6・16不当判決糾弾

横堀農業研修センターの破壊を許さない 抗議デモ

空港会社の主張を追認、歴史偽造に加担する千葉地裁

 6月29日、横堀農業研修センター裁判を支える会は、三里塚・横堀農業研修センターで「横堀農業研修センター裁判判決報告横堀現地集会・デモ」を行い、36人が参加した。成田国際空港会社は、横堀農業研修センター破壊に向けて千葉地裁に「所有権確認、持分全部移転登記手続き、共有分割、建物等収去土地明渡請求事件」を提訴した(23年8月2日)。千葉地裁は、25年6月16日、空港会社の主張をことごとく認める不当判決を言い渡した。建物等収去土地明渡請求に向けた仮執行宣言については判決が確定するまでは認めなかった。集会は、不当判決に対する評価・認識を共有化し、今後の控訴審闘争の取り組みに向けて取り組まれた。

 集会は、高橋悦雄さんの「成田空港粉砕」の歌から始まった。
 司会の山崎宏さん(事務局)は、「6・16不当判決を糾弾する!控訴し、東京高裁での取り組みになる。判決を分析し、徹底した批判を準備し、控訴審闘争に勝利していこう。今日の集会は、そのための第一歩だ」と訴えた。
 続いて横堀農業研修センター裁判を支える会事務局の仲間から次々と批判が行われた。

土地収用法も全面的価格賠償も土地強奪で一致

 山下一夫さん(事務局)は、以下の点について批判した。
 ①地裁は、シンポ・円卓会議での「あらゆる意味での強制的手段はとらない」の合意内容について「民事訴訟手続き」による土地強奪は含まれないなどという空港会社のねじまげた解釈を追認した。空港会社の提訴は「信義則違反」であり、社会的に見て不当な方法で権利を行使しているから権利濫用(民法1条3項)であることは明白だ。
 ②全面的価格賠償の分割共有の強制は、横堀農業研修センターを軸にして長年にわたって積み上げてきた利用者たちの共同施設の破壊である。被告や利用者の陳述書は個人の自由、表現の自由、自然環境の保護などを明らかにしてきた。これらの侵害は憲法13条違反(個人の尊重と幸福追求権)である。さらに共有地、横堀農業研修センターと各施設は、利用者たちの財産だ。財産権を保障した憲法29条違反である。
 ③地裁は、わざわざ「協議がつくされたものではない」と認めていながら、一挙に飛躍して「紛争解決を期待できる状況にはほど遠いといわざるを得ない」などと断定する。なぜ「紛争解決を期待できる状況にはほど遠い」と決めつけるのか。「客観的にみて」という認定のうえで、次のステップはもっと「協議」せよというのが結論ではないか。
 「諸事情をしんしゃくしても、本件訴えが信義則に反するものとは認められない」とまで断定している。空港会社は、事前段階において共有地に関して一回も交渉テーブルを設定せず、被告たちとの対面交渉も行っていない。つまり、これらを「諸事情をしんしゃく」したならば、あらためて交渉、協議の場を設定することが必要ではないか。
 こういったプロセスを通り越して、空港会社の(被告らが)「何らの返事もなかったため、本件訴訟を提起するに至ったものである」と述べているが、しかも返信期間は2週間でしかない。この時間設定はあまりにも乱暴である。つまり、最初から司法を使った全面的価格賠償方式を使って強制的に権利取得する手法を選択していたのである。これは権利濫用であり、「共有者間の実質的公平を害」していることは明らかだ。
 ④空港会社のHPによれば「新しい成田空港」構想(新旅客ターミナルと新貨物地区)では第3滑走路からの誘導路はへの字には曲がらず、B滑走路方向へ一直線に伸びている想定図を掲載していた。誘導路建設構想の変遷は、設計がいまだに流動的であり、緊急性がないことを証明している。つまり、設計変更が可能だということだ。
 さらに空港会社のHPに「ワンターミナル構想」「新旅客ターミナルと新貨物地区の配置イメージ」には、木の根ペンション、横堀鉄塔と案山子亭が抹殺されている。もちろん地権者の加瀬勉さんのところには、「話し合い」の手紙、訪問はしていない。木の根ペンション、横堀鉄塔と案山子亭があるかぎり、「ワンターミナル構想」「新旅客ターミナルと新貨物地区」構想は進まない。つまり、「不合理な計画」であることを棚にあげて強引に押し進めているにすぎない。
 そのうえで山下さんは、「控訴審では、判決のこれら不当な認定、決めつけの弱点を浮き彫りにし、粉砕していかなければならない」と訴えた。

