3.26名誉棄損で損害賠償と謝罪広告の掲載求める裁判始まる
袴田巌さんを犯人視する畝本検事総長談話
【静岡】3月26日、再審裁判で無罪が確定した袴田巌さんが畝本検事総長談話で犯人視され、名誉を棄損されたとして国に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が静岡地裁(平山馨裁判長)であった。
2024年9月26日に静岡地裁での再審裁判(みそ製造会社一家4人殺人・放火事件=袴田事件)で無罪判決が言い渡された袴田巌さんに対して控訴期限の2日前である10月8日、畝本直美検事総長が控訴断念に際して公表した談話において犯行着衣とされてきた「5点の衣類」について無罪判決が捜査機関の捏造を認定したことに不満を表明し、判決理由は多くの問題を含むとして「到底承服できないものであり控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である」と述べ、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況におかれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りましたと述べたことに対する損害賠償請求事件である。
不当な国の答弁書
原告訴訟代理人である小川秀世弁護士は、提出された国の答弁書に反論する意見書を提出しこれを法廷で朗読した。国の答弁書は次のように述べる。
1.検事総長談話では袴田さんが犯人であるなどと一言も言っていない。
2.談話は検察官が無罪判決に対して控訴しなかった理由を説明したにすぎない。
したがって袴田さんを犯人であると言っていると理解するのはおかしいし、重要な目的のために必要だったのだから、何も名誉毀損とはならないので、原告の請求の棄却を求めた。
実に不思議な主張だ。無罪判決は、本来「控訴して上級審の判断を仰ぐべき」判決だったと述べたことは、どう考えても袴田さんが犯人と考えていることを意味する。2の主張はさらにおかしい。「袴田が犯人」だが、長期間にわたって不安定な地位に置かれてきたことに思いを致し、熟慮を重ねた結果、控訴することは相当ではないと判断した。
驚くべき主張だ。家族4人が残忍な方法で殺害され、家に放火された事件である。事件がいくら長期に渡ったとしても控訴すべき事件を控訴しないでよいなどという判断が許されるはずがない。小川秀世弁護士は意見陳述の中で再審無罪判決に対して控訴しないと決めたならば「自分たちが間違っていたことを認め、謝罪して終わらせるべきだった」とも述べた。
無罪確定だけで終わらせてはなない
口頭弁論終了後、弁護士会館で報告会が持たれた。報告会の中で弁護団は公共訴訟特化型のウエッブプラットホーム「CALL4(コールフォー)」を利用し、活動への寄付を募ることを明らかにした。今回の損賠訴訟のほかに冤罪の原因や国の責任を問う訴訟も提起している。
弁護団の間光洋弁護士は無罪確定だけで終わらせてはいけない。繰り返させないために、この問題や裁判の意義を皆さんに知ってもらうことが一番の趣旨だと述べた。オンラインで参加した袴田さんの姉のひで子さんも協力を訴えた。寄せられた寄付金は訴訟活動に活用しサイトで訴訟の進捗状況を伝え、訴訟資料も随時共有する予定だという。
次回口頭弁論は6月11日午前11時から
(S)

畝本直美検事総長談話を許さない(3.26)
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