「ソウルの春」を観た
SM
「ソウルの春」のDVDを観た。「ソウルの春」は、2023年製作の韓国映画で監督はキム・ソンス、原題は서울의 봄で、英題は12.12:The Dayだ。
1979年の10月26日、韓国大統領が側近に暗殺される。1979年は3月28日にアメリカのスリーマイル島原子力発電所で放射能もれ事故がおき、12月24日にソビエト連邦によるアフガニスタン侵攻がおきた年だ。暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、同年12月12日にクーデターを決行する。無欲な軍人の首都警備司令官イ・テシン(「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン)は、チョン・ドゥグァンの暴走を阻止するためにたちあがる。映画は反乱軍と鎮圧軍の攻防をえがく。映画は史実がもとになっているが、いちぶフィクションをまじえている。イ・テシンは張泰玩(チャン・テワン)が、チョン・ドゥグァンは全斗煥(チョン・ドゥファン)がモデルだ。「ウィキペディア フリー百科事典」によれば、「ソウルの春」とは、1979年10月26日・大韓民国(韓国)の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺された10・26事件の直後から翌1980年5月17日の非常戒厳令拡大措置までの民主化ムードがただよった政治的過度期をしめし、チェコスロバキアの「プラハの春」に由来する言葉である。ただし、邦題の問題かどうかわからないが、映画の中では「ソウルの春」じたいは、ほとんどえがかれていない。
私はこの映画を観て、チョン・ドゥグァンの暴走をとめようとするイ・テシンにはげしく共感をおぼえた。軍隊はおそろしい。特権階級のための軍隊、資本主義の軍隊は解体されるべきだ。そして、徹底的に民主的な軍隊、「人民の軍隊」がつくられるべきだ。4万人以上の大多数が民間人だとおもわれる人びとを殺りくするイスラエルの軍隊をみても、2000万人以上のアジア太平洋の人びとを殺りくした天皇(制)とむすびついた日本の軍隊をみても、そう思う。しかし、人民を弾圧・殺りくする資本主義・中国の「人民解放軍」をみても、内ゲバ殺人をくりかえす内ゲバ殺人集団の「革命軍」をみても、「人民の軍隊」とはいいがたい。「人民の軍隊」など存在しうるのだろうか。それとも、軍隊は核兵器と同じで絶対悪なのだろうか。そんなことも私は考えざるをえなかった。なお、私は映画の中でイ・テシンがつれあいに電話をかけるシーンに共感をおぼえたが、あとから考えてフェミニストなら女性のえがき方を批判するかもしれないと思った。人間の解放は、女性の解放ぬきにはありえない。そう思う。
(2024年12月31日)

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