国際主義労働者全国協議会(NCIW)第27回総会コミュニケ

広範な民衆の共同による安倍政権打倒を突破口に平等・民衆主権の社会を引き寄せよう

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 国際主義労働者全国評議会(NCIW)は一〇月下旬第二七回総会を開催した。今総会は後述の二つの論点を軸に準備されたが、討論は、特に安倍政権との闘いを中心に置いたこの一年の闘いを背景に、極めて活発なものとなった。
 討論に向けた冒頭提起の第一点は、いわゆる「地政学的カオス」に関連する時代認識と、そこで要請される反資本主義的危機突破戦略を民衆的闘争として具体的にどう進めるのか、という課題。そこではまず、労働者民衆の貧困化と社会的分断、世界的統合枠組みの混沌化と民衆へのその犠牲押しつけ、気候変動を代表とする地球生態系破壊、を中心に内的に相互に相乗しつつ速度を増して進行する諸々の世界的危機に対して、労働者民衆の抵抗がさまざまな新しい運動形態の創出を含んでとどまることなく続いていること、その中で支配階級の伝統的勢力が政治的体力を消耗させつつ旧来のブルジョア民主主義の統治システム自体が深い腐食過程に入っていること、その総体に対して反資本主義の課題設定が労働者民衆側からの危機突破戦略として切実に求められていること、があらためて確認された。その上で、世界の同志たちが上述の抵抗の重要な一翼として現実にぶつかっている問題に踏まえて、民主主義の再生・深化と反資本主義の諸方策を一体化させた過渡的闘争の具体化、および闘争における可能な限り幅広い共同と反資本主義の政治結集形成の適切な関係、を現実に即してどう定めるかが実践的な探求課題になっている、と提起された。
 同時に、前述した諸々の世界的危機が安倍政権登場とその政策体系の根源を深く規定している関係を前提に、先の探求は、安倍打倒とその後の闘争に充分通底する性格を持つことも指摘された。
 この論点に関する討論は、EUと中国をめぐる問題に集中した。EUについては、特に金融支配との闘いでギリシャ民衆がぶつかった問題に即して経験的に得たものを過渡的闘争の現代化にどう生かすか、との観点から、欧州の同志たちの討論を注意深く研究する必要があることが強調された。
 中国に関する討論はこの間継続されているが、いわゆる「中国脅威論」に正面から応える必要も含めて、さまざまな見方がより踏み込んで討論された。そして、中国共産党の官僚体制を中国史における官僚制との関係も含めてどう理解するか、中国経済の現状と「一帯一路」、中国民衆の「豊かさ」への希求がもたらす圧力とその矛盾など、アジア規模での新たな民衆世界を展望する観点から今後検討を深めるべき課題を確認した。なお、中国に関わる帝国主義規定の論争に関して、そこで帝国主義を問題にする場合の概念に共通性と連続性が果たしてあるのか、との疑念も提起された。

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冒頭提起の二点目は安倍政権打倒を実際にどう実現するかの課題。この一年安倍政権に立ち向かう労働者民衆の共同は、質量共に大きく飛躍した。提起はまずこの事実と意義を、それをもっとも進んだ形で先導している沖縄民衆の闘いの重要な位置を含めてはっきり確認した上で、立憲主義と社会の救出のために一日も早いこの政権の打倒が必須であることが広く露呈する局面に入っていることを指摘しつつ、安倍打倒に収斂する闘争実現に向け先の共同をさらに徹底して追求する任務を率先して引き受けることを呼びかけた。
そしてその観点から、日本共産党が提起した「国民連合政府」構想を正面から受けとめ、政治共同を草の根から主体的につくり出す民衆的議論の発展に結び付ける糧として積極的に生かすことが必要、と提起された。

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討論はまず、この一年のさまざまに異なった具体的な経験を点検しつつ、冒頭提起で強調された共同発展の意義を実感を持って共有し、特にその動きが三・一一以降から継続し蓄積されたものとしてある種の不可逆性を宿していること、したがって一過性との政権側の期待を水泡に終わらせる条件は充分にあることを確認した。その上で、安倍政権と労働者民衆の間で進む乖離を政権側に解消させず共同に厚みを与えるものとして、現実に進んでいる貧困化や非正規化に対置する闘争の必要性を確認し、その重要な要素として最賃闘争をどう運動化するか、春闘からメーデー、五・三集会、さらに参院選を一連のものとしてどう組織するか、などが活発に討論された。
さらに選挙に向けて、最も広い枠組みとして落選運動を軸とした「選挙に行こう」運動の組織化、戦争法案支持勢力に三分の二を絶対に取らせない取り組み、さらにわれわれが積極的に支持する候補者の当選をめざす運動、の三段重ねの態勢を具体的に追求する必要が強調された。特に「選挙に行こう」運動に関しては、投票率引き下げという自・公の戦略を突き崩す点で、またリタイヤし選挙にも行かなくなっている元労組員の再組織化という点でも、挑戦すべき課題として、いくつかのアイデアを含め検討された。この中で共産党の提起についても前向きに生かすことを共有点に、政権構想それ自体は、政権打倒の政治共闘をめざす民衆的議論の中で検討を可能とする柔軟さを求めるべきと確認した。

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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