4選挙区で立民候補が大勝(宮城)
継続された「市民・野党共闘」
保守地盤でも離反が
減区となった宮城では5選挙区のうち4つの区で立憲民主、1つの区で共産が立候補した。立民は4人全員が当選(前回、選挙区での勝利は2人)、自民党は1人の当選にとどまり大敗した。敗北した4人のうち3人は岸田政権の前大臣を含む閣僚経験者だった。民放は開票後の早い段階で立民4人の勝利を告げた。それほどの大差がついていた。
地元紙は選挙戦の当初から立民勝勢を伝えていた。その後、自民の懸命の巻き返しも及ばす、両党候補の差は日を追って拡大した。敗色濃厚の自民は最終盤、全国の接戦区や焦点区に応援を集中したが、宮城はその対象とならなかったといわれている。
県南地域の3区では大きな影響力を誇示してきた自民現職が敗北した。「裏金疑惑」への批判が高まり、新人候補に7選を阻まれた。「浮動票」の少ない保守的地域でも自民党への失望と怒りがいかに大きかったか。この地域の選挙情勢は8月初旬、朝日新聞の全国記事で「新顔の苦悩」として紹介された。大阪府と同じ面積の4市9町の隅々に「耕された自民の地盤」が広がり、非自民系にとっては「ポスター貼りも一筋縄ではいかない」。そんな「眠れる選挙区」で異変が起こった。「一対一」の対決となったこの選挙区で、自民候補の得票が上回ったのはわずか4つの町にとどまった。「市民連合」も街頭に立って声援し、立民候補の勝利をともにかちとった。
新4区は定数の一人減員にともなって選挙区が合併、再編された(石巻、塩釜など大震災の沿岸被災地を含む)。自民と立民の両候補者は合併前のそれぞれの現職議員だったが、ここでも岸田政権の前閣僚が敗退した。
仙台市内の1区と2区でも立民候補の大勝だった。1区は過去2回、次点にとどまった(前回は5千数百の差)。2区では前回、6百票差の勝利だった。今回、両区とも自民を引き離した。維新の立候補が勝敗に影響を与えなかったほどの大差だった。
維新は当初から全5区での擁立を表明していた。4つの区で立候補したが得票は伸び悩んだ。前年の仙台市議選では全選挙区で当選を果たし、全国政党化に向けて東北地方の足場を築いたといわれたが、その統一地方選からの後退を印象づけた。東北比例区の宮城分では、維新は国民、公明に大きな差をつけられた。
市民連合を介した共闘態勢
市民連合みやぎは立民と共産両党への政策要請を重ねた。市民連合は安保法制、経済政策、ジェンダー平等など5項目にわたる共通の政策を両党に示して合意を確認、それぞれの代表に要請書を手渡した。選挙共闘の全国的な枠組みが崩れ、後退するなかで「レアな宮城方式」(河北新報)とされたが、同紙は共通政策を両党が受け入れ共闘態勢が成立したと報じた。立民代表の「今までの(共闘の)歩みも含めてしっかりと受け止めて取り組みたい」との発言も紹介された。「信頼関係を守り抜くことが何より大事」だと市民連合は強調した。
2016年参院選で出発した「市民・野党共闘」が継続され、自民党を敗退させる大きな成果をあげた。選挙後には「(市民連合を介した共闘態勢が成立し)私たちは助かった」と立民候補者の感謝の言葉も紹介されている。
今春、国政3補選の翌日、市民連合主催の国政報告会が仙台で開かれた。市民連合みやぎがともに闘ってきた立民と共産の地元選出議員が全員出席し、活発な議論を行った。そこで立民議員から「(過半数をとるという目標は大事だが)155を獲得することが喫緊の課題だ」という発言があった。今回、立民、共産、社民、れいわの議席で全議席の「3分の1」を超えた。
れいわ、東北比例でも初議席
東北比例では自民、公明、維新が大きく票を減らした。公明は過去最低となり、維新は前回得た議席を失った。
立民は前回と同程度にとどまった。れいわと国民が倍増して初議席を得た。共産党は「次点」となり、並立制が導入された1996年以来、初めて東北比例議席を失った。社民党は及ばなかった。初議席を得たれいわは各県のほぼ全域で票を伸ばし、関心の広がりを示した。
れいわは立民候補が勝利した宮城4区で立候補した。女川原発稼動を前提とすることに反対し、原発は不要であり再稼動は認められないと主張、「再稼動に唯一反対」と報道された。候補者はまた東日本大震災の被災地での立候補であることを強調、釜石での復興活動の経験をいかし、取り残された被災者たちの心情と生活にこだわると語った。最下位であったが、地元石巻の市議会議員であった維新候補にせまる1万3千票近くを獲得した。
(仙台・八木)
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