5.23石川一雄さん追悼 東京高裁は再審開始を
狭山事件の再審を求める市民集会
【東京】5月23日、東京・日比谷野外音楽堂で、「石川一雄さん追悼!狭山第4次再審闘争勝利!東京高裁は再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が開かれ、部落解放同盟や狭山闘争を闘う労組・共闘団体が全国から集まり会場を埋めた。再審請求人の石川一雄さんが3月11日に急逝し、連れ合いの早智子さんが4月4日に第四次再審請求を申請し、引き続き石川さんの無実を勝ちとる闘いを確認する重要な集会となった。
12時半から、獄友イノセンスバンド(小室等さん、こむろゆいさん、李政美さん、河野俊二さん、竹田裕美子さん)によるプレイベントが開催された。
その後本集会に、西島藤彦さん(部落解放同盟中央本部委員長)が、「第四次の裁判を家令裁判長のもとで引き継ぐことになった。家令裁判長は来年の3月末で定年退官する。かなり早い段階で一定の結論が出る可能性がある。何としてでも事実調べを行ってもらいたい。事実調べが行われれば狭山は勝利する。そのために新しく新百万署名を全国的に行っていきたい。再審法の改正を実現したい」と開会のあいさつを行った。
立憲民主党・近藤昭一衆院議員、社民党党首・福島みずほ参院議員、国民民主党・西岡義高衆院議員、れいわ新選組・大石あきこ衆院議員が各党を代表して、狭山再審の実現・石川さんの無実の獲得のために奮闘することそして、再審法の改正の実現に向けて全力を尽くすと表明した。
第四次再審の請求人の石川早智子さんがアピールした。(別掲)
新百万署名を実現しよう
弁護団報告を竹下政行・弁護団事務局長が第四次再審請求に至った経過を報告した。長年狭山弁護団の中心であった中山主任弁護人が一言あいさつした。
続いて、片山明幸さん(部落解放同盟中央本部副委員長)が基調報告を3点に絞って話した。
「①石川さんが3月11日に誤嚥性肺炎で急に亡くなったその様子について。この先は石川さんの意志を継いで狭山の闘いを続けていきたい。②第四次再審について、第三次再審で裁判所の判断が出ていないので、これまでに出した新証拠などについては全部そのまま生きて残っている。それがそっくり第四次再審で使えることになった。第三次再審の最後の所で、もしかしたら家令裁判長が4月の三者協議で鑑定人尋問について、何か採択するかどうか、発表するのではないかと期待があった。6月の上旬に三者協議がある予定だ。鑑定人尋問をやる・やらないを言う可能性が十分にある」。
「③第四次再審をどのように闘うのか。狭山の闘いは石川えん罪を晴らすためだが、同時に全国三百万の部落民の名誉を回復する闘いであり、また差別糾弾の闘いだ。これこそがまさに部落解放運動だ。同時にえん罪をなくす闘いだ。その上で当面の取り組みとして、第四次再審の署名を全国的に行う。10・31の次の集会までに百万の署名を集めよう。全国各地でスタートの集会をやろう。今の国会の中でぜひ再審法の改正をしたい」。
えん罪被害者の発言
菅家利和さん(足利事件えん罪被害者)、青木惠子さん(東住吉事件えん罪被害者)、西山美香さん(湖東記念病院事件えん罪被害者)、山崎俊樹さん(袴田巌さんの再審無罪を活かす会)。
再審法改正案を成立させよう
特別報告「再審法改正の現状」というテーマで鴨志田祐美弁護士(日弁連再審法改正推進室長)が発言。
「来週には議連の総会が開かれて、法案が確定するところまで持ってきた。その法案の中身は証拠開示についての命令、再審請求人が請求をすれば裁判所は原則として証拠開示を命ずるという規定、再審開始決定が出たら、検察官の不服申し立ての例外なしの全面禁止など」。
「自民党の中には法務大臣経験者とか法務省の官僚に非常に近い議員がいる。再審法改正には反対しないけれど、刑事訴訟法のような大きな法律は法制審議会にきちんと諮問し内閣提出法案として出さなくてはダメだ、というようなことを言い始めている」。
「さらに法制審議会が再審無罪事件の当事者と弁護人へのヒアリングを実施し、論点整理・法案の検討をするとしている。こうしたやり方は答申時期が見通せない。いまこそ国会の力で再審法改正を実現させる時なのだ。6月3日の、国会がんばれ、スタンディングを成功させよう」。
狭山事件の再審を求める市民の会の落合恵子さん(作家)、鎌田慧さん(ルポライター、市民の会事務局長)がアピールした。
集会アピール、閉会のあいさつ、団結がんばろうがあり、東京高裁の横を通り日比谷公園を一周するデモで「石川無罪、再審闘争勝利」を訴えた。 (M)

狭山事件の早期再審実現に向けてスクラム強化を意志一致した(5.23)
石川早智子さんがアピール
生き抜いて無罪判決を勝ちとる
3月11日に入院していた一雄を見舞った。『裁判も良い方向に進んでいるから5月23日、がんばって二人で集会に行こうね』と話した。一雄は『うんそうだね』と答えた。それが最後の言葉となった。志半ばで力尽きた。しかし精いっぱい闘った。一雄に、よくがんばったねと言いたい。一雄は短歌をたくさん作った。『権力にゴマする司法、聞こえぬか絶叫するわれの声が』。
第三次再審になってから19年。裁判長は10人も代わったが、一度も鑑定人や証人尋問を行わなかった。検察が証拠開示を拒み続け、石川の訴えを踏みにじった。袴田事件でも再審決定が出てから確定するまで10年もかかった。私はいま78歳だ。何としても生き抜いて無罪判決を勝ちとりたい。見えない手錠を外したい。今の再審法では再審を勝ちとっても、検察の上訴でいつまでかかるか分からない。検察はどこまでも無実の人を追いかけ、無罪判決を否定する。石川の無念と苦しみを二度と繰り返させないでください。(発言要旨、文責編集部)

アピールする石川早智子さん
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