声明「皇族数確保策」も「皇位継承策」もいらない
国家による「慰霊・追悼」を許すな!
8・15反「靖国」行動実行委員会
政府は今年、202
1年12月に提出された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対する付帯決議」に関する有識者会議報告をもとに、「皇族数確保」のための政府案を出した。
有識者会議報告では「皇族数確保」策として以下の3案が提出されていた。
①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
②皇族に認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること
なお、①については、婚姻後の女性皇族の配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられる、とある。
政府は以上の①②を政府案とし、③は①②で解決しない場合の予備案として残すこととしている。今年4月、自民党がこの政府2案を受け入れ、その後各派が見解を出し、議論が始まった。
当然ながら、女性皇族の婚姻後も皇族の身分を保持する案に付帯された、配偶者や子への差別的な扱いや、1947年に皇統譜から抜けて「国民」身分となっている旧宮家の男系男子を皇族に復帰させるという、「門地による差別」以外の何ものでもない案には批判も多く、準備されていた与野党協議は2回目で行き詰まった。そして衆参両院正副議長による意見調整も失敗し、現在に至っている。
政府案のもととなる報告を出した有識者会議発足の目的は、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について検討する、というものであり、この報告自体が目的から大きくずれたものになっていた。有識者会議は皇位継承問題は議論しなくてよい、との判断であったのだ。
私たちは、「安定的な皇位継承の確保」や女性宮家創設を望むわけではまったくないが、天皇の言葉一つで進められたデタラメな法律「天皇退位特例法」の制定やその場しのぎの「付帯決議」、そしてその決議を自ら反故にし、さらに到底納得できない案を提示してくる政府は、厳しく批判されるべきである。
また、議論の過程には「静謐な環境」が必要であると繰り返し伝えくるが、議論が割れたり反対意見が出る事態を外に見せないよう秘密裏に決めてしまおうという話である。これは法律の改正あるいは新しい法案づくりの過程であって、隠蔽どころか、広く開かれた議会の下で議論されるべきである。しかも政府案の詳細について、具体的なことは何も知らされないままであり、男系男子主義、血の論理に凝り固まった政府案自体の問題も大きく、批判されるべきことは多い。
しかし、そもそも今、このような課題に時間とエネルギーと金を使えるような政治情勢ではない。政府が直面する逼迫した課題は山積している。破綻した福祉行政や教育行政、悲惨な格差・貧困社会、自然災害と人的災害に苦しむ人々、多くの人々が訴える反戦・反基地・反軍拡とその声を無視し続ける政府、敗戦から現在まで放置し続けてきた過去の植民地主義・侵略戦争の被害者への謝罪と補償等々、政府が優先的に取り組まなくてはならない課題は数知れない。皇族確保や皇位継承問題よりも優先されるべき課題は多すぎるほどあるのだ。それらよりも優先される天皇制など、この社会にとって有害無益でしかない。
私たちには皇族数確保も皇位継承者もいらない。天皇制の廃止こそを求め、これからも声を上げ続けていく。
2024年7月31日
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