8.1クーデターから3年半 官邸前アクション
繰り返し、日本政府にミャンマー軍を利する
ОDAと公的資金供与事業の停止を求めます
【東京】8月1日午後6時半から、首相官邸前で「クーデターから3年半 繰り返し、日本政府にミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を求めます 官邸前アクション」がメコン・ウォッチ、国際環境NGО FоE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)の呼びかけで行われた。この行動はミャンマーでクーデターが起きた直後から、日本政府がクーデターを起こした軍部との関係を断つことなく、公的関与を続けていることに抗議して2カ月に一度ほど行われている。
軍は空爆を続け、民間人を殺害
最初に、メコン・ウォッチの木口由香さんが行動の趣旨を述べた。
「2021年2月1日にミャンマーで軍がクーデターを起こしてから、8月1日で3年半となります。ミャンマー軍によって殺害された人は確認されているだけでも5440人に及び、今も2万人以上の人たちが不当に拘束されたままです(7月24日時点。政治囚支援協会調べ)。国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表では、人道援助を必要とする人は推定で人口の3分の1にあたる1860万人から減っていません。地上戦で不利なミャンマー軍は、空爆を続け、多くの民間人が殺害され続けています。ジェット燃料を止めようという動きが世界で起きているが止まっていない状況だ」。
軍に政府機関を通じて援助し続ける日本
続けて、木口さんは日本政府の関りを次のように批判した。
「クーデターにより、契約先である選挙で選ばれたミャンマー政府が実質的には消滅したにもかかわらず、日本政府は既存のODA(政府開発援助)案件を3年半の間、継続したままです。その総額は7396億円にものぼります。ODA事業には、バゴー橋建設のように軍系企業に利益をもたらすものがあります。去る5月20日の国会質疑で、これまで支払ってきた建設工事に伴う支払いだけでなく、橋の完成に伴う留保金の支払いが発生することが明らかになっています。このようなおカネが軍の利益になってしまう」。
「ODAの海外投融資案件であるティラワ経済特別区(SEZ)事業では、日本政府は大手商社・銀行と共に、工業団地部門を運営するミャンマー・ジャパン・ティラワ・ディベロップメント社(MJTD)に出資をしています。クーデター後すぐに軍がティラワSEZ管理委員会の委員長を拘束し、新たな人物を任命しており、事実上、軍が運営に関わっている状態です。MJTDに利益があった場合には配当が支払われますが、この配当が軍を利する可能性は否めません。また、日本政府が貸し出したODA資金は、日本の企業が多く受注していて、日本でおカネが決済されていて、ミャンマー軍に渡るリスクにはないと日本政府は何回も暗示してきているが、ミャンマーの金融機関にプール・管理される『ツーステップローン』という形のODAがありますが、その資金は金融機関を支配下に置くミャンマー軍の管理下に入ってしまう恐れがあります。このおカネはクーデターの前に貸し出していた。ミャンマー通貨のチャットの価値が暴落している。そのために円で借りている債務は増えてしまう形になっている」。
「円借款はミャンマーが日本に返済しなければいけない『融資』です。本来ミャンマーの人たちが受けるはずの教育とか医療のおカネが削られ懸念もある。ミャンマー軍の資金源となっている、またはその可能性が十分にあるODAの返済を、ミャンマー軍による深刻な人権侵害や残虐行為に苦しむミャンマーの人びとに数十年先まで負わせることは許されるのでしょうか」。
資金を止めるために行動を
「6月末に官民ファンド、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は、799億円の損失を計上したと発表しました。損失のうち179億円はミャンマーで実施されている3つの都市開発事業のものです。3事業のうち1つは、ヤンゴン博物館跡地再開発事業(通称Yコンプレックス事業:投資額最大56億円及び債務保証額約47億円)です。この事業について私たちは、施設がミャンマー軍の管理する土地で建設中であり、その土地の賃料の支払い先が兵站局であることから、事業が市民に残虐行為を続けるミャンマー軍を利するものとして問題にしてきました。兵站局は、英国政府から『弾薬、爆弾、ジェット燃料といったミャンマー軍の装備の調達に重要な役割を担う』機関である、と指摘を受けて制裁の対象になっている。この事業には、日本のJOINが出資し債務保証をしている他、国際協力銀行(JBIC)も融資しています」。
「こういった資金の流れを止めたいという人びとの声を可視化するため、『#ミャンマー軍の資金源を断て』呼びかけ団体では『日本政府にミャンマー軍を利するODAと公的資金供与事業の停止を求めます』というオンライン署名を実施中です。2月1日に1282筆、5月28日に更に9928筆、合計1万1210筆(5月21日時点)の署名を日本政府に届けましたが、ミャンマーの民主化記念日である8月8月まで、この署名を継続しています。署名サイト:https://chng.it/hZd6LSXjFG。ぜひ協力してほしい」。
STOP ODA
在日ビルマ市民労働組合のミンスイさんが「ミャンマー軍の繋がりを断たない岸田政権を信用できない、期待しない。去年まで『お願い』という言葉を使ったが、これから一切使わない。恥ずかしいと思わないか。先週外務省の担当アジア部長と話をした。彼は『裏側でわれわれは動いている』と言った。裏側で動いているのがミャンマー軍にODAを出したりしている。それしか見えない。だから私たちは日本政府には期待しない。ミャンマー国内の平和と民主主義に向けて、粘り強くがんばるしかない。応援してくれている皆さんに感謝している」と日本政府を痛烈に批判した。
次に、アーユス仏教国際協力ネットワークが「ミャンマー国内では軍の弾圧によって国境を越えて逃れている人が増えている。そして徴兵制も始まって若者たちが逃れている。自分たちの生活を捨てて逃れざるを得ない状況を想像できるか。たいへんなことだ。忘れないでほしい。日本政府は政策を変えてほしい」と話した。
仏教徒住職の大河内さんが仏教の神髄の話をされ、亡くなった方への黙とうを行った。
官邸に向けて、「STOP ODA」などのコールを行った。そして、映画の上映会の予定も紹介された。ミャンマー・ドキュメンタリー映画『地の上、地の下』、8月17日(土)午後3時半~6時。常圓寺(新宿駅西口から徒歩6分)、定員30人、参加費千円。
ミャンマー国内では昨年秋以降、軍に対する少数民族やPDF(国民防衛隊)の攻勢が一層激しく戦われ、軍は徴兵制を敷くなど防戦に追われている。ミャンマー軍に対する国際的な包囲網を一層強め、軍政からの解放を勝ち取るために、支援を強めよう。 (M)
日本政府はミャンマー軍支援をやめろと訴える(8.1首相官邸前)
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