住民が参加できない4者協議会を批判

 鈴村多賀志さん(事務局)は「判決は、シンポ・円卓会議の結論である滑走路建設で『あらゆる意味で強制的手段をとらない』と最初は書いている。それが途中から『あらゆる意味で』が消えている。こういう形でシンポ円卓会議の結果を否定していく手法がとられている。裁判で空港会社は被告と話をしたのかの立証を求めると、空港会社はホームページの共生の箇所を丸ごと出してきて、関係ない箇所が多く証拠採用されなかった」と指摘した。
 さらに「被告は、成田の4者協議会(国・県・周辺自治体・空港会社)に住民は参加できないと反論した。共生について証拠採用されなかったこともあり、4者協議会の中身についての審理は一審では行われなかった。判決では、空港拡張計画について何の審理もされないまま、4者協議会で合意されているからとなってしまった。これらが控訴審の課題だ」と強調した。

三里塚闘争連帯労農合宿所の歴史を守り抜く

 辻和夫さん(事務局)は「ここは三里塚闘争に連帯する会と廃港要求宣言の会が労農合宿所を作りたいと反対同盟に申し入れて、名称に三里塚闘争連帯を入れるようにということで、三里塚闘争連帯労農合宿所になった。全国のいろんな人とつながろうと合宿所は設立された。全国から援農のために合宿所に来て、海外からも人々が訪れた。その後も、わくわくツアー・田んぼくらぶなどいろんな人が使ってきた」と発言。
 また、「空港会社は党派の集まりで、反対運動のために利用しているにすぎない、一坪共有地などどうでもいいという扱い。だが、ここにはいろんな人の思いがこもっていて、それを忘れさせないために裁判を闘っていきたい」と表明した。

歴史修正主義に抗して、控訴審闘争へ

 平野靖識さん(三里塚歴史考証室)は「判決は腹立たしく残念だった。円卓会議での隅谷調査団最終所見の『今後あらゆる意味での強制的手段はとらない』は、今後は住民とは話し合いでという前提があって出された。しかし、強制的手段とは土地収用法の行政代執行だけだという矮小化が市東裁判やこの裁判で行われてきた。このような歴史修正主義に対して、真実はこうだと言い続けていく必要がある」と発言。
 さらに、「4者協議会が空港のつくり方について何でも決めている。歴史考証室としては4者協議会とは何かを考えて、批判していきたい。あらゆる意味での強制的手段をとらないという約束は、事業認定20年で収用された地主の買受権がなくなるのだから、89年で事業認定は失効するはずという反対同盟の追及、論戦があって、事業認定取下げ、強制的手段はとらないとなった。話合いで解決と提案したのは旧運輸省だ」。
 「円卓会議では空港建設計画の地域への公開が提起された。だが4者協は閉じられていて民主的でない。シンポ・円卓会議の結論は闘いと犠牲と論戦で民衆が勝ち取った成果だ。研修センターは誘導路上にあるから必要だという論理は、共生の考え方とは相容れないと主張していく必要がある」と述べた。
 集会終了後、センター前から横堀公民館跡までデモを行い、「不当判決弾劾!第3滑走路建設反対!」のシュプレヒコールを横堀地区一帯に響かせた。デモ後、横堀の案山子亭、横堀鉄塔に移動し、交流を深めた。 (Y)

「不当判決を許さず、控訴審闘争に勝利するぞ」(6.29横堀デモ)

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