動かすな!女川原発
11・2全国集会(仙台)に400人
【宮城】動かすな!女川原発11・2全国集会が大雨にも関わらず400名を超える参加で開かれた。東北電力が10月29日、原子炉を起動し再稼働に動き出した後の開催で、何としても再稼働を止めたいという思いが詰まった集会となった。
開会あいさつで篠原弘典さん(女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション世話人)は、10月29日、東北電力が強行した原子炉起動を「福島第一原発事故という歴史的教訓を学ばない暴挙だ」と指摘し「女川原発2号機は、福島原発と同じ構造的欠陥を持つ沸騰型原発(BWR)で事故の危険性は増す。基準地震動1000ガルにしたもののそれを超える地震が起きないとは言い切れず、どのようなことが起こるか予断は許されない。7100億円を掛けた安全対策が本当に機能するのかという質問に東北電力は、『実証していないので分からない』と言っている。再稼働によって女川原発の危険性が高まる。重大事故が起こる前に私たちの声で止めよう」と訴えた。
無責任な暴力
は許さない
武藤類子さん(さようなら原発1000万人アクション世話人)は「双葉病院は、うっそうとした樹木と草に覆われ、ひっそりと建っていた。蝉の声だけがあたりを包んでいた。老人ホームのサンライトおおくまには、ベットや紙おむつ、書類が散乱して大急ぎで避難したことが見て取れた。熊町小学校では小さな机の上に辞書が置かれ、付箋が張られていた。ランドセルも靴も、自転車小屋のヘルメットや自転車も置き去りにされたままだった」と8月に行った「帰還困難区域」の実態を語り、「一方で住民がいなくなった原発周辺地域を中心に『福島復興加速化計画』とされる「福島イノベーション・コース構想」に復興予算がつぎ込まれ、新しい施設が建設されている。ピンチをチャンスとばかり事故の風化を、まやかしの夢や希望をバラマキ、被災地は、『惨事便乗型資本主義』の餌食になりつつある」「人類の核の利用は圧倒的力のためには、多少の犠牲はためらわないという犠牲と差別の思想が脈々と息づいている」と語り、「福島で起きたことは、日本のどこでも起きること。宮城をこのような場所にしてはならない。この無責任な暴力を止めなければならない」と訴え「私は、女川原発の再稼働に反対します」と最後に発言した。いつ聞いても感動する発言だ。
中道雅史さん(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会事務局長)は、「女川の次に東北電力が狙っているのが東通原発だが、津波、原発直下の活断層、避難路の問題など再稼働などできない。27回目の延期となった六ヵ所の再処理工場は、絶対動かないし、動くはずがない。使用済核燃料は溜まり続けるだけだ。むつ市にある使用済み核燃料の中間貯蔵施設を全国の電力会社が共同利用するよううごめいている。これを許せば、全国で再稼働が一斉に動き出す。連携して反対しよう。その最先頭に青森は立つ」と力強く訴えた。
再稼働阻止!
次々アピール
続いてリレースピーチ。岩手からは、赤間妃史さん(さようなら岩手県集会実行委員会)が盛岡での女川原発再稼働反対集会や東北電力への申し入れ行動を報告。女川からは、阿部美紀子さん(女川から未来を考える会)が10月29日の女川原発ゲート前での抗議行動を報告し、「事故で止まる前にみんなの力で止めよう!」と訴えた。石巻からは、斎藤みや子さん(女川原発再稼働差止訴訟原告団)が、福島事故を女川で繰り返させたくない思いで、避難計画の中身を問う裁判を闘っていて、11月27日にその判決が仙台高裁で言い渡されるので注目してほしいと訴えた。ひぐちのりこさん(女川原発再稼働ストップ!みやぎ女性議員有志の会)、ゆさみゆきさん(脱原発をめざす宮城県議の会)と議員の発言が続いた。岩淵参議院議員からも廃炉に向けて力を合わせようとあいさつがあった。
諦めずに再稼働ストップさせ廃炉に向けて取り組んでいくことを参加者で確認。集会宣言は、「再稼働に断固抗議する声明」として読み上げられ、「美しい海と大地を守るため粘り強い運動を強めえていくこと」を決議して、東北電力本社前を通るデモ行進に。東北電力本社前は何に恐れているのか、立入禁止のカンバンとバリケードが配置されていた。
再稼働やめろ!福島事故をわすれない!原発いらない!日本にいらない!世界にいらない!避難計画いいかげん!のコールは、街行く人々がしっかり受け止めた。
7日目にして原子炉停止! ほれみたことか!
