5.26再審法改正をめざす市民の会結成6周年集会
「市民のチカラで、拡げよう再審の扉」
【東京】5月26日午後6時半から、文京シビック小ホールで、再審法改正をめざす市民の会結成6周年集会 白鳥決定から50年記―市民の集い「市民のチカラで、拡げよう再審の扉」が開かれ、会場に260人、ZOOMに 140人の参加があった。7月に参議院選を控え、国会は6月に閉会されるという状況の中、今国会で何としてでも再審法の改正を実現しようと各界から多くの発言があり、盛りたくさんの企画になり、集会は午後9時過ぎまで行われた。
再審法改正の現状を報告
最初に袴田事件ショートムービー(制作・金聖雄監督)が上映された。
次に、えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟幹事長の逢阪誠二さん(立民党衆議院議員)が連帯のあいさつをした。
「日本の今の刑事司法は問題山積だ。人間が裁くことであるので、百パーセント完璧はありえない。万が一のための制度・仕組みをしっかりさせておくことが重要だ。昨年春に議員連盟が立ち上がり、国会議員の半分以上が参加している。国会に提出しようとしている法案の内容は①証拠開示に関する規定②裁判官の除籍・忌避、前の裁判をやった人は再審の裁判には関われない③検察官の抗告の禁止④再審請求における裁判の期日を明確にする、この4点に絞って、とにかくスピード感をもって、実効性のある意味のある改正案を議員立法で出して今国会で成立させたい」。
「ここに来て、大きな懸念が出てきた。政府はこれまで後ろ向きだった。今年に入ってから突如、法制審を立ち上げて議論するとしている。スピード感をもってやるものではない。結論を出さないこともある。法務局が事務局をやっているので、自分たちをチェックするわけではない。そして、もう一つの懸念事項、自民党が骨子案の議論が出来ていないことだ。何としてもこの法案を成立させたい」。
次に議連会長の柴山昌彦さん(自民党衆議院議員)が祝電を寄こした。
えん罪当事者の訴え
福井中学生殺人事件で再審を勝ちとり、判決を控える前川彰司さんが訴えた。
「福井事件は昨年10月再審開始が決まり、この3月に再審公判が始まった。たいへん厳しい再審のために、橋を架けることができたことを光栄に感じている。ひとえに支援をしてくれた皆さんのおかげだ
。3月6日、再審公判は一日で結審し7月18日判決が言い渡される。事実と道理に基づいて、判断されるならば無罪が言い渡されるでしょう。事件と私とはまったく無関係で接点はなかった。背負った十字架は私の運命のようなものだ。福井事件は幸いにして、再審の開かずの扉が開き、その先の再審無罪に向かって歩んでいる」。
「袴田事件無罪判決後の再審事件に向けられた世情の流れの中で、われわれはその歩みを止めてはならない。今の流れを大河のごとく広く大きくすべきだ。絶望の向こうには再審裁判を闘って勝利した先達、希望の灯が少なからず灯っているではないか。われわれには過酷な試練、大きな犠牲がついて回るかもしれない。日本の遅れた刑事司法の在り方を世界の先進国のレベルまで引き上げるべきだ。再審えん罪事件の今は終わりが見えない。道なき道を私たちは今後も行動していくべきだ」。
次に昨年9月に再審無罪判決を勝ちとった袴田巌さんのお姉さん、袴田秀子さんがビデオメッセージ。
「私たちは58年闘って無罪放免になった。巌が助かればいいという問題ではない。大勢のえん罪被害者が苦しんでいる。再審法改正はとにかく早急にやってほしい」。
袴田事件で再審決定を下した元裁判官
「再審制度はなぜ必要か―白鳥決定から50年―」、村山浩昭さん(弁護士、元裁判官、法制審議会刑事法(再審関係)部会委員)が特別講演を行った。
1 再審制度の必要性と日本における改革の必要性
裁判は人間が行うもの、誤りの可能性。再審制度は、非常救済手続とはいえ裁判にとって不可欠な制度。
現在の業態。条文は変わっていないが、白鳥決定によって基準は変わった。しかし、偶然によってしかえん罪救済が実現できないのが実態。再審制度の改正が必要だ。
2 再審制度の運用状況
白鳥決定の出現。1975年5月20日、最高裁の決定。再審請求についても、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則が適用されることを判示。白鳥決定後の再審開始・無罪判決。いわゆる4大死刑再審事件を始め、いくつかの再審が開始し、いずれも無罪になる。
しかし、その後の逆流現象。1990年代に入ると開始がほとんどなくなった。2000年代で再審開始が確定したのは、足利事件と布川事件のみ。なぜそうなったのか。白鳥決定が制度改革、法律改正に結びつかなかったからだ。検察官が証拠開示について否定的な態度をとれば、再審開始にはならない現実。
3 再審制度の改革の必要性とその方向性
結論を大きく左右するのは「新証拠」。事件捜査の段階で捜査機関が集めた証拠の中に、「新証拠」がある。証拠開示制度を大幅に改めなければ、再審開始は極めて困難。期日や事実取調べの方式など再審請求人の権利を前提にした手続規定の整備。開始決定に対する不服申立ての禁止。
4 現在の法律改正への動き
国会の動きと法制審の動き。どちらがより早く制度改正を実現できるのか、より好ましい制度改正が実現できるのか。
5 最後に
市民の強力な後押しで、えん罪救済を求める再審請求人のための法律改正を、国会で実現しよう。(当日、配布されたレジメの抜粋より)
各界からの発言
西村誠さん(日本新聞労連中央執行委員長、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC議長))、片山徒有さん(被害者と司法を考える会代表)、金平茂紀さん(日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)、佐藤和さん(イノセンス・プロジェクト・ジャパン・学生ボランティア)。
休憩の後、第2部が行われた。
「芸人・YouTuber・せやろがい おじさん」のオリジナル映像があり、次に周防正行さん(再審法改正をめざす市民の会共同代表、映画監督)が自らの法制審議会の経験から「なぜ法制審でダメなのか」について発言した。
「取調べの録音・録画が義務付けられたことで、取調べの違法性が明らかになり、担当検察官が罪に問われるような事態が起きているにも関わらず、相変わらず録音・録画の対象事件、対象となる事件の取調べの範囲の拡大に否定的。刑事手続のあり方協議会が2022年に始まったが、未だなんの結論も出していない」。
「時間稼ぎ、世論の鎮静化を待ち、最小限の改正に食い止める」ために、自らのコントロールが及ぶ『お抱え組織』の法制審に諮問し、国会から再審法改正の議論を取り上げようとしている。法務官僚を構成しているのは検察官。検察官が法務官僚として立法の一翼を担い、捜査官も務めるという二面性に大きな問題がある。刑事司法に関する法令こそ、立法府がイニチアチブを」。
鴨志田祐美さん(再審法改正をめざす市民の会運営委員、日弁連再審法改正推進室長、法制審議会刑事法〈再審関係〉部会委員)が超党派の議連で法案を今週中にもまとめて国会に提出する、市民の運動の力で成立に向けて全力をあげてほしいと訴えた。最後に宇都宮健児さん(再審法改正をめざす市民の会共同代表、元日弁連会長)が閉会のあいさつをした。
全員でプラカードを掲げて、アピール行動を行った。必ず再審法の改正を実現しよう。えん罪をなくそう。(M)

「拡げよう再審の扉」とアピール(5.26)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社


