緊急共同声明

ミャンマーの人びとに寄りそう
―いのちと平和と民主主義のために―

 2021年6月1日、文化人、ジャーナリスト、学者、弁護士、宗教者など60人を超える各界を代表する賛同者が集まり緊急共同声明「ミャンマーの人びとに寄りそう」をだした。(編集部)

 私たちは、2月1日から続くミャンマーでの惨状に胸を締めつけられています。
 国軍による突然のクーデタに対し、ミャンマー全土で無数の人びとが「自由を!民主主義を!」、「アウンサンスーチーさんたちの解放を」と立ち上がりました。しかし国軍は、これに銃弾で応えました。
 クーデタから4か月を過ぎた今も、銃撃や空爆が毎日のように続き、市民の犠牲はますます増えています。そして国軍は、報道や通信をも徹底的に封殺しています。
 そのなかで日本は、これまで世界最大のODA(政府開発援助)を供与し、軍とも「特別のパイプ」があると言いますが、日本政府の「制裁はせず、解決を促す」という態度を国軍は「事態を静観・黙認するというシグナル」とみているのではと危惧します。
 私たち日本の市民は、それぞれの場所と方法でミャンマー市民への支援の声をあげ、手を差し伸べ、「私はあなたたちに心を寄せている」と示すことが、ミャンマーの人びとを励ますとともに、政府や企業を動かすことにもつながるでしょう。
 そのうえで私たちは、特に政治的な責任ある立場のみなさんに次のことを呼びかけます。

 1.欧米各国は、軍関係者とその企業などに制裁を発動しています。先進国で国軍との「特別のパイプ」を持っている国は日本だけです。だからこそ、菅内閣や外務省、財務省などの担当のみなさんは、自らの判断や行動がミャンマーの人びとの生命と人権、希望の行方に直結していることを自覚し、国軍の蛮行をやめさせ、ミャンマーが民主主義への道を再び回復できるような支援策をただちに講じてください。
 2.ミャンマーとの関係を民間レベルで構築してきた日本ミャンマー協会は、即座に暴力を停止し、民主化を崩壊させないように政府に働きかけてください。協会の役員は、ミャンマーに進出している大手企業関係者や有力な国会議員で構成されているので大きな影響力があるはずです。最高顧問は麻生太郎・副総理、副会長に白浜一良・公明党顧問、理事に自民党の甘利明氏、加藤勝信氏、立憲民主党の安住淳氏、福山哲郎氏、公明党顧問の魚住裕一郎氏などです。
 3.国軍は「不正選挙」をクーデタの理由にしていますが、日本は、笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表を団長とする選挙監視団を派遣し、二重投票を防止するための特殊インクも供与しました。外務省は、選挙は平穏に透明性をもって行われたと確認しているはずです。国連も結果を尊重するよう求めています。政府は、選挙が自由かつ公正に実施されたことを国軍と国際社会に強く伝え、アウンサンスーチーさんたちの解放を求めてください。

外務省報道発表:ミャンマー総選挙における選挙監視団の派遣
日本政府選挙監視団の活動結果
4.与党、野党の枠を超えて多くの国会議員が参加した「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」のみなさんの3月31日と5月26日の共同声明にある活動目標と要請は全面的に賛同できるものです。政府がこの要請に応え、早急に実行するようにさらに強く働きかけてください。
――最も大切な、生命と自由と民主主義への願いをこめて

緊急共同声明・賛同者一同
6月1日現在

阿部浩己(明治学院大学国際学部教授)、いとうせいこう(作家・クリエーター)、内海愛子(恵泉女学院大学名誉教授)、大石芳野(写真家)、大谷恭子(弁護士)、大友良英(音楽家)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、亀山仁(写真家)、神田香織(講談師)、北角裕樹(ジャーナリスト)、北中正和(音楽評論家)、久保田麻琴(プロデューサー・エンジニア)、甲野綾子(ミャンマーの子どもたち支援NGO代表)、古今亭菊千代(落語家)、坂本龍一(ミュージシャン)、サラーム海上(DJ・中東料理研究家)、澤地久枝(ノンフィクション作家)、下川裕治(旅行作家)、瀬戸内寂聴(作家)、龍村ゆかり(映画プロデューサー)、田中優子(法政大学名誉教授)、田辺寿夫(ビルマ研究者・ジャーナリスト)、ダースレイダー(ラッパー/MC)、津田大介(ジャーナリスト&アクティビスト)、富山妙子(画家)、中嶋滋(元ILO理事)、仲野桂子(元難民担当国際公務員)、能町みね子(エッセイスト)、萩原健太(音楽評論家)、羽仁カンタ(環境活動家・NGOコーディネーター)、ピーター・バラカン(ブロードキャスター)、藤元明緒(映画監督)、町山智浩(映画評論家)、南研子(Rainforest Foundation Japan 代表)、湯川れい子(音楽評論・作詞)、渡邉彰悟(弁護士)、阿満利麿(明治学院大学名誉教授・宗教学者)、新井俊一(浄土真宗本願寺派僧侶、相愛大学名誉教授)、飯塚拓也(NCC・東アジアの和解と平和委員会)、今岡達雄(浄土宗善照寺住職)、ウェイン・バーント(カトリック司教)、及川一晋(日蓮宗本立寺住職)、大倉一美(ベタニア修道女会)、奥田靖二(金刀比羅神社宮司)、勝谷太治(司教・日本カトリック正義と平和協議会会長)、上村秀如(真言宗智山派金南寺長老)、金性済(日本キリスト教協議会総幹事)、小林裕彦(浄土宗僧侶)、茂田知暁(浄土宗勝楽寺住職)、白川良行(真宗大谷派源隆寺住職)、瀬野美佐(女性と仏教関東ネットワーク)、平良愛香(平和を実現するキリスト者ネット代表)、武田隆雄(日本山妙法寺代表)、竹本了悟(浄土真宗本願寺派西照寺住職)、柘植芳秀(浄土真宗本願寺派常栄寺住職)、土屋和葉(真宗佛寺派僧侶)、中島光信(天台宗等覚院副住職)、長谷川岱潤(浄土宗戒法寺住職)、平松正信(真宗大谷派専行寺住職)、弘田しずえ(カトリック正義と平和協議会)、福原秀美(浄土宗安蓮社住職)、本多静芳(浄土真宗本願寺派万行寺住職)、松本智量(浄土真宗本願寺派延立寺住職・アーユス仏教国際協力ネットワーク理事長)、光延一郎(カトリック神父)、守屋友江(南山宗教文化研究所)、渡邊さゆり(マイノリティ宣教センター共同主事)

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