最低賃金改定、全国で決定
宮城全労協など〈発効日繰り下げ〉に抗議へ
【宮城】各地の改定額が出そろった。引き上げ額は全国平均で66円、過去最大となった。また39道府県で中央目安の額を上回った。
今年の中央最賃審議は、石破政権の動きを含めて「大幅引き上げ」の要求が高まるなかで、上げ幅をめぐる労使の攻防となった。また地域間格差への対応が迫られ、いわゆる三ランクの従来パターンを踏襲せず、AとBの上げ幅を63円、Cは64円とした。
日経新聞社説は「初めて全都道府県で1千円を超える」目安決定を「妥当だ」としたうえで次のように述べている。
「だが最大で約210円ある地域間格差の是正はなお課題だ。改定額を決める地方審議会は地域の経済・雇用情勢を精査しつつ、目安への上乗せを検討してほしい」「政府は20年代に全国平均1500円を目標に掲げる。平均で年7・3%の引き上げが必要で、今回はそれを下回った。ドイツは2年間で14%近く引き上げ、27年に約2500円になる見通しだ。海外と差が開くのは看過できない」「政府がすべきなのは介入ではなく、最賃を着実に引き上げる環境を整えることである」(8月7日)
改定額の決定が進むなか、一部の県では発効日を繰り下げようとする動きが指摘されてきた。「企業の準備期間を十分に確保する必要性」が理由だというが、政府の「支援策」は地域の中小零細企業にとって実際に必要とされている措置と合致しているのかという問題が背景にある。
NHKは9月5日、「福島県、徳島県、熊本県、大分県は来年1月に、秋田県と群馬県は来年3月にそれぞれ適用される予定」と報じた。毎日新聞は8月27日、11県が11月以降の発効を予定と報じていた。各地での抗議が注目される。東北では全国一般全国協議会が東北全労協などともに「発効日の繰り下げ」に抗議し、「遅くとも10月中の発効」を訴えている。
宮城全労協など異議申出書を提出
中央審議会は引き上げ額をめぐって対立し、公益委員の提案が賛成多数で決定された。その流れが各地の最賃審議に引き継がれていった。
宮城審議会の議論は7月16日から始まった。目安を上回る大幅な引き上げを求める労働側と、目安以下の額にとどまる経営側がするどく対立した。緊迫した審議は異例の5回におよんだ。最後は公益委員の示した額をめぐって採決となり、賛成多数で可決して労働局長に答申した。提示額は中央目安を2円上回る時給65円だった。
宮城県労連と宮城全労協はそれぞれ異議を申し出ていたが、審議会は8月26日、異議内容を認めず再答申して決定となった。宮城全労協の異議申出書は資料を参照していただきたい。申出書には福岡審議会での技能実習生の意見陳述に関して、「今回の貴重な陳述が、中央および各地の今後の審議に活かされることを要望」する旨が付記されている。(なお、申出書の一部を省略また要約した)
9月6日(仙台U・J)
資料
宮城県最低賃金審議会答申への異議申出書
宮城全労協/8月21日
宮城地方最低賃金審議会は8月8日、宮城県の最低賃金を現行の時給973円から1038円に引き上げることを賛成多数で了承し、労働局長に答申しました。中央審議会が示した目安額63円を2円上回る額(率にして6・68%の引き上げ)です。
私たちは今年度の審議にあたり「いますぐ、どこでも1500円以上に引き上げること」を要請しました(宮城全労協要請文/6月29日)。その内容に照らして答申額は不十分であり、異議を申し出ます。
(1)増えない実質賃金
(略)先の見えない物価上昇が低賃金労働者をいっそう追い詰めていることは明らかです。今年の最賃引き上げ効果も同様に、物価高の波に飲み込まれることが予想されます。低賃金労働者はその不安の中で働き、生活しています。
約700万人が最賃近くの賃金で、その規模は「中小企業では5人に1人、10年で3倍」(日経新聞7月23日記事)に達しています。「最賃では生活できない」という声が広がっています。
そのような現実を直視するなら、「2020年代に全国平均で1500円」をめざすという政府の目標こそが状況から乖離しているといわねばなりません。「全国一律で1500円」の実現に踏み込むべきときです。
(2)「全国一律で1500円」の実現を!
(略)今年の「目安」は初めてCランクの引き上げ額を高くしました。最賃の地域間格差を強く意識したものです。
「目安に関する公益委員見解」(8月4日)では、「目安を十分に参酌しながら」「都道府県別に示される地域の経済・雇用の実態等(消費者物価指数の上昇率、最低賃金の引き上げによる影響率など)をデータに基づいて見極めつつ、自主性を発揮することを期待する」としたうえで、今年度の目安額が、消費者物価の伸びや賃金上昇率とともに、「地域間格差の是正を引き続き図ること」を考慮して検討したことが記されています。
しかし、このような目安の「是正策」を積み重ねることによって、地域間格差(現行では東京都と秋田県の時給差212円)を解消することはきわめて困難だといわねばなりません。抜本的な方策として「全国一律の最低賃金」を導入すべきです。
(3)中小企業、地場の零細企業への支援を
宮城審議会の答申には政府に対する要望が記され、「中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げできる環境整備の必要性については労使共通の認識」だと指摘されています。私たちもこの見解を共有します。
宮城合同労働組合の組合員は労働局に提出した文書で次のように指摘しています。
「「業務改善助成金」は、生産性向上に資する機械設備投資などを行うことを要件とし、そのうえで事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するもので、企業の賃金引き上げ原資を直接補助する制度ではありません。最低賃金引き上げのために中小企業・小規模事業者の社会保険料減額制度を設ける等、負担を軽減する直接支援を行うこと。また、労働者の生活向上と経営改善につながるよう、生産性向上を前提としないような直接的な賃金助成などへの支援制度を設けること。あるいは、現行の「業務改善助成金」を抜本的に改め、要件の緩和、手続きの簡素化、助成金額の大幅引き上げを行うことを求めます」。
政府による支援政策は、地域の中小・零細企業及びそこで働く労働者に対して、実態に即した使い勝手のあるものでなければなりません。実効性ある対策が求められています。
(4)技能実習生の意見陳述(福岡審議会)を今後の最賃審議にいかすよう要望します
NHK福岡は7月31日、「福岡県の最低賃金審議会、外国人技能実習生が意見陳述/全国初」と報じました。この意見陳述を報じた新聞記事では、外国人労働者の賃金は日本人労働者の賃金と関係しており、「技能移転の名目で日本の労働力不足を支えている技能実習生を、意見を聞くべき労働者と位置づけたのは画期的で全国に広まってほしい」という識者の見解も紹介されています。
外国人労働者の最賃審議会での意見陳述は正当な権利であり、審議を深めることに寄与するばかりか、最賃適用の実態を検証していくうえでも重要だと考えます。今回の貴重な陳述が、中央および各地の今後の審議に活かされることを要望し、ここに付記します。
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