メルカトル図法と北朝鮮の弾道弾

コラム「架橋」

 国連総会は各大陸等の面積を正確に反映した「イコールアース図法」の地図を世界地図として普及させるという決議を採択した。メルカトル図法では高緯度の欧米諸国の面積が広く、低緯度のアフリカ大陸や南米大陸は狭く表現されるからだという。
 西アフリカのトーゴが提案し、164ヵ国の賛成で可決、米国のみが反対した。トランプのアメリカのみが反対と聞くと、妙に納得してしまうのがおかしい。
アフリカ諸国はメルカトル図法による印象がアフリカを過小評価する原因の一つとなっていると従来から主張してきた。なるほどメルカトル図法の地図で見ると、ヨーロッパ大陸が大きくアフリカ大陸にのしかかっているし、北米大陸も南米大陸にのしかかっている。
 小学生の何年生のころだったろう。教科書の地図を見て、オーストラリア大陸よりグリーンランドの方がずっと広いのに、なぜ、グリーンランドは大陸ではないのかと疑問に思っていたことがある。
 大西洋を挟んでヨーロッパと北米が向かい合っている地図を見て、この地図はおかしいと思ったこともある。大人になってからでさえ、ニュージーランド土産にもらった世界地図を見て、ニュージーランドとオーストラリアが上部に、ユーラシア大陸が下部に記載された地図に違和感を禁じえなかった。
 たかが地図だがその印象が人の心に植え付ける力は侮れない。地球が丸いことはほとんどの人が知っている。しかし、世界の国々の地理的関係を考えるとき、おそらく私たちは地球儀ではなく、メルカトル図法で考えているのだと思う。
 北朝鮮から弾道ミサイルやロケットが実験で発射されると、政府はJアラートで警報を発令する。確かにメルカトル図法の地図で見ると、北朝鮮からアメリカに向かって飛んでいく弾道弾は日本列島の上空を飛んでいく。しかし地球儀で見ると、弾道弾はアメリカへの最短距離である北海道のはるか沖合を飛んでいく。
 政府が警戒アラートを発令するのは、日本国民に北朝鮮脅威論を植え付けるための愚民政策のように私には思えてならない。 (O)