が施行された。ネット上の誹謗中傷や差別表現の激化に対し、サービス事業者の利用規約に基づく削除の迅速化・透明化を求めた。これは主にサービス事業者の利用規約に基づいているが、指定サービスのみが対象であり、申し立ても必要になる。司法がだめなら立法で、包括的な差別禁止法を求めていくしかない。
(発言要旨、文責編集部)

一日も早く再審に道開く行動を確認(2.20)
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