9・19 津島原発訴訟控訴審第15回口頭弁論
汚したらきれいにして返せ
【宮城】「福島第一原発事故により放射能で汚染されたふるさとを原状に戻して返せ」と訴えている津島原発訴訟控訴審第15回口頭弁論が9月19日14時から仙台高等裁判所であり、長谷川公一氏(盛岡大学学長・元東北大学名誉教授)が証人尋問に立った。
福島県浪江町津島地区は、東電福島第一原発事故で帰還困難区域となっている。原告住民は、津島地域を「汚したらきれいにして返せ」と東電と国の責任を求めて闘っており、一審判決は損害賠償と東電の責任は認めたものの、国の責任は認めなかったため、控訴して国の責任と原状回復を求めて闘っている。
「津波対策という第一の砦が破られても、B5bをしっかり受け止め第二の砦たる過酷事故対策をとっていれば福一事故は十分に防ぎ得たはずで、津島の生活も守れた」
控訴審では、新たな証拠で国の責任を主張し追及している。「新たな証拠」とは、アメリカ原子力規制委員会(NRC)が2001年9月11日の同時多発テロ事件を受けて、2002年2月25日その対策として米国内の全発電用原子炉104基に対して長時間の全電源喪失を含む過酷事故対策「B・5・b」措置命令(テロ対策命令)を発令した。「B・5・b」と呼ばれるのは、テロ対策命令書に添付された文書のB・5条b項に具体的防護措置が記載されているからである。
「このNRCがテロ対策として示した「B・5・b」を米国から当時の日本の原子力安全・保安院が2006年と2008年の2回に渡り説明を受けるも、この貴重な情報を公表せず、意識的に放置(無視)して、過酷事故対策をとらなかった。それを真剣に受け止め過酷事故対策を実施していれば福一事故は十分に防ぎ得たはずで、津島の生活も守れた」と長谷川氏は証言した。
さらに長谷川氏は、「この命令は、爆発や火災によってプラントの大きな領域が失われた状況でも、炉心冷却、放射性物質の閉じ込め、使用済み核燃料プール冷却を維持すること、施設の損害を和らげることを求めている」「地震であれ、津波であれ、テロであれ原因がどんな事態でも、冷却し続けることを求めている」「新たなものを作れといっているのではない。可搬式発電機、消防車、可搬式ポンプ、バッテリー、ケーブル、用具、燃料、防火設備などを備えて対策をとれということである」。「全米の事業者はこの命令通り、6か月で実施した。(実施しないと稼働停止となる)日本でもできないことではなかった」と述べた。
国側は、「原子力安全・保安院が得た情報は限定的なもので対策が取れるようなものではなかった」と反論している。また、反対尋問も重箱の隅をつつく内容で、東電は反対尋問もしないというやる気のなさだった。
裁判長から「テロなど軍事関連情報も含み取り扱いが難しかったのではないか」という質問には、長谷川氏は「機密情報の部分を配慮して、安全規制に関するところを伝えていれば事故は防げた。」「NRCが二度も日本側を呼んだことの重要性、緊急性を誰も感じとらなかったことには疑問がある。この対策を取っていれば事故は防げたし、軽減できた」と応えた。
「機密情報」だからと逃げる判断を裁判所にさせないために声を上げ続けることだ。
11・8ふるさとを返せ!津島原発訴訟勝利!宮城集会(仮)
津島訴訟は、「汚したものを元に戻して返せ!」と帰還できるような全地域の除染を求めている。「B・5・b」で国の責任を追及しつつ、一方で「和解」も提案。国が全地域の除染をするのであれば「和解」もあるとしている。原告団長は「われわれの目的は損賠ではない。ふるさとを元通りにして返してもらうことだ」と語っていた。
長谷川公一氏の証人尋問を終え、津島訴訟の勝利と、この新たな証拠を通して、国の責任を認めさせ2022年6月17日の最高裁判決を覆すために、裁判を支援していく「ふるさとを返せ!津島原発訴訟勝利!宮城集会(仮)」を津島訴訟原告団・弁護団が主催し、宮城の反原発団体をはじめ市民団体が協賛して11月8日(土)13時30分から仙台弁護士会館での開催を準備している。 (m)

「津島原発訴訟勝利に向けて頑張ろう」(9.19)
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