7.12「令和の百姓一揆と食の未来」シンポジウム
菅野芳秀さんが農家の窮状と変革への希望を熱く語る
【京都】参議院議員選挙の真っ只中の7月12日にキャンパスプラザ京都で「令和の百姓一揆と食の未来」シンポジウムが開催された。
京都および近隣の府県で食べ物の問題、環境・気候の問題、農業や協同組合運動に関わっている多くの団体による「関西『令和の百姓一揆』実行委員会」が主催する企画で、全国各地で始まっている「令和の百姓一揆」に連なる関西での初めての大きな取り組みだった。
山形県の置賜地域の百姓で「令和の百姓一揆」の代表として全国に檄を発している菅野芳秀さん、アグロ・エコロジーの観点から食料主権について研究・調査・発信してきた池上甲一さん(近畿大学名誉教授)、京都府南丹市でコメ作りを続けている堀悦雄さん、有機農業を学び「京都ファーマーズ・マーケット」などの運営にかかってきた井崎敦子さん(現在は市民派の京都市会議員)の報告・コメントと4人によるシンポジウム、会場からの発言という盛りだくさんの内容だった。
昨年来の「コメ不足」、備蓄米の放出をめぐるドタバタ、コメ価格の高騰を農家の人たちはどう見ているのか。
3つの基本的な要求
菅野さんは、「かつて475万人あるいは600万人いた農民が今では100万人を割っており、米づくりをしている農民の平均年齢は71歳。稲作農家の収入は時給10円にしかならない。それでも稲作を続けているのは先祖から受け継いできた稲作を自分の代で終わらせたくないから。そうはいってもあと5年もすればやる人がいなくなる」という現実を訴える。「これは農民だけの問題ではなく、日本ではコメが食べられなくなる、皆さんの問題です」。
「令和の百姓一揆」は3月30日の東京でのデモのあと、全国各地でそれに続く動きが始まっている。「令和の百姓一揆」はメディアの注目を集めたが、人々の関心は備蓄米の放出やそれをめぐる政局や選挙情勢に流されがちで、農民の怒りや危機感は伝わっていない。菅野さんは「昔は『百姓は殺さぬよう、生かさぬよう』と言われていたが、今の政府がやっていることは『百姓は死ね』といっているのと同じだ」と言う。政府や選挙に頼ってはいられない。1回限りのデモではなく、デモは出発点、これからどんどん広げて、人々の意識を変えていかないと。
農民といっても地域や規模、穀物と野菜、業態によって状況は異なるし、何に最も困っているかも違う。「令和の百姓一揆」では3つの基本的な要求を掲げている。①農家に欧米並みの所得保障を、②すべての人が安心して食べ物を手にできる食の保障を、③自給率の向上を。そして「減反の廃止」だ。
後半の討論で、菅野さんはまず「農業の絶望的な状況について知ってほしいので報告ではそれを中心に話したが、あとの討論では未来、希望を語ろう」と提起して、置賜地域で30年前から続けている有機農業・牧畜・廃棄物の活用を組み合わせた地域循環型経済の成果について語り、全国の人たちがそれぞれの地域の条件に合ったモデルを作り出すようになれば、社会は変わる。世界もその方向に転換しはじめているし、置賜ではアジア各国の農民との交流・知識の共有を続けている。国家やグローバル企業に自分たちの未来を託すのではなく、まず自分が食べる農作物に関心を持つこと、家庭のプランターでもいいから食べ物を自分で育てる経験から、百姓の知恵や苦労をわかるようになってほしいと訴えた。猛暑の中、150人が集まり、熱心に報告を聞き、活発に意見が交わされ、行動に移そうという熱気が伝わってきた。
(大阪支局A)
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