8.23東海第二再稼働に反対する現地集会とデモ
トラブル続きの老朽原発
8月23日、茨城県那珂郡東海村の「東海文化センター」で、東海第二原発の再稼働に反対する大規模な集会があった。大ホールに600余人が集まり、集会後は周辺をデモ行進した。
茨城県東海村の「東海第二原発」(日本原電)は1978年に運転を開始した。すでに47年も経過した老朽原発は2011年の東日本大震災以降、14年以上も停止したままだ。現在、再稼働のための津波対策として防潮堤建設が進んでいるが、この工事では土台となる鉄筋の変形や欠陥、手抜き打設が明らかになった。原電はこのことを7カ月もひた隠していた。
同原発には、発電・売電をしていないにもかかわらず、「維持資金」として電力5社から年間1千億円、2011~2014年で総額1兆数千億円が支払われている。これらすべて市民が支払った電力料金が原資である。原発から30キロ圏内の人口は92万人。同村には核関連施設が多数あり、内陸側には住宅密集地が広がっている。首都圏に最も近く、ひとたび事故が起これば甚大な被害となることは明らかである。
大型バス2台で現地へ
「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」は、この集会に参加するために東京から大型バス2台で現地に向かった。約60人が早朝のJR平井駅前に集まり9時過ぎにバスが出発した。途中サービスエリアでの休憩をはさみながら、乗客たちは車内で交流をした。
バスは最初に「JCO臨界事故」の発災現場付近に立ち寄った。1999年9月30日、JCO東海事業所の核燃料加工施設内で労働者が作業をしていた最中、ウラン溶液が臨界に達して核分裂連鎖反応が発生し、この状態が約20時間持続した。至近距離で多量の中性子線を浴びた作業員3名中2名が死亡、1名が重症となったほか、667名の被曝者を出した重大な事故である。
バスが停まった駐車場からは、目視でも事故のあった作業棟が見える。事業の認可は取り消されているもののJOCは今も存続し、建物も当時のままだ。日本で初めて事故被曝による死者を出した現場が残っていることに、参加者から驚きの声が漏れた。
事故で被曝し裁判を闘っていた大泉昭一夫妻の自動車部品工場が、駐車場に隣接する敷地に建っている。夫妻は80mの至近で被曝し、皮膚病、肺炎、糖尿病、下痢、胃潰瘍の併発等で生死をさまよった。裁判は最高裁で敗訴したものの、両親の死後「臨界事故を語り継ぐ会」で息子・実成さんによって運動が引き継がれている。
目前に大事故の残像が
バスは「原研道路」を東に進み、国道245号線へと鋭角に右折する。防砂林のために車窓からは見えにくいが、この国道沿いに東海第二原発をはじめ、核実験施設や研究施設が軒を連ねている。降車した一行は、「日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所」の正門前に向かった。周囲には太陽光を遮るものがなく、熱線が容赦なく参加者に襲いかかる。ガイドの説明を受けている間にも門前の警備員が「写真を撮るな」と警告する。時おり従業員の運転らしき自家用車が来場し、車止めが外される。
「STOP‼ 東海第二原発再稼働 いばらき大集会」は、午後1時30分から、東海文化センター大ホールで開かれた。
集会実行委を代表して小川仙月さんが発言した。「東海第二原発は1978年11月に運転を開始した。火災がとても多く、今年2月にもあろうことか中央制御室で火の手が上がった。『ハインリッヒの法則』そのもので、火災予防のできない人間に核の管理ができるはずがない」。「古い施設に新しい部品をつけても無理がある。職員の約半数が未経験者。ベテランに教えてもらって仕事をしている。第二原発は日本で最も軟弱な地盤に建っている」。この発言にあるように、第二原発は2022年9月から今年5月までの間に12件もの火災を起こしている。そんな一大事も、数多くの設備トラブルや事故の一例に過ぎないのだ。
首長たちが批判の発言
集会には周辺自治体の新旧首長も多数駆けつけ、問題を提起した。
宮嶋謙・かすみがうら市長は、「選挙で大負けした自民党石破首相の進退が話題になっている。よく言われている『責任を取って辞める』は間違いである。『責任を取れないなら辞めろ』が正しい言い方だ。リーダーは結果責任が取れるかどうかが大切だ。規制委も政治家も事業主も、誰一人として責任を取らない。私たちは本気で闘って勝利を勝ち取ろう」。
三浦村長の中島栄さんは、「日本では54基中12基しか稼働していない。推進派は『各地でデータセンターの建設が進み電気が必要になる』などというが、ならば農地にソーラーパネルを設置すればいい。遊休農地で金を稼ぐ。みなさんと共に第二を廃炉にしていこう」。
海野徹さん(元那珂市長)は「福島事故の前まで、私は安全神話を信じていた」と振り返った。「電力ひっ迫など嘘だ。猛暑でエアコンがフル稼働しても電気は足りている。村民が安心して暮らせる村を作っていく」と決意を語った。元東海村長の村上達也さんは、再選に立候補した現職の山田修村長(※)を批判した。「彼は再稼働に突進している。日本で先頭を切っている。私は老いぼれたが、みなさんが現地に来てくれて大変感謝しています」。海野・村上両氏は「脱原発をめざす首長会議」の世話人も務めている。この後、五十嵐立青・つくば市長のメッセージが紹介された。
控訴審の勝利めざして
集会は講演に移った。「東海第二原発 住民避難はできない」と題して、運転差止訴訟弁護団の大河陽子弁護士が演壇に立った。大河弁護士は裁判で提出した資料と同じものをプリントして会場に配布し、住民避難がいかに困難かを解説した。訴訟は一審・水戸地裁で勝訴し、控訴審は来年結審の予定だ。実行委事務局長の中山弘子さんが「集会決議」を読み上げた。カンパが呼びかけられ閉会のあいさつが行われた。集会の参加者数は600人と発表された。
夏の日差しが容赦なく照りつけるなか、参加者はデモ行進のためにセンター前に集合した。駅前のエリア周囲を一周する1・6キロの道のりを一時間かけて歩いた。猛暑下の命がけの行動とも言える。5時過ぎにバスが到着して現地を出発。参加者は車内でこの日の行動を総括し、東京に戻った。
バス車中でもホールでの集会でも、「核施設のある現地でのデモや集会が、大きな意味を持つ」と、参加者は認識を新たにした。筆者は80年代に一度訪れたきりで、今回初めて村を見たようなものだ。
デモコースでは、新築のようなきれいな戸建て住宅が整然と並び、新興住宅地の様相だった。自分が住む地域の反原発運動の情宣や集会で訴えられるよう、この日の体験を忘れずにいたい。(桐丘進)
【※追記】
東海村村長選は9月7日投開票され、無所属現職の山田修候補が4期目の再選を果たした。「原子力は村の基幹産業」と訴えて他候補を大差で退けた。投票率は46・94%。

「STOP‼ 東海第二原発再稼働 いばらき大集会」(8.23)
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