11・2集会の翌日の11月3日、東北電力は、11月7日予定していた「発送電再開」を、タービン起動後のバランス調整が不要となり、プラントの状態確認も進んだとして、前倒して実施した。しかし、発電機試験併入(発電した電力を送電網に流し込みこと)中に、原子炉内の中性子を計測する検出器の校正用機器を原子炉内に入れる作業をしていたところ、途中で動かなくなり、手動で取り出したと発表した。このトラブルで東北電力は「発送電再開」を延期し、11月4日早朝、原子炉は、再起動から7日目にして停止された。原因は調査中として原子炉再起動の日程は見通せないとしている。
市民団体は、11月5日、「11・2集会宣言(抗議声明)」(別紙)を参加者の総意として東北電力に提出するため本社に集まった。ロビーには60名を超える市民が結集した。受け渡しは、東北電力が用意した別室で7名の代表団に絞られたが、抗議声明を代表が読み上げ、代表団一人ひとりから、「老朽原発を動かせば、今回のように想定外のことが発生する。その一つひとつが重大事故に繋がっていく。再稼働の中止を強く求める」と再稼働に対する参加者全員の抗議の声として東北電力に強くぶつけた。同時に今回のトラブルについて質問書を提出して説明を求めた。
本社前で参加した60名を超える参加者とともに再稼働やめろ!とシュプレヒコール。老朽原発で被災原発を動かせば、何が起こるかわからない。廃炉しかない。諦めない。(m)
集会宣言(抗議声明)
東北電力は、10月29日に女川原発2号機の原子炉起動に踏み切り、11月7日には発電再開、12月には営業運転再開、と進めています。県内外の多くの反対の声を無視して、13年ぶりとなる再稼働強行に断固として強く抗議します。
女川原発の再稼働は、これまでの国内原発の状況とは大きな違いがあります。何よりも、あの東日本大震災で甚大な被害を受けた「被災原発」であること。震災後の再稼働はこれまで西日本でしたが、東日本での再稼働では初めて、しかもあの大事故を起こした福島原発と同じBWR(沸騰水型)としても初めてです。福島原発事故の原因究明が少しも進まない中、格納容器が小さい構造的欠陥がある旧式のBWRを稼働させるのは極めて危険です。女川原発2号機の安全対策費7100億円、想定津波23m、基準地震動1000ガルは、いずれも国内原発のトップレベルであり、それだけ女川原発の危険が大きいことを示しています。しかし、日本政府は原発利用を拡大する原発回帰政策を進めており、女川原発の再稼働をこうした動きの再先端に位置づけています。
今年1月1日の能登半島地震は、大災害の時に、原発の危険を回避することはできないこと、半島部ではどこにも避難できない状況であることを誰もが目(ま)の当たりにしました。安全対策をどんなに強めても、想定外の事態が発災します。安全な生活を守るには、原発を動かさないこと、なくすことしかありません。
世界を震撼させた福島原発事故から13年半になります。政府が発令した「原子力緊急事態宣言」は未だ解除されていません。いまも数万ともいわれる人が避難を余儀なくされており、暮らしも未来も心までも奪われ、先行きの見えないなかで少なくない人が亡くなりました。「原発と人類は共存できない」と、国民の多くが確信しました。
しかし、この女川原発再稼働を、宮城県民の意思に少しも耳を貸さずに押し進めていることは大きな問題です。2018年に全県で取り組んだ「県民投票条例を求める署名」は11万筆以上となりましたが、村井知事も宮城県議会もこれを踏み潰しました。2020年に行われた7ヶ所の住民説明会では、ほとんどの発言が再稼働には反対でしたが、国も県もこれを無視しました。そして、村井知事は、「県民の総意」として女川原発の再稼働に同意したのです。
私たちは決してあきらめず、再稼働やめよ!の県民集会を何度も繰り返し、2023年10月には、河北新報に「STOP!女川原発再稼働」の一面広告を載せ、この7月には女川町現地で30年ぶりのアピール行動を行い、あくまで再稼働には反対!と県民の強い意志を訴えてきました。東北電力が強く大きな民意に背を向け、原発再稼働をすることを認めることはできません。
女川原発のコストは他の電気の3倍も高いことが判明し、「原発の電気は安い」という神話は崩壊しました。原発の温排水による環境破壊が指摘され、女川原発敷地内での乾式貯蔵施設建設計画は、どこにも持ち出せない「核のゴミ処理」の問題をあらわにしました。
原発が早晩行き詰まっていくことは誰が見ても明らかになってきました。負の遺産となる放射能被害を未来世代に残すことはできません。原発のない安全安心な社会を求め、女川原発2号機再稼働中止と再生可能エネルギーの拡大を強く求めます。私たちはふるさと宮城の美しい海と大地を守っていくために、粘り強い運動をさらに強めていくことを決意し、ここに宣言します。
2024年11月2日
「動かすな!女川原発 11・2全国集会」参加者一同
東北電力本社前に向けて抗議デモ(11.2)
あらためて実証された老朽原発の危険性に怒りのアピール(東北電力前、11.5)
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