12.10泊原発3号機再稼働反対
厳寒の中220人が道庁に結集
再稼働の連鎖を止めろ すべての原発廃炉へ
11月28日の北海道議会において鈴木知事は、泊原発3号機について「原発の活用は当面取り得る現実的な選択だ」と再稼働を「容認」する答弁を行った。これに抗議するとともに、12月10日の定例会中に再稼働について同意表明することのないよう、脱原発をめざす女たちの会/泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会による抗議行動があった。札幌はもちろん、バスを仕立てて参加した「泊原発の廃炉をめざす会十勝連絡会」、脱原発・自然エネルギーをすすめる苫小牧の会、泊原発の廃炉をめざす会、小樽の市民、福島の被災者、市民ネットワーク北海道の市議、日本共産党の議会議員団など多数の人びとが集まった。
参加者たちは「原発いらない」「泊原発を廃炉に」などのボードやバナーを手に、寒風吹き荒ぶ氷点下の中で道庁東門でスタンディングを行った。廃炉をめざす会は再稼働反対の1万人余りの署名を道に提出したことを報告。参加者たちは「知事だけで決めるな。議会だけで決めるな。知事は道民の声を聞け」と力強くシュプレヒコールをした。
まさに北海道・東北は巨大地震警戒中であり、地震が多発する日本で再稼働は認められない。福島原発事故による被災者たちの苦しみが今も続いている現実から、知事は何も教訓を得ていない。食糧基地北海道で原発事故があれば、知事のみならず国は食糧安全保障の観点からも責任はとれない。また能登半島地震が示したように、現在の原子力防災対策では複合災害によって原発周辺に住む人々は、特に雪の季節には安全を確保し、避難できない可能性が高い。
今年7月末、原子力規制委員会は12年の歳月を費やしやっと正式合格を出した。それを受けててわずか4カ月で知事は再稼働を容認。道主催の形ばかりの原発推進の説明会では道民の様々な疑問、不安に十分に応えることもなく「道民の声や関係自治体の判断・意見、議会議論を踏まえ、熟慮を重ねた」と知事は述べ、道民の声を聞く姿勢がない。
北電は「2027年の早期再稼働」を目標に掲げている。しかし11年に泊原発の廃炉を求めた道内外の住民らが起こした訴訟に、札幌地裁が22年泊原発の津波対策の不備を指摘し、運転差し止めを命令した。それに対して北電は札幌高裁に控訴。12月26日には第8回口頭弁論がある。あらためて泊原発の危険性・違法性を裁判を通じて、泊原発の問題を道の内外に訴える闘いが続く。今後さらに1号機、2号機の再稼働のため北電は審査を申請するだろう。さらなる戦いが継続されることになる。
以下、原子力資料情報室の資料を参考に泊原発の問題点を検討する。
安全性に対する不十分な審査
積丹半島海域では、変動地形学的手法によって60〜70㎞に及ぶ半島西方断層が確認され、地震の規模はM7・8クラスと想定されている。原子力規制委員会は、北電に対し手取り足取りの「泊スペシャル」、「まるで教員が生徒に答えを示しながら試験を受けさせるようなもの」とまで言われ、北電の当事者能力が疑われていた。最初は活断層を全く認めなかった北電はようやく226㎞までは認めたが、断層連動の中心を原発から遠い場所に設定、活断層の連動も認めず、M6・7の地震と過小評価し、規制委もこれを追認している。海上音波探査に頼って断層を見逃した能登半島地震と同じ過ちを繰り返そうとしている。
また、泊原発の原子炉を除く重要施設は埋立地の上に建設しており、建屋直下で30㎝の変位が発生すれば、機器の支持機能の維持は困難になり、敷地が隆起・沈降した場合、原子炉を冷却することができない。
事故発生時5〜30㎞圏は事故後3日間屋内待避という非現実的な計画だが、事故発生時点では事故の進展は不明なうえ、屋内待避では被曝が不可避である。また、地震などの複合災害では家屋の倒壊も十分あり得、食料備蓄がない状態もあり得る。規制委の審査は最新知見を反映しない不十分なものだ。
あやしい泊原発の経済性
すでに米国では太陽光+蓄電池の費用が劇的に下落し原子力や石炭より安価になっている。日本だけが異様に安い原発の発電コストの推計をしている。
再生可能エネルギーと蓄電池の大量導入がもたらした劇的変化が、太陽光と蓄電池の組み合わせで24時間電力供給(年間97%)を確保でき、石炭や原子力よりも安価になっている。
また原発の近年の原発施設費用は先進国で2〜6兆円/地点になっており、原子力は建設20年、60年稼働する。電源の変革期に80年間固定される電源投資は合理的ではない。
動かない泊原発の巨額の維持費で北海道の電気料金は上振れしてきた。維持費安全対策費+α、さらに1・2号機の対策コストも発生する。北電によれば、泊3号機の再稼働で600億円のコスト低減を見込んでいる。
原発コストは極めて高く、世界のエネルギー転換の主流は再生可能エネルギーであり、北海道にはその巨大な可能性があるなかで、値下効果の喧伝は世論操作のためである。
