関生が7.13反弾圧シンポジウム

連帯ユニオン関生支部湯川委員長への懲役10年求刑を許すな!

 【大阪】関生主催の反弾圧シンポジウムが7月13日、エルおおさか南ホールで開かれ、220人の労働者市民が参加した。森さん(労働組合つぶしを許さない兵庫の会)が司会をした。冒頭、湯川関生支部委員長があいさつ。湯川さんは、京都事件の論告求刑で懲役10年を求刑されていることと産業別労組の重要性を訴えた。
 このシンポジウムは9月12日に京都地裁で結審を迎える京都事件を前にした取り組みで、パネラーは、吉田美喜夫さん(立命館大教授・労働法)、竹信三恵子さん(ジャーナリスト)、望月衣塑子さん(東京新聞記者)、大石あきこさん(れいわ新選組衆院議員)、木村真さん(豊中市会議員)、片田真志弁護士、久堀文弁護士、渋谷有可弁護士、小林勝彦さん(全港湾大阪支部執行委員長)。細野直也さん(関生支部書記長)がコーディネートした。
 シンポジウムは4つのデーマで行われた。1~3は、裁判を担当した弁護士が事件の概要を説明し、それについてのコメントをそれぞれのパネラーが述べた。

 1・京都事件

 片田真志弁護士が報告
 ①ベストライナー事件(恐喝)の当事者ベスト社は、京都生コン協組(うち5社と労使関係がある)が実質的に設立した専属の庸車会社で、2002年ベスト分会結成。京都協組の執行部F氏が、労働組合のない庸車会社として運用することを企んだが、組合結成により挫折。
 会社は団交拒否し分会員を退職強要し、解雇した。しかし、その後組合が抵抗。労使交渉で分会員の復権と正社員化で合意し、08年に正社員化が実現した。
 その後、会社は仕事を減らして倒産を目論んだり、暴力団を使って閉鎖を図るが実現せず。最終的には金銭解決(解決金1億5000万円)を探る。組合は、解決金の他、協組ОB会社への雇用とミキサー車6台の無償譲渡を求めたが、協組内で雇用保障をめぐり意思一致できず、白紙撤回となる。2014年労使合意の履行を求め、協組加盟5社でストライキ実施。4社と協定書交わすが、履行しないため再びストライキ実施。京都協組が協定書の履行を約束し、スト解除。分会員7人は退職届を提出し、うち6人は別の会社に移籍。ミキサー車6台が無償譲渡され、京都協組はベスト社に1億5000万円を貸し付け、ベスト社が組合に支払った。
 本件は恐喝罪とされているが、恐喝行為が存在しない。金を払わないと解決できない状況を自らつくり、金銭解決したいと言い出したのはベスト社である。
 ②近畿生コン事件(恐喝)
 ベスト社の件がようやく解決し、値戻しに向けた協議が続く中、アウト社と値下げ合戦を続けようとするF氏の抵抗で、進展せず。2016年近畿生コンの破産申立ての動きがわかり、支部組合員がプラント占拠をする。アウト7社と友好関係を築き、労使共催の値戻し決起集会が行われた。値戻しに賛成のアウト7社が中央協組をつくり、京都協組と中央協組が受注物件を5:5で分け合い、統一価格で立米11000円から17400円に値戻しを実現。近畿生コンプラントは非生コン業者が落札し、アウト参入を阻止できた。
 組合は、プラント占拠費用について協議、京都協組理事会から6000万円が組合湯川氏に支払われた。この事件とベストライナー事件ともに、被害者届けは出ていない。恐喝行為は存在しない。
 ③加茂生コン事件(強要未遂)
 渋谷有可弁護士が報告
 2016年に加入した日々雇用の組合員Bの労働条件の件で団交を申し入れたが、会社は営業を停止するとして、団交拒否。Bは娘を保育所に通わせているため、例年どおり就労証明書の作成を依頼。会社は前年まで応じていた証明書作成に応じず。市役所に確認すると、廃業予定でも就労証明書は必要とのこと。交渉中、取締役が市に問い合わしても同様の返答。そのとき取締役は突如救急車を呼ぶように求め交渉中断。
 その後会社は生コンの製造運搬を停止し、関生組合員は偽装閉鎖の確認のため監視を始めた。
 この事件の京都地裁の判決は強要未遂の有罪判決だったが、大阪高裁は無罪判決、安井執行委員は脅迫罪(頻繁に訪問、執拗に就労証明書を求めた)。その後上告審で大阪高裁に差し戻され、現在係争中。
 この事件は、現場の組合員に対する事件の他に、関生指導部が共謀罪を問われ、京都地裁で係争中。
 京都事件についてパネラーの発言
 (吉田)労働法に基づいて判断すべきだ。検察(裁判所も)は、団交拒否・協定書守らない・暴力団を使って脅すなど使用者の行為の分析が弱い。ストライキは解決金のためにやっているという短絡的な発想があるが、解決金にはその前提がある。
 (竹信)就労証明書作成が義務ではないという態度にはびっくりした。こんなわかりきったことを時間をかけてやっている、会計検査院ものだ。
 (望月)東京の方ではよく知られていないが、この弾圧のバックには安倍・菅がいる。
 (小林)産別組合ではなく企業別だと格差ができる。ストライキは団結して抵抗するためのもの、本筋は交渉だ。共謀は組合なら当然のこと。
 (木村)組合は企業に比べ圧倒的に弱い。法律を守らないものを相手に交渉やっている。彼らを許していたら民主主義はない。

