静岡:袴田巌さんを犯人視する畝本検事総長談話に対する裁判

10.13静岡地裁第4回口頭弁論開かる

 【静岡】10月13日、再審裁判で無罪が確定した袴田巌さんが畝本検事総長(8月12日退任)談話で犯人視され、名誉を棄損されたとして国に550万円の損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が静岡地裁(平山馨裁判長)であった。

悪質な前総長の発言

 2024年9月26日に静岡地裁での再審裁判(みそ製造会社一家4人殺人・放火事件=袴田事件)で無罪判決が言い渡された袴田巌さんに対して、控訴期限の2日前である10月8日、畝本直美検事総長(当時)が控訴断念に際して談話を公表した。
 犯行着衣とされてきた「5点の衣類」について捜査機関の捏造を認定したことに不満を表明し、判決理由は多くの問題を含むとして「到底承服できないものであり控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である」と述べ、「袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況におかれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました」と述べたことに対する損害賠償請求事件である。

欧米では当たり前のルール

 袴田弁護団は、損害賠償請求の訴因を憲法39条、99条から導き出される無罪判決尊重義務(公務員全体に課せられる義務)に反していると主張してきたが、今回の公判において刑事訴訟法の専門家である成城大学の指宿(いぶすき)信(まこと)教授が作成した「無罪判決否定禁止ルール」に基づく書面や「検察の理念」など3点の書面を提出した。
 口頭弁論後の報告会で弁護団長の小川秀世弁護団長は「無罪判決否定禁止ルールの違反は、無罪判決を得た個人が平穏に社会生活を営む権利を侵害している」「従来の名誉棄損の枠組みに加え、訴訟のあらたな請求原因として主張した」とし、特に検察官に視点を絞った主張であるとも述べた。
 「無罪判決否定禁止ルール」とは、裁判で無罪が確定した後に検察官などの国家機関が判決内容を否定したり、被告人を犯人扱いしたりするような言動をしてはならないという法的ルールで欧米では定着した考えだ。次回の口頭弁論は12月24日。国側が袴田さん側の主張への反論を予定している。      (S)

「無罪判決否定禁止ルール違反」と批判する弁護団(10.13)

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