4.17加茂生コン事件差し戻し審一部無罪判決

全日建運輸連帯労組近畿地区生コン支部(関生支部)弾圧

 【大阪】全日建運輸連帯労組近畿地区生コン支部(関生支部)弾圧のひとつである加茂生コン事件の差し戻し審判決が4月17日、大阪高裁で出された。判決内容は、被告2人のうちY執行委員は強要未遂で懲役6月(未決勾留60日算入)執行猶予3年、組合員Yさんは無罪である。

弾圧事件と裁判経過

 この事件の1審京都地裁判決は、強要未遂でY執行委員懲役1年執行猶予3年、Yさん懲役8月執行猶予3年だったが、2審大阪高裁判決は、脅迫でY執行委員罰金30万円、Yさんは無罪だった。上告審の高裁差し戻しという決定を経てこの度の差し戻し審の判決となったわけである。

 この事件は2017年、村田建材(加茂生コン)に日々雇用されていたМ運転手が関生支部に加入、10月16日に組合が団交を申し込んだことに始まる。日々雇用からの正社員化、子どもの保育所入所のための就労証明書の発行、就労日数の増加等の要求で団交を要求するが会社は応じず。会社は組合加入後は就労日数で差別し、それまでは作成していた保育所のための就労証明書の作成を拒否するという明らかな不当労働行為を行った。
 組合は要求書を提出し団交要求を続け、就労証明書の発行を繰り返し求めた。会社側は企業閉鎖をちらつかせながら不誠実な対応をつづけ、組合側は会社前での監視行動を続けていく。
 その間、11月27日会社の事務室で折衝(?)が行われ、就労証明書の作成を強く要求したが会社は応じず、その場から市役所の関係部局に照会すると、作成は義務だとの指導を受ける。その時、会社側で折衝にあっていた役員(代表の妻)が体調不良を理由に救急車を呼ぶという一幕があった。会社が組合の要求書に回答するから12月4日に来るよう通告してきて、その日に出向いたY執行委員、М執行委員が会社事務所で暴言を吐いたとされる。
 以上のような201
7年10月~2018年4月の出来事が2019年6月19日加茂生コン事件として事件化された。
 逮捕者は、委員長・副委員長ほか3人、業者2人。委員長副委員長の裁判は、京都事件として分離された(今年2月24日に京都地裁で完全無罪判決)。他3名のうちМ執行委員は組合脱退で分離され、1審有罪判決を受け容れ裁判は終了した。残りの2人がY執行委員とYさんである。

労働組合の刑事免責を否定


 差し戻し審の判決公判では、主文が言い渡されてから、40分にわたって判決文が読み上げられたが、裁判長の声が小さく余り聞こえず、就労証明書の作成という言葉が頻繁に聞こえたという印象がある。公判後、裁判所前の若松浜公園で報告会が開かれ、初めて判決の内容がある程度理解できた。
 3人の弁護士の報告をまとめると、1審判決では企業の就労証明書の作成は義務ではないとしたが、2審判決、差し戻し審判決とも作成を義務とした。1審では組合の1連の行動を強要未遂としたが、2審ではY執行委員の12月4日の暴言を脅迫と判断し罰金刑とした。
 差し戻し審では、12月4日のМ、Y執行委員の暴言を、就労証明書を作成させる目的で2人が共謀し暴言を吐いたとして強要未遂と判断した。聞くに堪えないМ執行委員(事件後組合脱退)の暴言にY執行委員が連帯責任を取らされた感じだと分析。しかし、事務所で暴れたわけでも物を壊したわけでもない。就労証明書の発行を要求しても、不誠実に対応し、回答をずーっと引き延ばし、12月4日に回答するから来てくれと言っておきながら、時間通りに行くと、弁護士に一任しているから通知を待てといい、弁護士の名前を聞いても言わない、もう帰ってくれと言う対応。誰だって腹が立つと思う。
 12月4日のこの言動が社会的相当性の範囲内だと判断すれば無罪となっただろう。Yさんはこの時事務所の中にいず何もしていないから無罪は当然。裁判所は、労働組合の刑事免責の視点は忘れているのではないか。そのような内容だった。
 森弁護士は,判決を聞くのが怖かったと言った6~7割ぐらい高裁判決が覆される可能性を感じていた。最高裁が指し戻すというのは、高裁判決ではダメだということを暗に示唆しているから。冒頭の主文を聞いてほっとしたと語った。そして、裁判はまだまだ続くのでと、支援を訴えた。
 最後に、当該の2人があいさつをし、上告して闘うとの決意表明があり、湯川委員長のお礼のあいさつで終了した。    (T・T)

「弾圧に抗して闘いぬく」と決意表明する当該2人(4.17)

司法の反動化を厳しく批判するた弁護団(4.17)

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