問われる泊原発の安定供給性
世界のウラン生産量のシェアとウクライナ戦争にともなう燃料コスト高騰による、地政学的リスクがある。ウラン供給はカザフスタンが41%を占めるが、ウクライナ戦争により、ウラン輸出が難しくなっている。他にニジェールの軍事政権はフランスの保有する同国ウラン鉱山の採掘権を撤回し、ロシア企業が採掘に乗り出すとの見方がある。中国・ロシア分も含めれば56%のウランが西側にとっては供給不安定化していることになるに伴ってウラン価格、濃縮価格、転換価格が高騰している。
原発への攻撃のリスクも考えられる。イスラエル・米国によるイランの原子力施設への攻撃は記憶も新しい。またウクライナ戦争ではエネルギーインフラとしての原発が攻撃対象となっている。ウクライナは高い原発依存度のため、攻撃ドローンや巡航ミサイルが飛び交う中でも稼働を余儀なくされている。
日本には原発が各地にあり、イランで問題になったウラン濃縮施設、北朝鮮で問題になっている再処理施設が六ヶ所村にある。「ピストルの弾をピストルで撃ち落とす」と言われるPAC―3を配備する車力基地から六ヶ所村まで140㎞、同様に八雲基地から泊原発までは110㎞。もし北朝鮮から弾道ミサイルが発射されれば10分程度で沖縄に到達すると言われ、射程距離が35㎞程度のPAC―3ではそれらの施設を防衛するのは不可能だ。
過大な北海道電力の電力需要
電力広域的運営推進機関が、北海道内の電力需要は10年で今より1割余り伸びると予測しているが、予測の根拠となるデータは北電の子会社がつくっており、実績値より高めの見積もりをしている。実際は07年度をピークに、人口減少や省エネの定着で減少傾向が続き、ラピダスの工場やデータセンターが稼働しても、広域機関の予測ほど電力需要が増えない可能性がある。
日本の再エネ設備は現時点では7000万kW以上もあり、晴天時にはピーク電力の半分を供給でき、昼間の市場価格は多くの電力エリアで「0円」となっている。
実際、九州電力は23年に8日間の出力制限をし、原発5基分を無駄にしながら川内原発、玄海原発を再稼働するという愚挙を行っている。
北電は2035年に泊全基の再稼働を見込んでいる。そうなれば前記のように出力制限が頻発するようになるだろう。また原発の電源構成に占める割合が50%になり、地震などの発災時に原発が停止した場合、北海道全域がブラックアウトになるリスクも考えられる。
景観や生態系へのインパクトが少ない建物屋根上を中心にした太陽光発電、海域の先行利用者との調整をした上での洋上風力発電など、適切な再エネ導入が進めば、石炭・石油火力の停止、原発なしでも電力需給はまかなえる。
安全であれば稼働していいのか
原発は正常運転でも極めて危険な核のゴミを生み出し続ける。また政府公認でこれまでも汚染水を海洋に投棄しているのであり、放射性物質の環境への放出は不可避である。
ウラン鉱山では、掘り出されるウラン鉱石にともなう放射能を有する大量のウラン鉱滓が放置され、近隣住民の健康を蝕んでいる。
また再処理を含む核燃料サイクル技術は、核兵器製造に直結する技術である。日本は「準核兵器保有国」として自立するという「核ナショナリズム」に固執しているのである。さらなる反核・反原発の運動が重要である。
持続可能な発展の三原則
環境経済学者のハーマン・デイリーが提唱した持続可能な発展にかかる3つの原則。①再生可能資源は再生可能なペースで使用されなければならない。②再生不可能な資源は、それが再生可能資源で代替できるペースで使用されなければならない。③人間が排出する廃棄物は自然が浄化し、無害化できる範囲で排出しなければならない。自然資本における再生可能資源をベースに社会経済を運営し、自然生態系の基本に沿った考え方である。
気候変動に伴う甚大な気象災害が頻繁に起こるようになり、2023年にはすでに産業化以前から1・48℃の上昇が報告され、パリ協定が掲げる1・5℃以内の目標の達成が危機的である。
このような状況に、日本政府が取る政策は、パリ協定が掲げる目標に整合性がないと国内外から批判されているにもかかわらず、現在の2030年温室効果ガス排出削減目標(2013年比46%削減)の引き上げをしようとしていない。
気候変動、温室効果ガス削減を口実に原発事故のリスクを増大させ、国民に負担を強いる日本政府の政策に反対し、核のない社会に向けて闘わなければならない。 (北山 進)
【参考文献】山本義隆『原子・原子核・原子力ー私が講義で伝えたかったこと』・『核燃料サイクルという迷宮ー核ナショナリズムがもたらしたもの』/西岡修三・藤村コノヱ・明日香壽川・桃井貴子『まっとうな気候政策へ』

泊原発の再稼働をやめろと道庁へ抗議(25年12.10)
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