 2・大津1次事件(コンプライアンスを恐喝未遂)
 久堀文弁護士が報告
 2018~19年にかけて加えられた弾圧事件で、具体的にはフジタ事件、セキスイハイム事件、タイヨー生コン事件、日本建設事件、東横イン電建事件がそれに当たる。
 フジタ事件を例に取ると、現場所長に、「カラーコーンが敷地からはみ出している、道路使用許可が要るのでは」、「汚泥が道路に散乱している」などといって業務を中断させ、会社の信用を害する内容のビラを撒いた。
 そのようにして、アウト社ではなく協組加盟の会社との契約を締結するように脅迫した。コンプライアンス活動とは、組合員が建設現場の違法を現場監督に指摘する活動のことだが、これら指摘された多くが即座に是正しなければならないものとは認められないとして、恐喝の実行行為とされた。
 大津1次事件についてパネラーの発言
 (竹信)コンプライアンンスが何をすることかもわからない社会になっている。産別組合の方が業界全体を規制でき、企業間の不当競争もなく、労働条件の改善に有効。
 (吉田)検察は些細な不備を執拗に・・というが、調査した上で本当に取るに足りないと評価しているのか。それをせずにあら探しだというのは、荒っぽすぎる。安全対策は必要なこと、社会の監視は必要だ。(望月)歩行者に危険な場合がある、事故があれば大騒ぎをするのに。

3・和歌山広域協事件(強要未遂と威力業務妨害)

 久堀文弁護士が報告
 和歌山県で関生支部と生コン業者の協同組合が友好関係を保ち、生コンの適正価格を実現していたが、これに不満なM氏が、独自に和歌山県広域生コン協同組合を立ち上げ、関生支部と敵対。
 2017年関生支部組合事務所周辺に暴力団関係者が「在籍確認や武谷おるか」などと言いながらたむろした。
 組合は、この行為がM氏の指示によるものかどうかの確認と謝罪要求のため、M氏に連絡し、面談の約束をとりつけた。面談は4時間半に及んだ。検察は、組合がM氏の業務を妨害し、脅迫したと主張。 和歌山地裁は、暴力団員による関生支部への調査を「公道上からの人や車の確認にとどまるもので、組合員に与える脅威は大きくなく、M氏が関与している確たる証拠もないと判断、強要未遂と威力業務妨害罪を適用した。
 しかし、2審の大阪高裁判決は、「産別組合である関生支部は、業界企業の経営者・使用者の団体と労使関係上の当事者に当たるというべきだから、憲法28条の団結権の保障を受け、これを守るための正当な行為は違法ではない」と述べ、M氏に抗議することは、暴力行使を伴わない限り労働組合が団結権を守る目的の正当な行為」とし、3人全員無罪とした。この判決は上告しなかったので確定した。
 和歌山事件についてパネラーの発言
 (吉田)大阪高裁は組合員がいなくても業界企業と関生は当事者に当たり、団結権の保障をうけ、交渉は自らを守るための正当な行為とした。京都協組とは雇用関係が無いが、関生から見ると当事者の位置にある。検察・裁判所は、1つ1つの不当労働行為を見過ごしている。

4・無罪を勝ちとるために

 パネラーの発言
 (竹信)事件のもつ社会性をもっと社会に訴えるべし。裁判の中だけでは解決しない。
 (吉田)労働基本権は弾圧されてその意味を感じる。刑事弾圧の本質を見なければならない。法廷の内外で監視を緩めずに。
 (望月)関生は特殊と見られすぎている。横につながること。(大石)和歌山事件の判決をもっと活用しよう。  (木村)労働組合に対する弾圧だということを強調しよう。
 (小林)1970年代はストライキに対する市民の対応は、諦めも含め寛大だった。ストライキは労働組合の当たり前の行動。その頃に戻したい。

  まとめ

 服部恭子さん(労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会)がまとめをし、9月12日に結審する京都事件の裁判支援のため、京都地裁前への結集を呼びかけた。
 最後に、今栖産業(大阪広域生コン協組から排除されている生コン企業・関生支部と友好関係)の島田社長が指名されて発言。
 広域協組のいじめの実態を報告。近畿では住友セメントからセメントを売ってもらえないので、4時間かけて遠くに買いに行っているとのこと。
 湯川委員長と2人で9月初めに国際記者クラブで記者会見を予定している、ユーチューブで見てもらえるとの報告があった。          (T・T)

弾圧を跳ね返す陣形作りに向けて熱心に議論(7.13)

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