昨年を上回る最賃引き上げを!

地域間格差の是正を!
ランク制を廃止し、全国一律制の実施へ

 【宮城】昨年、中央審議会の「目安」議論は緊迫し、それぞれの地域審議に引き継がれていった。この最賃では生活できないという労働者の要求と、地域間格差は不当だという「地方の声」があいまって、最賃審議は政治の大きなテーマになっていった。従来の「目安」パターンはもはや通用せず、不十分ではあれ最賃改定の大きな転機となった。とくに「低位ランク」の県で目安からの大幅増額が強く主張されたのは特筆されるべきことだった。
 その後、最賃改定に大きな影響を与えかねない動きが表面化した。新政権は前政権の引き上げ方針の変更を示唆した。また今年度の最賃審議を前にして中央審議会は「論点と考え方の整理」を承認、審議への抑制効果が危惧されている。逆流を許さず、昨年を上回る引き上げの実現と地域間格差の是正を求めよう。

共同アクションがアピール

 高市首相は昨秋の予算委員会で「いつまでにいくらということを申し上げるわけにはいかない」と述べた。首相がかかげる成長戦略のなかで最低賃金がどのような位置を占めるのか?この答弁を境に、新政権の最賃方針に注目が集まった。
 けっきょく最賃審議が開始されるタイミングで、引き上げ目標の先送りが明らかにされた。先送りの根拠は示されていない。首相が何よりこだわったのは、前政権の方針から転換することだったのだろう。
 このような動きに対して26最賃「共同アクション」は「流れを断ち切るな」と訴えた。
 「2月の総選挙で「圧勝」した高市首相は、最低賃金の流れを変えようとしています。石破前政権は「20年代までに全国平均で1500円」の目標を掲げましたが、高市首相はその目標の達成時期を事実上「撤回」し、「30年代前半」を日本成長戦略会議の報告に書き入れようとしています。もともと低い最低賃金の上に、この3年間、最賃近傍雇用労働者の生活を物価上昇が直撃しています。最低賃金は、法定三要素のデータの中で、生計費が重視されなければならないと考えます。26年度の改定で最低賃金の大幅な引き上げの流れを断ち切ってはならないことを私たちは声を大にして訴えます。」(「26最低賃金上げろ!共同アクション」7・2アピールより)
 共同アクションの一員である全労協は7月1日、「このままでは「地方」が、地域社会が切り捨てられる」と最賃闘争への結集を呼びかけた。
 岸田政権が〈30年代半ばに全国平均1500円〉を掲げ、石破前首相が〈20年代中〉と目標を前倒しした。「私たちが求める〈いますぐ全国一律1500円以上〉とは異なるが、最低賃金大幅引き上げの必要性を認めたものでもあった。私たちの取り組みがこうした政府の姿勢を引き出してきた」「高市政権は最賃引き上げの目標設定を否定した。このままでは引き上げのペースは減速し、物価高騰から置き去りにされてしまう。大幅引き上げ実現で低賃金労働を一掃させよう!」

「論点と整理」に制約されない要求を 

 目安制度全員協議会による「論点と考え方の整理」が6月23日に公表され、大きく報道された。「論点と整理」に法的拘束力はないが、今年度最賃審議の中心テーマになるだろうという扱いだった。〈地域間競争〉と〈実態とあわない引き上げ額〉が鎮静化するか、是正されるか、という審議の見通しを論じた記事もあった。
 それが「論点整理」なのかと疑問が発せられ、マスコミ論調への憤りも広がった。低位ランクに位置づけられてきた地域が求めたのは〈地域の実態と乖離した引き上げ〉ではない。秋田をはじめ各地に広がった〈改定の遅延〉こそが地域社会と労働者の生活に大きな不安を与えた。
 一方、昨年までの審議状況は「リセット」しよう、「冷静な審議」に戻そうという声が地方審議会のなかにあるとする報道もある。政権がほくそ笑むような状況になりかねない。
 全労協は次のように批判した。〈過度な競争意識〉は「全国一律制を取らない現行制度の矛盾の現れだ」「(遅延せずに)10月発効を求めるなら額については我慢しろと言っているに等しい。つまり交渉材料だ」。
 共同アクション・アピールは、「昨年度の中央最低賃金審議会はCランクを上位ランクより高く答申し、地域間格差の解消に一歩踏み出しました。抜本的な格差解消はランク制を廃止し、全国一律制の実施ですが、中央最低賃金審議会がさらに踏み込んだ本格的なメッセージを出すことを求めます」と表明、最賃引き上げは各地の審議会への要請や陳述の努力によって勝ちとってきたものだと強調した(※参考)。
 宮城全労協も全国の動きと連携、7月5日、宮城労働局に提出した要請書のなかで〈論点と整理〉に言及した。
 〈改定の遅延〉は事実上の「賃下げ」を意味する。「発効日」を遅らせることが最賃引上げのブレーキとなるような事態は認められない。同時に、事業者への政府支援策が検証されねばならない。規模やスピード感において納得のいくものなのか。速やかな改定のために、システムなど労使双方にとって使い勝手の良いものなのか。審議会は支援策の実効性を問い、政府に要求すべきだ。
 中央審議会の「目安小委員会」は7月17日に続いて23日に予定されている。宮城では27日に第二回審議会が設定されているなど、各地で中央審議会の「目安決定」を月内に想定した動きが進んでいる。
(仙台U・J/7・18記)

(※参考)「共同アクション」7・2アピールより抜粋
 「この間の中央目安額を上回る最低賃金の引き上げは、「近隣県との競争」や「最下位回避の意識」からだけではなく、各地における意見書の提出、要請行動、最賃近傍雇用労働者や外国人労働者などの意見陳述等、懸命なとりくみによって勝ちとられました。「失われた30年」は非正規雇用4割の雇用社会を生み出しました。労働組合の有無や企業規模の大小、正規・非正規の雇用形態、年齢、ジェンダー、そして国籍等の違いから差別が広がり、賃金格差が拡大しました。「法定最賃」としての役割と重要性はますます高まっています。私たちは労働運動の潮流の枠を乗り越えて、
最低賃金改定を全力でとりくんでいきます。」
 「最低賃金全国一律大幅引き上げ実現!共同アクション」(全労連・国民春闘共闘委員会、全労協・26けんり春闘、最低賃金キャンペーン委員会)

(※)「最賃大幅引き上げ全国キャンペーン」ホームページを参照

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