3.1「『日の丸・君が代』の強制と法制化に反対する神奈川の会」の集会とデモに参加して

 3月1日、「『日の丸・君が代』の強制をはね返す!神奈川集会とデモ」(神奈川地域労働文化会館)が行われ、60人が参加した。「日の丸・君が代」の強制と法制化に反対する神奈川の会と日本基督教団神奈川教区社会委員会ヤスクニ・天皇制問題小委員会の共催で行われた。
 今回は日本キリスト教団牧師として関西地方で巡回する堀江有里さんが話をした。

堀江有里さんの提起

 世界的に反ジェンダー運動が強まり、トランス排除が激化しており、トランプ政権が移民排斥政策と性別二元論をセットで推進していることを堀江さんも踏まえている。
 また、堀江さんは、「今なお家族主義を問い続ける─天皇制抗い、連帯するために─」と題して話をしたが、国連女性差別撤廃委員会が韓国において、皇室典範における「改正」論議で男女平等を保障する必要に触れたことに対し、日本政府が「適当でない」として、任意拠出金を女性差別撤廃委員会の活動に充当しないよう申し入れしていたという報道についてもコメントした。こういったことは軍事的なメンツと同様、皇室のことには譲れない一線があると伝えるためのパフォーマンスとしてとらえるべきなのだろうが、同時に、性差別をおこない続ける現状を真剣に変えない日本政府、あるいは私たちの問題だということをも突き付けている。

異性間に特権が付与される制度

 このあと堀江さんは、SOGI(LGBT)増進法の可決、同性の結婚の自由についての札幌などの地裁判決などを振り返った。大阪地裁判決(2022年6月20日)がその「合憲」判決のなかで、「自然生殖により子が生まれることにより子孫を残し、次世代へと承継してきた実態が歴史的・伝統的に存在しており」、「社会の自然かつ基礎的な集団単位」としての婚姻制度と説明したくだりを踏み込んだものとした。この自然でない家族制度を最も体現する例として、皇室典範の変更を検討せざるを得ない天皇家の「世継ぎ」問題もある。
 堀江さんは同性婚の権利拡大の重要性もおもいつつも、異性間に特権が付与される制度であるという指摘をしている点をかみしめたい。この婚姻制度の不平等が、年金、相続から住居、入院面会など生活のあらゆることに付きまとってくることへどうするのか。並行して天皇制へのたたかいがあるというべきである。
 また、議論の紹介として、例えば同性愛者といっても男性と女性では家族主義から享受し搾取される度合いが全く違うという指摘もあるという。法律制定、違憲訴訟の中からも感じるだろう「多様性の称揚」についても、マジョリティが消費する多様性ということから距離を置きたい指摘はとても重い。
 堀江さんはこの日韓国での右翼的な反同性愛集会の盛り上がり、宗教右派というべき勢力の活発化に焦点をあてることから初めており、5名の牧師の免職に見られる厳しさと同時に、性的特権を認めないアクティビストはほかの分野でも活発に行動しているということを希望として紹介していた。性に対してどういう立場をとるか「慎重」な態度をとる人が多い中、反戦、人権、福祉などの分野で活動する人がどこまで性の問題を自分のこととして発信できるか、私たちは問われているようであった。
 堀江さんの提起後、参加団体のアピールが行われた。デモは、伊勢佐木町モールから大通り公園に向かった。
       (海田)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社