参議院選挙・大阪の選択 6・27市民のつどい
カジノ・万博・スーパーシティを大阪選挙区での争点に
【大阪】6月27日、大阪国労会館で「参議院選挙・大阪の選択 カジノ・万博・スーパーシティ 6・27市民のつどい」(主催:市民のための政治を求める大阪市民連合)が開かれ、100名近くの市民が参加した。
石田冨美枝さん(フューチャーおおさか)の司会で始まった集会では、カジノ・万博・スーパーシティなどさまざまな視点からの問題提起のほかに、万博パピリオンの工事費未払い問題で被害を受けた業者の方からの訴えがあり、参加者から大きな拍手を受けた。
集会冒頭に、大阪市民連合の梅田章二代表が「アンケートに対して多くの予定候補者から回答が寄せられた。市民が政治との関わり合いを求めて考え始めていることが総選挙での与党過半数割れを作り出した。参院選で新しい政治状況を作りたい」と主催者あいさつをおこなった。
万博・カジノ・夢洲開発で平然と嘘をつく維新の会
問題提起では、まず桜田照雄さん(阪南大学教授)が「参議院選『予定候補者』アンケートから考える」と題して、大阪選挙区での予定候補者や比例区で候補者を出している政党からのアンケート回答について分析した結果を報告した。
アンケートは「南海トラフ大地震と『夢洲』での『万博』・『IR・カジノ』の安全性」「大阪スマートシティ計画」「大阪・関西万博」「IRカジノ誘致」など6項目にわたり、自民党・公明党・参政党を除く大阪選挙区の予定候補者と社民党・新社会党から回答が得られた。桜田さんは「夢洲についてよく理解していない候補者・政党がある一方で、万博・カジノを推進する維新の会は、南海トラフ地震に対する夢洲の安全性やカジノと経済発展の関係などについて平然と嘘をついて、自らの主張を正当化している」と述べ、「私たちが考えているほど、カジノや夢洲のひどい実態が有権者に伝わっていない。参院選の中では、これを伝えるための宣伝戦が必要」と締めくくった。
次に、選挙運動で訴える課題について、4つの視点からの問題提起があった。
西谷文和さん(フリージャーナリスト)は、「戦争をすれば、戦争支持者が増えるという現実がある。アルジャジーラをガザから追い出し、SNSを通じてフェイクを流すことで、ネタニヤフの支持者が増えた。斉藤知事を当選させたのも同じ構造」と指摘した上で、万博の工事費未払い問題について取材した内容を話した。
「アンゴラ館の未払い問題で、吉村知事に記者会見で質問すると『万博協会として寄り添って、契約責任を果たすように働きかける』との回答だった。この問題の背景にあるのは、ゼネコンが逃げた後に、吉村知事らが関西の中小企業に工事のお願いをして回ったことがある。ルーマニア館、セルビア館、ドイツ館はすべてフランスの大企業GLの日本子会社が元請けで、何かと難癖をつけて工事代金を支払っていない。維新政治がゆるゆるで、万博協会のガバナンスが効いていないから、中抜きしようという業者が群がってきて、6か月のイベントが終わったら逃げようとしている。このままでは、関西で頑張っている中小企業が潰れて、フランス、スペインの大企業に税金を持ち逃げされていくことになる」。
27年の大阪市長・知事選に向けて参院選で大きな運動を
このあと、特別アピールとして、「大阪・関西万博工事代金未払い問題被害者の会」からの訴えがあった。「大阪府に立て替え払いや融資の要望書を出したが、融資については制度を紹介するだけで、寄り添った対応は何もない。私たちの発信に対して、交野市長が応えてくれた。他の自治体にも働きかけて、救済措置を訴えていきたい。みなさんには行政や議員への発信をお願いしたい」との発言に、会場からは大きな拍手が送られた。
続いて、藤永のぶよさん(おおさか市民ネットワーク代表)が「『夢洲』の諸問題」、いしだはじめさん(フューチャーおおさか)が「国家戦略特区スーパーシティの懸念と課題」、山川義保さん(夢洲カジノを止める大阪府民の会事務局長)が「政府・行政との交渉から見えたもの」について、それぞれ問題提起をおこなった。
藤永さんは「万博の衛生問題はゴミ処分場だった夢洲ゆえのもので、メタンガス噴出やユスリカ大量発生、有毒な排水で汚染された『つながりの海』など危険が一杯だ。南海トラフ地震への対応も不十分」と夢洲の問題点を指摘した。
いしださんは、万博を目玉として進められている国家戦略特区としてのスーパーシティ構想について、「規制緩和と補助金を目当てにしたもの。自治体の持っている交通、物流、金融、行政、医療。介護、教育、エネルギー、水道、環境、防犯安全などのデータが大企業やIT企業の手に渡り、データの一元管理が進むという危険がある。また、データ処理に膨大な電力が使われるなど、一体誰のためのスーパーシティなのか、を問いかけなければならない」とその危険性を訴えた。
山川さんは「大阪市、万博協会、大阪広域環境施設組合、消防局、教育委員会などと交渉を重ねてきた。しかし、大阪市は市長との面談を拒否している。また、メタンガス爆発事故などについて、大阪広域環境施設組合や消防局は万博協会への指導をしていないことが明らかになった。教育委員会は、遠足で万博に行かない子どもたちに対する学習指導は、保護者から求められたらおこなうとの回答で、責任を放棄している」と問題点を指摘し、「2027年の大阪市長・知事選に向けて、参院選で市民の大きな運動が必要」と呼びかけた。
参加者からは、各地域や個人によるさまざまな取り組みを紹介する発言が相次いだ。最後に、集会事務局の馬場徳夫さん(どないする大阪の未来ネット)から、「立候補予定者や各政党のアンケート回答内容を選挙戦の中で活用する」「カジノ・万博・夢洲開発などの問題点をSNSも活用して、市民の手でアピールする」「地域で横断幕を掲げるなどして可能な限りスタンディング・アピールをおこなっていく」との行動提起があり、実りの多かった集会を閉会した。(O)

参院選で新しい政治をつくろう(6.27)
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