戦争予算を止めろ!

岸田政権の大軍拡を絶対通すな
労働者・市民の力で政府打倒へ

世論は岸田政府を支持していない

 「毎日新聞」が12月17~18日に実施した世論調査によると、岸田内閣の支持率は25%にまで下落(前月から6%減)し、不支持率も69%(同7%増)だった。また大軍拡の財源として所得税増税することには、賛成が23%だったのに対して反対が69%だった。しかしその一方で、「防衛費」の大幅増には48%が賛成であり、反対は41%だった(男性の56%が賛成で反対は38%、女性の35%が賛成で反対は46%。また50歳代以下は賛成が、60歳代以上は反対が多数だった)。さらに「敵基地攻撃能力」の保有には59%が賛成し反対は27%にとどまった。
 世論は「岸田政府は支持しないが、戦争になってしまっては困る」という受けとめなのかもしれない。しかしいま必要なのは「台湾危機」を煽っての「額ありき」の大軍拡ではなく、人々の命と生活を守るための賃金の大幅引き上げとインフレ対策であり、超高齢化社会に十分に対応できる年金・介護・医療など社会保障費をさらに増大させることである。そして金持ちと大企業を最優先する不公正税制の抜本的な改革であり、いつまでも国債発行に依存する「将来世代へのツケと食い逃げ」予算(国債の累計発行残高は23年度で1068兆円)及び、毎年の補正予算による「バラマキ」政策の繰り返しを終わらせることである。

大軍拡のための政府予算案


 政府は12月23日に2023年度の当初予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は初の110兆円超えとなった。なかでも防衛費は前年比26・4%増の6兆7880億円で、これはGDP比で1・2%相当である。政府は23~27年度の5年間で43兆円を確保して、27年度には約8・9兆円にまで防衛費を増やし、これにNATO計算方式にあわせて海保予算・研究開発・公共インフラ整備予算を計上して、GDP比2%相当の総額11兆円をめざすとしている。
 そして大軍拡予算を維持するための税収としては、法人税、所得税、たばこ税の増税でねん出する方針としている。法人税は税率を変えずに法人税額に4~4・5%を上乗せする「付加税」方式とし、対象企業は全体の6%ほどだ。所得税は現在所得税に2・1%上乗せしている「復興特別所得税」率を1%引き下げてその分を防衛費にあてるとともに、復興税の期間を延長するとしている。ただし増税の時期は「24年度以降」とあいまいにしている。23年度の増額分としては、税外収入である外為資金特別会計から3・1兆円、財政投融資特別会計から6000億円、コロナ対策などの積立金から4000億円の計4・6兆円から1・2兆円を当て、残りの3・4兆円は24年以降の財源としてプールするとしている。さらに他の歳出予算を削減して年間3兆円をねん出するとしている。
 まさに大軍拡至上主義の政府予算案である。これまで禁じ手とされてきた建設国債までも防衛費に充てて、自衛隊施設ばかりではなく艦船建設にもつぎ込もうとしている。公共インフラ整備よりも軍拡を優先するということだ。

戦争への道を断ち切ろう

 昨年の7月総選挙後に発足した第2次岸田内閣は、10月以降の2カ月間で4人の閣僚が辞任している。統一教会との親密な関係を指摘されていた山際経済再生担当相、問題発言の葉梨法相、政治とカネ問題で寺田総務相、政治とカネ・統一教会との関係で秋葉復興相だ。昨年末までの臨時国会では、閣僚辞任ドミノと統一教会をめぐる諸問題ばかりではなく、エネルギーや食料品など諸物価の高騰やコロナ感染症の再拡大など岸田政権は完全な守勢状態だった。
 政権支持率浮揚の材料が見当たらない中で岸田首相は完全に開き直っていた。世論がどうであろうが、己自身の政治生命のためにやるべきことをやるだけだというわけである。安保関連3文書の発表による「敵基地攻撃能力」の保有と、自衛隊の攻撃型軍隊への改編といった日本の大軍拡の確定、政府の既定方針に従って原発推進政策の明確化がそれだった。何よりも岸田自身が今、最も意識していることは24年秋に実施される自民党総裁選である。岸田はそこでの総裁再選に向けてすべての政治スケジュールと党内派閥工作を組み立てている。
 1月13日にはホワイトハウスでの日米首脳会談が開かれる。岸田はこの会談へのバイデンへの手土産として「敵基地攻撃能力」、すなわち中国が配備している中距離弾道ミサイルに対抗する中距離弾道ミサイルと巡航ミサイル・トマホークの日本配備を閣議決定したのである。11日にはそのおぜん立てとして日米の「2+2」(米国の国務長官と国防長官、日本の防衛大臣と外務大臣)会談が実施される。そして岸田はこの席で、5月に広島で開催されるG7で来日するバイデン大統領の長崎訪問を取り付けようとしているのである。しかしそうした小手先の演出だけで内閣支持率が上がるのかどうかはまったくの未知数である。
 結局、岸田政権の「新しい資本主義」は、産業のデジタル化も再生可能エネルギー政策も世界的なテンポから1周も2周も立ち遅れたまま、始まろうとしている軍拡路線に乗っかって日本資本主義が「死の商人」の仲間入りする道を切り開いたということだけである。
 岸田政権の大軍拡に反対し、沖縄の反基地運動と連帯しながら9条改憲を全力で阻止する反戦・平和運動を再構築しよう!戦争への道を断ち切ろう!
(高松竜二)

The KAKEHASHI

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